「起業したきっかけは上司だった」|#つくるを選ぶ 【クリエイティブディレクター 秋山 真紀子】



若くして起業する学生や、女性が増えている現代。会社を立ち上げるということは、生半可な気持ちじゃいけない、人生にとっての大きな決断ともいえます。 そんな世界で挑戦し続ける起業家さんたちの、起業しようと思ったきっかけや、仕事の楽しみ方、思いを知りたい。

今回は、つけまつげブランド『Diamond Lash』のプロデュースや渋谷109から最先端の情報が揃う“店舗型の情報発信スペース”『SBY』の立ち上げなど、女性向け商品のデザインの他に、コスメコンサルタント、アイラッシュアーティストとしても活躍している「秋山 真紀子」さんにお話を伺いました。

<秋山 真紀子>

クリエイティブディレクター/コスメコンサルタント/アイラッシュアーティスト

学歴:

横浜市立大学 商学部経営学科卒業

バンタンキャリアスクール横浜校 グラフィックデザインコース アートディレクターコース 修了

略歴:

卒業・修了後、編集プロダクション入社。外注でギャル系雑誌の誌面デザインを担当。その後、SHIBUYA109の雑貨、コスメ、飲食、メイクブース、マーケティングブースなどからなる『SBY』の立ち上げメンバーとして参加。店舗運営に関わるデザイン業務内装、店舗販促物、物販用グラフィック制作などを一手に担当。

『SBY』の立ち上げ1年後に店舗に集まるF1層の女の子の意見を集めた、オリジナルブランドの創出プロデューサーに任命され、つけまつげ、メイクアップ商品、カラコンなどの商品企画〜クリエイティブ制作を担当する。

代表的なプロデュースブランドとして、2009年の発売より売上累計1700万個を突破した『Diamond Lash』、コスメブランド『Diamond Beauty』などがある。

その他、他社のブランドの企画プロデュースにも関わり、つけまつげ、コスメ、カラコンのプロデュースパッケージ、広告、販促物などのクリエイティブ制作を担当。(現在もDiamondシリーズのプロデューサーとしても引き続き実施)

2015年9月に独立し、アイラッシュアーティストとして国内や国外(アジア中心)にて、つけまつげのメイクアップをレクチャーするイベントなど参加し、活躍の場を広げている。

上司が独立したことをきっかけに、”会社に属する意味”を考えた

独立したきっかけは?

自分自身では、独立しようと考えたこともなかったんですが、つけまつげブランドの『Diamond Lash(ダイヤモンドラッシュ)』の仕事をしていたときに、統括してくれている上司が独立したのがきっかけでした。ブランドの世界観、企画やデザイン、そして何よりブランドに対する想いが一致していたので信頼も厚く、一緒に作り上げてきたという気持ちがありました。


『Diamond Lash(ダイヤモンドラッシュ)』


その人が居なくなったことをきっかけに「会社にいる意味とはなんだろう?」と考えるようになったんです。予算の管理や事務所との細かい調整など、自分にできないことを補ってくれている人が居たからこそ、会社員として、仕事を楽しめていたんだと思います。自分で出来ることと出来ないことが自分自身よくわかっているので、それを補足してくれる人がいたら会社に属さなくても新しいチームを組んでいけるんじゃないか、と。

会社員だと役割を与えられる分、制約もあります。会社が大きくなればなるほど、方針も変わります。そのときに、会社員の枠を超えたい、と思ったこともありました。

とはいえ、独立してからも、細かい数字の管理は苦手だったので、そこは税理士事務所に勤めている妹にお願いをしています。だからか、私は経営者という自覚よりもフリーランスの延長といった感覚の方が強いかもしれません。

起業してガラッと変わったワークスタイル

会社員時代と、今の違いは?

仕事が好きだったので、苦だと思ったことはないんですが、やっぱり時間の使い方が圧倒的に違います。『SBY』立ち上げの時は、会社に泊まることもありました。立ち上げから少し落ち着いてからも、朝10時から夜22時、23時まで仕事、という日常が当たり前で。プライベートの時間はもちろん、趣味もありませんでした。

会社員のときのように決まった収入があるわけではないし、独立に不安はなかったか、と聞かれることも多いのですが、それ以上に自分の時間を選択出来ること、自由なものを手にいれた幸せ感や充実感は何事にも代えがたいと思っています。体に気を使ってジムに行くようになったり、違う世界を知りたいと思うようになって始めたお茶や習字の他にも、やりたいと思うことがたくさん増えました。

以前と違う環境で「空いた時間の使い道」について困ったことは?

「これをしたい」「あれがしたい」がいっぱいあるので、困ったことはないですね。仕事もありがたいことに、継続した依頼がありました。今は自宅で仕事をして、打ち合わせを数件こなす毎日です。今は自分に投資できる時間がある贅沢さを実感しています。

仕事で悩むことは?

よくあります。化粧雑貨系とはいえ、日本では営業や工場の担当の方が男性であることが多いので、ターゲットは決まっていても、コンセプト・ブランド名が決まっていないといった場合があるんです。世界観を作ることは得意なんですが、パッケージのデザインやその他の細かいものになると、ポンポン出てくるわけではないので、どうしようか、と悩むこともあります。

今までは本をたくさん手に取っていましたが、今はネットの方が情報が早いし多いので、海外のサイトを見たり、instagramを見たりとネットを中心に情報を収集していますね。いいな、と思ったデザインはすぐに保存するようにしています。

常に大事なデータを抱えているので、その管理が大変でもあります。PCが壊れたら仕事もできないし、バックアップをこまめにしておかないと不安で仕方ありません。

デザインに煮詰まった時のリフレッシュ法は?

家にこもって作業していることもあるので、悶々と煮詰まってしまうこともあります。そんな時には何も良いデザインが浮かんで来ないので、仕事から離れます。やらないときはやらない、メリハリをつけることが大切だと思っています。友達と出かけたり、お酒を飲んだり。疲れが溜まった時もそれと同じです。毎日ちゃんと湯船に使って、お風呂上がりにオイルを塗って。基本的なことで解消できるものも多いです。

仕事において、大切だと思うことは?

どんなメンバーでやるか、が私にとっては重要ですね。ブランドは1人で作ることはできません。今プロデューサーとして任せられている案件に対しても、私が1人で全部やっているわけではなくて、私が出来ない部分を補ってくれている人が居るから、成り立っているんです。性格や考え方がそれぞれに違う、プロフェッショナルな人たちがブランドに対する愛情を持って1つのチームとなっているんです。それが欠けて居ると、いいものはできません。

秋山さんがプロデュースしたブランド

『EYEDDiCT by FAIRY』

今後のキャリアプランを教えてください。

今はプロデュースやクリエイティブのお仕事をさせてもらってますが、将来的には何か自分の中で「これだ!」と思う成分や企画を見つけて、全部自分で出資した自分のオリジナルブランドを作りたいです。今屋号にしている『MAQUii(マクイ)』というブランド名で出したい。
『MAQUii』にはたくさんの意味が込められていて、フランス語でメイク、化粧を表す「maquillage」と日本語の「可愛い」の語尾「ii」と、私がマッキーと呼ばれているので自分の名前を入れた造語です。世界中の女の子を可愛くしたいという気持ちが込められています。

まとめ

会社員時代は帰れない日もあるくらいにたくさんの仕事量をこなしてきた、いわばバリキャリタイプの秋山さんですが、独立をきっかけに、時間の選択肢が生まれ、自分ならではのワークスタイルを見つけたんだとか。上司の影響はとても大きいものなんだ、と感じさせられるインタビューになりました。

プロデュースしている商品はどれもF1層に大人気のブランドたち。流行が早い市場で、人気ブランドを作りながら、アイラッシュアーティストとして、国内・海外でつけまつげのメイクアップをレクチャーするイベントなどにも参加しています。今後の秋山さんの活躍にも目が離せません。

Cinq編集部 文−古河 莉奈