【仕事と妊活】働く女性って何かと難しい? 不妊・妊活の実情について



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皆さんは「妊活」という言葉を知っていますか?
妊活とは、子どもを産むことを目指してとるアクションを総称した言葉で、中には、夫婦での話し合いや知識を取り入れて学ぶこと、そして医療機関での不妊検査や不妊治療などが含まれます。
日本産科婦人科学会アートデータブック(2017年)によると、今は国内の夫婦やカップルのうち、4組に1組が不妊の可能性に悩み、6組に1組が検査・治療に取り組んでいるとのことです。

子どもが欲しいのに、なかなかできない……。
そう悩み始めたら妊活のはじめどきかも。妊活中はお金がかかることや、会社勤めの場合は両立が難しいことなど、悩みもたくさんあります。そんなリアルな妊活実情を知るため、Cinqでは株式会社ファミワン協力の元「仕事と妊活」についての連載をスタート!

#1では、妊活の基礎からよくある悩みを、不妊症看護認定看護師/看護学修士 西岡有可さんに教えてもらいました。

「不妊」ってどこから? 不妊の判断基準

避妊のない性交渉をお持ちのカップルは約80%が1年以内に妊娠しているというデータがあることから、1年間妊娠しなければ不妊症と診断されます。

妊活や不妊治療に関する相談件数は年々増えています。
その背景には、昔に比べて女性のキャリア形成をする環境が整ってきたからこそ、結婚時期が先延ばしになり、妊娠時期も年齢を重ねてからと時期を見送ることが増えてきたことにもあると言われています。

一般的に、女性の年齢が30歳代後半以降はだんだんと、妊娠が難しくなると言われています。

不妊治療はステップに合わせた3つの方法が

受診すると、まずは不妊検査から始まります。
検査をされ不妊原因が特定されれば、その原因に合わせた治療が提案されます。原因が見つからない場合には、タイミング療法から徐々にステップアップしていくことが一般的です。

タイミング療法:医師による排卵予測によって性交渉をもつ方法
人工授精:マスターベーション(用手法)で採取した精液を子宮に入れる方法
体外受精:精子だけでなく、卵子も体の外に取り出し、卵子に精子をふりかけて受精卵を作り、子宮に戻す方法

この①タイミング療法→②人工授精→③体外受精と治療のステップを進めることになります。医師によるタイミング指導を受け、妊娠に至らない場合は6~7周期目で、次のステップである②人工授精に進むことが多いです。

タイミング療法では妊娠が難しいと判断される方も多く、②の人工授精は、1周期あたりの妊娠率はタイミング法とあまり変わらず、5~10%と言われています(施設ごとにデータが異なります)。
人工授精で妊娠される方の80〜90%の方は、6周期以内で妊娠され、以降妊娠率に伸び悩みます。ですので、6周期程度トライして妊娠されていなければ、③体外受精へとステップアップするという流れが一般的です。もちろん、夫婦の希望やその時の状態によって異なります。

原因がわからず妊娠に至らない場合は、治療のステップを進めることで、原因が推察されることもあります。①→③に進むほど、心身のご負担や、通院回数の増加、そして経済的な負担も大きくなります。

パートナーとあらかじめ話しておくべきこと

不妊だということがわかったときに、「子どもができないなら離婚したい」という話になったケースがありました。そんなトラブルを避けるために「そろそろ子どもが欲しいかも……」と思ったとき、パートナーと相談してほしい3つのことがあります。

・子どもが何人欲しいか
・不妊の目安を過ぎても(1年)妊娠しない場合、受診はするか
・どうして子どもが欲しいのか

なかなか妊娠しなかった場合、受診はするのか? そもそも「どうして子どもが欲しいのか」をパートナーと話してをおくと良いでしょう。

不妊治療はどれくらいの頻度で病院に行けばいいの?

病院の頻度は検査や治療法によって異なります。

不妊検査:3~4回/月
タイミング療法:3~4回/月
人工授精:4~5回/月
体外受精:5~6回/月

治療のステップがあがるにつれ、病院に行く頻度も増えていきます。特に体外受精の採卵の日の通院は朝〜昼頃まで最低半日かかります。

それぞれ治療にかかるお金は?

・タイミング療法:数千円~(保険適用)
・人工授精:1〜2万円(保険適用外)
・体外受精:20万〜60万円(保険適用外)

ステップが進むほど高額医療となり、それぞれ1回で妊娠するとも限らず、複数回トライすると、その分お金がかかります。金銭面での負担がかなり大きいと言えるでしょう。

1年間の医療費の合算が年間10万円を超えると、医療費控除を受けられます。これは不妊治療も対象となります。薬代はもちろん、通院にかかる交通費も含まるので、領収書は必ず保存、交通費はメモしておきましょう。

働く女性は「仕事と妊活」の両立に悩むもの

会社の理解や妊活を支援する制度が無ければ、仕事と妊活の両立は「難しい」ものです。なぜなら

・通院回数が多い
・待ち時間が長い
・受診日が急に決まることがある(2日前、生理がきたらなど)

これらの理由があるからです。不妊治療の受診は生理を基準としています。
「生理がはじまったら2日目に来てください」というような指示が出ます。また次の受診日は受診した日にしかわからないので、「じゃあ次は3日後に来てください」といったような受診の流れになるのです。

体外受精でいうと、4-6回の受診が必要なのですが、これも前もって受診の日を確定することが難しく、卵子を取り出す「採卵」の日は2日前に決まることが多いです。このように、受診日が前もって決まらないことから、職場に休みを申請することが難しく、不妊治療と仕事との両立が困難になるケースは少なくありません。

さらに人気のクリニックの場合は3時間~4時間と長時間待つケースがよくあるので、午前休を取ったものの、間に合わず全休しないといけない……なんてこともありえます。そのため、治療に専念するためやむを得ず退職する女性も多いのが現状です。

今回教えてくれたのはこの人!

西岡有可(にしおか ゆか)

株式会社ファミワン 代表看護師
不妊症看護認定看護師
看護学修士

大学院にて「不妊治療を受ける女性の思いとかかわり」の研究に取り組みつつ、国立成育医療研究センター生殖医療外来にて勤務。その後、生殖医療専門クリニックにて10年勤務。第16回生殖看護学会優秀賞受賞。某IT企業「妊活コンシェルジュ」として企業内妊活相談担当。ファミワンのアドバイザーとして、LINEサービス「famione」のアドバイスを担当。フジテレビドラマ「隣の家族は青く見える」医療監修、企業・ホテルにて社員様向け、ご夫婦様向けに妊活に関するセミナーを担当。

多様な働き方をつなぐ「ファミワンキャリア」

仕事と妊活の両立が難しく不妊退職をした場合、退職によるキャリアブランクが発生することに加え、治療のことを考える時間が増え、精神的な負担が増したという声もあります。妊娠、出産、育児と進んだ女性も同様の悩みを抱えており、自分の思い描くライフスタイルとキャリアの両立に苦労しています。

「ファミワンキャリア」は、”正社員・業務委託(フリーランス)・スポット案件・ボランティア(プロボノ)”という働き方の提案を行い「妊活・不妊治療と仕事の両立」をはじめとする妊娠・出産・子育て期に関わる働き方をサポートします。女性が自分らしく輝ける、多様性のあるキャリア形成の手助けをしてくれるサービスです。【https://bit.ly/3g3Znl5】