大切な人が「引きこもり」になった時に試したい心理学的アプローチ



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脳内物質とひきこもりの関係

「ひきこもり」は、仕事をすることもなく他の人間との交渉を断つことことを言いますが、大人だから「仕事をしろ」と言っても反発するだけ。時に、こういった小さなやり取りがきっかけで、怒りが暴力に発展することがあります。また、自分自身への自信喪失や不安による恐怖感を持っていることも主な特徴です。ひきこもりは、風邪と同じ病気の一つで、エネルギーが枯渇した状態であり、誰でも罹る可能性があります。

このサイトでも紹介してきましたが、ハッピーホルモンのセロトニンは達成感や幸福感を与える効果があります。また、オキシトシンは信頼関係を深め、人間関係を構築する効果があります。
引きこもりは、ハッピーホルモンのセロトニンや愛情ホルモンのオキシトシンが不足して、その脳内物質を受け止めるセロトニン神経の能力が落ちてしまいます。つまり脳が病気にかかっているということです。

また、ゲーム依存症を伴うことがありますが、ゲーム依存症は脳内物質のドーパミンが関与しており、ゲームで受けた快感が忘れられなくなった状態です。ですから、病気を治すために治療が求められますが、その前に周囲の人の協力も必要です。大切な人が、引きこもりになってしまった場合の対処法について紹介していきたいと思います。

話を聞く

更生施設や精神科で治療を行うのが望ましいのですが、治療の話をすると怒り出すのが普通です。まず、行うべきことは本人の話を聞くことです。「仕事はどうするの」などあなたの考えを押し付けてはいけません。「具合はどう?」という問いかけから、相手の言葉に耳を傾けると、相手は積極的に話をするようになります。あなたは、相手の話に反論せずに、相手の話に合いの手を打ち、うなずくだけです。こうすると、相手も心を開くことになります。家族が、世の中と結びつけるドアになります。
そのうえで、誰もが罹る病気であることを伝えてあげてください。ポイントは、本人の気持ちを楽にしてあげることです。

受容・共感・防衛

「引きこもる人は、自分を守る生き方である」と言ってあげましょう。逃げることは卑怯ではありません。逃げる勇気、撤退する勇気を認めてあげましょう。著名な心理学者のフロイトも述べるように、人は窮地に立つと防衛機制という自分を守るシステムを使います。そして、相手の気持ちを理解して、相手を理解する、共感する、守るということを伝えます。また、存在価値があり大切な人であることを伝えてください。

運動療法

相手が、心を開いてきたら、なるべく日光を浴びながらのウォーキングに一緒にでかけましょう。散歩などのリズム運動をすると、セロトニン神経を鍛えることになります。また、日光を浴びることで、セロトニンが放出されます。セロトニンは、幸福感を与えることになりますので症状が改善するのです。
また、咀嚼運動もリズム運動ですので、食事は時間をかけてゆっくり食べることが良く、歯ごたえのある食材を使うことがおすすめです。ガムを噛むことやスルメを噛むことも良いことです。

触れあい

哺乳類は、相手を舐めるなどスキンシップで絆を深めます。類人猿の場合は「グルーミング(蚤取り行為)」で信頼を深めます。スキンシップによってオキシトシンが放出されます。肩を叩くことや握手をすることで、気持ちが安定してきます。触れ合いは、スキンシップだけでなく、精神的なふれあい(コミュニケーション)も含みます。

ひきこもりさせないために

ここで、子どもをひきこもりにさせないための方法を検討しましょう。簡単に言えば、子どもの話を聞き、受容と共感と愛をもって対応し、ぎゅっと抱きしめることです。子どもを自由にさせ、良い点を褒めて伸ばすことです。そして、子どもの言動に違和感があった時にも、同じ対応をします。親の考えを押し付けないことも必要です。

SOSを出す

家族がひきこもりになった時は、自分だけで悩んではダメです。行政の力を借りましょう。そこで、ひきこもり地域支援センターを紹介します。
厚生労働省では、ひきこもり対策に取り組んでいます。また、生活困窮者自立支援制度と連携して、訪問支援等の支援を充実させています。

【ひきこもり地域支援センター】

ひきこもりの専門的な第一次相談窓口としての機能を有する「ひきこもり地域支援センター」を各地域に設置しています。

「ひきこもり地域支援センター」の設置状況リスト

https://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-12000000-Shakaiengokyoku-Shakai/0000180269.pdf

より適切な支援に結びつきやすくすることを目的としたものであり、関係機関とのネットワークの構築や、ひきこもり対策にとって必要な情報を広く提供する役割を担うものです。心理士などの専門家の協力があるとのことですので、相談されると良いと思います。

まとめ

ひきこもりが起こった時には、ビックリせずに落ち着いて、じっくり対応していきましょう。自分の考えを押し付けてはいけません。また、「頑張れ」と言ってはいけません。それまで、頑張ってきたので、相手を否定することになってしまいます。相手に寄り添う必要があります。そして、ひきこもり地域支援センターの専門家に相談してください。