新型コロナウィルスの感染拡大を防ぐためとして、リモートワークに切り替えた会社にお勤めの方もいらっしゃると思います。知人の話ではご子息の就職活動にも影響が出ているとか……。対面イベントが中止になり、SkypeやZOOM等を活用した「WEB面談」での選考が増えているとのこと。
就職・転職には必須の「面接」の在り方にも大きな影響を与えているこの「新型コロナウィルス」は、人と人との接触や交流の機会を絶つ、非常に厄介なものだなぁと感じています。
主に「転職」を考えている読者の方々にむけて、人材紹介業のウラ側のお話を交えつつ有用な情報をお伝えできれば、という趣旨でお送りしているこのコラムですが、今回は今後増えるであろうオンライン面談に焦点を当て、「気を付けたい【WEB面談/電話面談】の作法」というテーマでお伝えしていきたいと思います。
非常時以外は「対面」の方が間違いない
私自身は、電話面談やWEB面談に少し苦手意識を持っているタイプで、「忙しくて直接会う時間が取れないので電話面談を希望します」と転職者に言われると、内心「相当自分自身のコミュニケーション力に自信がある人なのかなぁ、心配だなぁ」と思ってしまいます。
新型コロナウィルスの流行のように、感染拡大を防がなければいけない、直接の接触を避けなければいけない非常事態に陥っているわけではないのであれば、基本的には【対面の面接のほうが、あなたの良さは伝わりやすいですよ】とお伝えしたいのです。ですが、中にはやむにやまれぬ事情から「WEB面談」を選択しなくてはならないことも出てくることでしょう。そんな時、覚えておいていただければと思います。
声のトーンは2音アップで!
もともと、電話で話すと人の声はいつも通りに聞こえません。対面時より聞き取りづらくなる傾向があることを意識して話しましょう。
何故、電話の声がいつもと印象が変わるかというと、有線と無線ともに高音域周波がカットされるからだと言われています。意識したい要素のひとつが、「口のかたち」です。口を「縦にあける」というイメージで話してみましょう。
低い声は高い声より聞き取りにくいだけでなく暗い印象を与える恐れがあるので、意識して声のトーンを上げることをお勧めします。具体的には地声より1~2段階くらい高くしてみましょう。何も“アニメ声”で話す必要はなく、「ド」で話している人は「ミ」くらいに上げるイメージです。
ご実家のお母さんが電話に出るとき、ちょっと高めのよそゆきの声で話すのを聞いたことはないですか? ああしたほうが受け手側に聞き取りやすく、とっても理にかなっているのです。
いつも以上に口角を上げることも心掛けましょう。声が口のなかでよく響き、明るい印象を与えやすくなります。
機材のセッティング <画面を固定しておくこと>
PCではなく、スマートフォンでWEB面談を受ける方も増えてきているようですが、きちんと画面を固定できる状況ですか?
スマホを手に持ったままだと、面接官側からどうしても印象が悪く見えてしまいます。何故なら、時間が経つにつれて、持ち手が揺れて画面が不安定になったり、疲れからだんだん腕が下がってきて、視線が外れたりするからです。
面接中に音声が聞こえにくくなったのか、テンパっていきなりスマホに耳を当ててしまい、突然耳のアップが面接官側の画面いっぱいに! という方もいました。
本来はPCでのWEB面談がおすすめですが、最低限のマナーとして、お持ちのスマホを顔と上半身がきちんと映る位置に固定して面接を受けるようにしましょう。
また、通常PCやスマホを操作するときは、それらを低い位置において、画面を見下ろすのが一般的な使用姿勢ですが、WEB面接を受ける時はそのままでは絶対にNG。面接官から見える画像では、あなたが面接官を見下ろしているようなショットに映ります。姿勢も猫背に見えますし、下から顔がアップで映るため、不自然に二重顎に映ってしまう“悲劇”も……。電車の座席に座った時に、正面に立った人がスマホに夢中になっている状態を下から見上げたことはないですか? あの状態です。これでは印象よく話すことは不可能です。
PCやスマホの画面の角度を下げすぎないように気を付け、自分の視線とカメラの位置がまっすぐになるように、通常よりも少し高めの位置にセッティングしてください。
そして、室内が暗いと、顔色が悪く映ってしまうことがあります。日中であってもお部屋の照明は点けておきましょう。
背景の整理整頓
最近はPCやスマートフォンの性能も優れているので、思いのほか遠くの音でも拾ってしまったりすることがあります。
TVなどの生活音は可能な限りシャットダウンしましょう。そうしないと途中で家の電話が架かってきた音がしたり、回している洗濯機の音や電子レンジの音がするなんていう笑えない事態も。もしも、一緒に住んでいる家族がいる場合は、面接の途中で声を掛けたりされないように、事前に協力をあおいでおいてくださいね。
映りこんだ背景に、乱雑に並んだ本棚や趣味のアイドルのポスター、クローゼットに入れ忘れた衣服等が入っていたりしないでしょうか?対面と同じく、WEB面談も「第一印象が命」です。
きちんと片付けておきましょう。
SNS通知はOFFに
Twitterをつけておいたため、面談の最中にも関わらずしょっちゅう通知の電子音が鳴っていた、ということもありました。
WEB面接の時は、アプリはすべて完全OFFにしておきましょう。SNSの設定で音を最小化していても、新しいメッセージが来る時、通知のポップアップやアラームなどの電子音が出てしまいます。
面接相手に「集中できていないな…」と誤解されないように、細心の注意を払うようにしましょう。
Wi-fi環境
Free Wi-Fiや電波が弱い場所等、ネット環境不安定な場所でWEB面接をすると、面接の途中で急に音が聞こえなくなったり、音声のタイムラグが発生したりする可能性があります。最悪の場合、途中で接続が切れることもあります。IT機器の性能は日々飛躍的に進化してきてはいるものの、やはりできれば有線で接続しましょう。
緊急事態発生! 途中で切れてしまった、そんな時は?
それでも、途中で接続が切れてしまったり、Skypeが勝手にサインアウトしてしまったりということも起こり得ます。
その場合でも、慌て過ぎるのはNG。まず、電話で接続不具合のことを連絡しましょう。
そして、PCやスマホを立ち上げなおし、面接再開後はきちんと謝罪をしましょう。まれに再起動してもすぐに再接続できない場合もありますが、慌てずに必ず電話で連絡し、謝罪した上で面接のスケジュールを再設定してもらいましょう。
WEB面談の相手が、転職エージェント経由で紹介していただいた方の場合、連絡先はすぐにはわかりませんよね。転職エージェントにすぐに連絡し、不具合が発生してしまったことを報告してスケジュールを再調整してもらいましょう。
どんなに取り繕っても、トラブル発生時にその人の“人となり”は出てしまうものです。焦って自己中心的な態度をとったりしてしまい「ストレス耐性が低い」「トラブル対応力が弱い」と判断されてしまわないように気を付けましょう。
いかがでしょうか?
注意しなければいけないポイントが思いのほか多いことにお気づきになられたと思います。対面の面接よりもさらにじっくり準備して臨んでいただく必要があると思います。
【今後変わっていく“面接”の在り方】
これまで何かしらの理由でWEB面接を実施していなかった企業が、今回の事態によってなかば強制的にSkypeやZOOMなどのWEBを使った面談体制・実績を作ることになっていくでしょう。
前例がなかったからと、WEB面談に消極的だった保守的な企業も、今後は例えば「一次面接はSkypeで」等、面接のフロー自体を変更することになるかもしれません。
遠方にお住まいの方の場合、今までは「遠方であっても絶対に直接面接」として実施していた企業が「一次面接はSkypeでも可」となる可能性は高いと思います。交通費や宿泊費の問題等、遠方にお住まいの方の経済的・精神的負担が軽減され、チャンスが拡がるということです。
一方、現時点では面接官のほうもWEB面談に慣れていない人も多いと思いますが、頻度が高くなるにつれてそれも解消され、対面面接と同程度の精度に上がるようになっていくのではないかと思います。
面接するほうも受けるほうも意識を変えていく必要があると実感しています。
それではまたお会いしましょう。