相手の「テリトリー」を見極めて! 心も近づく相手との距離の詰め方



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私たちには、他人に立ち入ってもらいたくない自分だけの「テリトリー」があります。けれど、親しい友人や家族、恋人であればそのテリトリーに入り込まれたとしても大丈夫。ちっとも嫌な気持ちにはなりません。では、相手に不快感を与えず、心の距離を近づけるためには? 人間関係を深めるためにも、この心理を使っていきましょう。

電車でのテリトリー観察

電車に乗り込むとき、乗客の「テリトリー」を示す行動を観察してみましょう。例えば、電車のドアが開くとともに、乗客がどこに座るかをウォッチングするのです。そうすると、次のような一定のパターンがあることがわかります。

①最初に乗り込んできた乗客の第一波の100%近くが、座席の一番端に座ります。
②その次に乗り込んできた第二波の乗客は、一番端に座っている乗客から距離を置いて座っていきます。
③そして、第三波は歯抜け状態になっている空いた場所に座っていきます。
④第四波は、ドアと座席の間の空間に入り込んでスマホいじりを始めます。
⑤最後の第五波は、運転席の後ろや最後尾に。車両と車両の連結部分も人気の場所です。
電車に乗るときも、みなさんこのような行動をするのではないでしょうか?
特に、「①②④⑤」の行動は、他人が自分のテリトリーの中に入ってくる不快感が働くため、相手との距離をとるようになるからだこその行動だともいえるハズです。

テリトリーを確保するのは自己防衛が働くから

テリトリーは、急に危害を加えられないようにする自己防衛のための距離を確保するための本能だと言われています。
アメリカの文化人類学者エドワード・ホールは、人間の関係性の密接度によって、テリトリーの大きさ(両者の距離)は異なるとして、密接距離、個体距離、社会距離、公衆距離の4つに分け、さらに各距離を近接相と遠方相に分けました。密接距離・近接相といえば、密接な距離でもさらに近い距離を示し、密接距離・遠方相といえば密接な距離でも遠い距離を示すということです。つぎの8つのゾーンに分類しました。

密接距離-近接相(0~15cm)

相手の体温や匂いが感じられる距離で、最も近しい関係の親子や恋人が許される距離です。

密接距離-遠方相(15~45cm)

手を伸ばせば相手の体に触れる距離で、家族や恋人などの親しい人同士が許される距離です。

個体距離-近接相(45~75cm)

その気になれば、ハグや手をつなぐことのできる距離ですが、友達以上恋人未満の距離ともいえるでしょう。

個体距離-遠方相(75~120cm)

お互いに手を伸ばせば握手ができる距離。友好的な距離です。

社会距離-近接相(120~210cm)

身体的な接触ができない距離で、相手の様子を見て、危険に対応できる距離です。

社会距離-遠方相(210~360cm)

店員とお客さんの距離です。初対面でも安心できる距離です。

公衆距離-近接相(360~750cm)

1対1でのコミュニケーションが限界になる距離。

公衆距離-遠方相(750cm以上)

もはや、1対1でのコミュニケーションは不可能! 公演の距離です。

一度入って問題がなければ、次からも大丈夫

面白いのは、一旦これらのゾーンに入り込んで、何も問題がなければ、その次からゾーンに入り込んでも、その相手から拒否されることはないということです。つまり、このテリトリーを超えて接近することで、気持ちの面でも急接近できるということになります。
ビジネスで目指すのは個体距離-近接相(45~75cm)で、恋愛で目指すは密接距離-遠方相(15~45cm)の恋人の距離です。

男性の場合、テリトリーの広さは前方が150cm、左右と後ろはそれより短く、それぞれ100cm、80cmです。女性の場合は半径60~70cmです。実は、男性の場合の方が、テリトリーが広いことがわかります。男性はライバルが多く、用心しなければならないのですね。

相手との距離を縮める方法は?

距離を縮める方法はとても簡単です。そういったシチュエーションを作ってしまえばいいのです。ビジネスで資料説明の時、テーブルを挟んで座るのではなく、テーブルの角に座り直して資料を一緒に見ながら話をすることなどが効果的です。

エレベーターの中など、距離を縮めるシチュエーションを組み込んでみてください。
そうすれば、否応なく相手のテリトリーに侵入することができるようになります。そして、次からもその距離に違和感がなくなります。
また、横に並んで座る状態がもっとも相手にストレスを感じさせない、とされています。同じ方向に向き、映画や演劇のように並んで座るシチュエーションです。なので、上司やクライアントの方と飲みに行くときは、居酒屋のようにテーブルを挟んで座るよりも、バーのカウンター席のように隣同志で並んで座るのがオススメ。関係が親密になるということになります。

ちなみに、身体的な接触があると、さらに関係が密接になるという研究結果もあります。横に並んで肩が触れるくらいが良いということです。これはぜひ、恋愛感情を持った方に試してみてくださいね。

物理的な距離が相手との「心」も近づける

以上のように、物理的な距離を縮めることが精神的距離も縮めるということがわかります。ビジネスではもちろん、恋愛においても相手との関係を縮める効果的な方法です。もちろん相手がスッと距離をとったら、素直に応じるようにしてくださいね。