Cinq読者の皆さま、おはようございます。キャリアアドバイザーAです。
今日からまた一週間がはじまりますね。今朝のご機嫌はいかがですか?
毎日があわただしく過ぎていきますが、年初に立てた計画や目標と、現実に小さなズレが生じてくる頃ではないでしょうか?今週末振り返りの時間を作ってみてもよいかもしれませんね。
今、まさに転職活動中の方も、これから転職活動をはじめようと考えている方にも有用な情報をお伝えしていこうと考え、お送りしているこのコラムですが、すこし具体的な転職活動中の悩みについて取り上げてみたいと思います。
転職活動中に魅力的な異動の辞令が出た…そんなときはどう考える?
今回のテーマは、【転職活動中に魅力的な異動の辞令が出た…そんなときはどう考えるのがBetter?】です。
ご両親が経営者だったこともあり、自分自身も将来は会社を経営したいと考えていた、今年30歳になるTさんのお話です。現職は組織が大きく、若い頃から経営に携われるチャンスは極めて限られることから、日々のモチベーションコントロールが難しく、ひそかに転職活動を開始していました。
ベンチャー企業を中心に書類選考がいくつか通過し、一次面接の準備をしているさなか「社内の新規事業プロジェクトのメンバーとしてやってみないか?」と上司から話があったといいます。
内定をもらってから上司には正式に退職届を出すつもりで動いていたTさん。新規事業の立ち上げに関われる話に、つい勢いで承諾してしまったものの、プロジェクトがスタートしてしまってから退職を申し出ると、関係各所に大きな迷惑を掛けてしまうことに気づきます。そこで、プロジェクトが本格始動する前に退職届を出すべきではないのか? と悩み始めました。
選考中の企業にも現職の事情は伝えましたが、なんといっても面接はこれから。最終面接までたどりつたとしても、日程調整に時間がかかることは明白です。
この状況で、どう進めるべきでしょうか?
「退職届は内定を貰ってから」が大鉄則!
キャリアアドバイザーとしては、「内定を手にされてから退職届を提出する」という原則は守って行動することをお勧めしたいと思います。
プロジェクトに迷惑を掛けないように、事前に退職届を提出した場合のリスクについて、代表的なものをみていきましょう。
リスクその1.転職活動を阻止しようとする動きも
重要な新規事業プロジェクトへの参加を勧められるTさんは、きっと上司からの信頼も厚く、評価されている方なのだと思います。もし、退職届を提出すると、会社を辞めてほしくないとの思いから、強い引き留めに遭う可能性が高い。
もしかすると、今回の新規事業プロジェクトへの参画の打診は、Tさんの転職活動の雰囲気を感じ取った上司からの楔かもしれません。
リスクその2.内定がない状況で辞めることにもなりかねない
現在受験中の会社にご縁があるとは限りません。スケジュールによっては現職を退職したあと、キャリアの空白ができてしまう可能性もあります。
求人企業の中には、採用要件として、「キャリアの空白期間がない」ことを条件にしている企業もあります。キャリアの空白期間があるというだけで書類選考NGとなってしまうのです。今後、転職活動をすることを考えた時、こういった【避けられるリスク】はできるだけ回避しておくべきです。
また、キャリアの空白を避けることを優先するあまり、納得感のない転職先に、内定が出たからと飛びつく→短期間で再度転職活動を再開する という転職者もかなり多いことも事実です。
リスクその3.退職届の取り下げ後の【針の筵】状態
いつ何が起こるかわからないご時世です。状況が変わって転職活動を休止せざるを得なくなり、提出した退職届を取り下げなければならない事態も起こり得ます。
「退職届の撤回」というのは、皆さんが想像している以上に精神的負荷がかかります。また、撤回後の社内の居心地はこれまでとは違うものになることを覚悟すべきです。
たとえ撤回できたとしても、上司にも人事にも「Tさんは会社を辞めるリスクのある人材」というレッテルが貼られてしまいます。少なくとも今回のような、「新規事業プロジェクトへの抜擢」というチャンスは巡ってきづらくなります。
結果として、早々に転職活動を再開する方を数多くみてきました。
リスクをうまく回避するには?
上記に代表されるリスクを回避するために、どんな選択肢を検討すべきでしょうか。
1.現職にいったん留まるのも選択肢のひとつ
Tさんはいずれ会社経営をしたいとのことでした。面談時には将来経営者としてどんなことを実現したいとお考えかまでは定まっていませんでしたが、「新規事業立ち上げ」という経験は、Tさんの思い描く「会社経営」についてのキャリアプランにプラスに働く経験になるように思います。
残念ながら今回面接を受けている企業への転職は断念することになってしまうかもしれませんが、打診されたプロジェクトをやり終えてから改めて転職するということも検討してみていただきたいとお伝えしました。
2.誰がきいても納得感のある転職理由が伝えられるようにしておく
そして、転職に本格的に舵を切るのであれば、上司が納得する転職理由を退職届と共に提示することです。現職への不満ではなく、新規事業プロジェクトを辞退してまでも退職する理由を、納得感をもってもらえるように伝えられるなら、過剰な現職引き留めには遭わないのではないか、とお伝えしました。
そもそも、引き留めに遭うのはどこか「考えに揺らぎがあって、転職意思を翻す可能性があるのでは」と思われているからこそ。
転職意志が固いことをきちんと伝えられることは、【面接時の「退職理由への質問」にも自信をもって答えられる準備ができること】にもつながります。
3.賢く転職エージェントの情報を活用する
「できるだけキャリアの空白期間を作らないこと」を念頭におきつつ、選考が進んでいる会社とのご縁がなかった場合のことも想定して、並行して複数の面接を進めていくことも大切です。こういった際に活用すべきは信頼できる転職エージェントの情報です。
結果として、Tさんは転職活動をいったん保留にし、新規事業立ち上げプロジェクトに参画することにしました。かなり忙しい毎日のようですが、プロジェクトが一段落した際に再度活動を再開することにしたそうです。
職務経歴書に記載できる項目を増やし、パワーアップして戻ってきてくれることを私としても楽しみにしています。
では、またお目にかかりましょう!
キャリアアドバイザーA