「どこでもドア」は、たまに不便です。
フリーランスで仕事をしていると「いいな〜。好きな場所で仕事ができるなんて」と言われることがよくあります。
固定の出勤場所があるのは面倒だ、毎日電車に乗って会社に向かうのはいやだ、自分の休憩時間くらい自分で決めたい……。そんなネガティブモチベーションでやる気を起こし、仕事をしてきた人もきっといらっしゃるでしょう。けれど、最近はコロナウイルスの影響もあってテレワークが一気に推し進められています。もちろん、フリーランスとまではいきませんが、通勤にかかるストレスがなくなったり、無駄な打ち合わせが減ったり……とある程度、自由度の高まった生活を経験し、なおさら自由に魅力を感じている人も少なくはないのではないでしょうか。
しかし、いざその“自由”や“理想の生活”が手に入って分かることもあります。それは、自由があれば仕事効率が上がるというわけではないということです。
パソコンを開ければどこでも仕事ができる。曜日や時間に関係なく仕事ができる——。
まるで「どこでもドア」のような感覚になった時、自由がゆえに大変だったことを、フリーランス経験者の私がご紹介したいと思います。
1. 不規則な生活リズム
いつ、どこで仕事をしてもいい、その代わりに成果はしっかりと出さなければならない。
これがフリーランスの基本です。いつ、どこで仕事をしてもいいと言われると、とても自由であるかのように感じますが、それはつまり「やらなければ報酬はゼロ」、「成果を求めて突き詰めるあまり、仕事をしすぎてしまうこともある」ということです。
極端な例であるかのように感じますが、会社員と違って就業時間やコアタイム等が設けられていないフリーランス。確実に生活リズムは崩れやすくなります。
もちろん生活リズムが崩れると、気分の浮き沈みも激しくなるため、一度スランプに陥ってしまうとなかなか抜け出せない…という難点も。自分を律するために、ある程度自由度を無くし、ルールを設ける必要があると感じます。
2. 休憩時間が分からない
これはテレワーク作業中でも感じることなのでは…と思いますが、自宅やカフェなどで仕事をすることに慣れると、仕事のやめどきがわからなくなります。もちろん、休憩時間についても。会社に勤めていると「1時間休憩」などが設定されており、ある程度時間も決まっているものですが、時間を自由に使えるフリーランスにとっては、休憩はあるようでないようなもの。
仕事とプライベートの区別がつけづらくなるため、仕事が煮詰まった場合には、なおさらグルグルと悪い思考が駆け巡り悪循環に陥ることがあります。オンとオフの境目がないことによって、休憩時間どころか睡眠時間、友人と遊んでいる間にさえ仕事のことが頭によぎったり。仕事でのストレスや悩みがある場合には、とても窮屈に感じることがあります。
3. 曜日や時間の感覚が鈍る
そして、時間の感覚が鈍ることによって、曜日感覚に関しても鈍くなってしまいます。曜日感覚が鈍ると、日常生活でさまざまな支障が出てくるものです。
例えば、平日仕事をしている会社員の方と仕事をする場合。
会社員である方は基本「平日中にやりとりをするのが当たり前」だという感覚を持っています。土日の連絡は失礼に当たってしまうことも。と、思えば「フリーランスだから土日に連絡をしても大丈夫だろう」と連絡が立て続けに入ることもあります。これは相手の認識次第です。
このように、仕事相手のライフスタイルに合わせて、自分の仕事を行う対応力も必要です。もちろん、これは仕事だけに限ったことではありません。パートナーの休日に合わせたり、子どもの授業参観など…イベントがある場合にも曜日感覚は必要なもの。
フリーランスで時間や曜日の感覚が鈍ることによって、時間や曜日を区別して過ごしている方とのコミュニケーションにズレが出てきてしまう……この感覚を鈍らせないようにすることもフリーランスにとっては大切ではないでしょうか。
セルフマネジメント、タイムマネジメント、そして対応力が求められる
「フリーランス=自由度が高い」と思われることはよくありますが、フリーランスに必要な能力は、このように自分を律するセルフマネジメント、時間や曜日感覚を身につけておくタイムマネジメント、そして、接する相手によって対応を変える対応力です。
これらが備わっていない場合は、仕事とプライベートの境目がわからず余計なストレスを抱えることになったり、体調やメンタルに振り回されて仕事の出来不出来を左右したり……とさまざまなトラブルを引き起こす元になります。
自由度が高い=作業効率が上がるとは一概には言えません。
自分は一体どちらの方が効率よく仕事ができるか? どちらの方が成果を発揮できるか? を一度認識してみても良いのではないでしょうか。ぜひ参考にしてみてくださいね。