#フリーランスに生きる 【ハープ奏者「川崎 優季」】

#フリーランスに生きる 【ハープ奏者「川崎 優季」】

フリーランスという生き方を選ぶ女性たちをピックアップ。 現在注目されているフリーランスというワークスタイルで、彼女たちが過ごしている理由と、フリーランスで生きるための努力を知りたい。今回はハープ奏者の「川崎 優季」さんに直接インタビュー。


近年注目されているフリーランスというワークスタイル。 個人で動ける自由さは一見あるように思えるが、もちろんフリーランスというものはそう甘い世界ではない。 それを知っていながらも、フリーランスというワークスタイルをなぜ人は選ぶのか?
今回はハープ奏者として活躍している川崎 優季さんに話を伺った。

ハープをはじめたきっかけは?

子供の頃から15年間クラシックバレエをやってたのですが、そこで流れる音楽「クラッシック」がとても好きで。そこから音楽の世界に興味を持つようになったんです。最初はバイオリンを習っていたんですけど、登場人物に合わせて奏でるハープの音色に憧れを持っていました。

あと、ハープって身長が高いので、身長と腕の長さが必要になるんです。海外では男性が演奏していることも多いんですよ。私は身長が170cm近くあるので、体格的にもちょうど良いのかな、と思いました。実際ハープを弾いてみると、すごく楽しくて。趣味からのスタートだったので、仕事になるなんて思っていなかったんですが、ハープを指導してくれていた先生が、今の世界に導いてくれました。

趣味が仕事になるまでの期間は?

5、6年くらいですかね。普通では考えられない早さだと思います。趣味の延長だったんですが、私は凝り性なので、趣味でも1日6時間くらい練習をしていて。クラシックバレエを習っていた頃、流れていた音楽を早く弾けるようになりたい、とただひたすら練習を繰り返していました。

上達してきたかな、と思ったころくらいに、指導をしてくれていた先生に声をかけてもらって、ブライダル演奏をするようになりました。登録制の事務所のようなものがあって、色々な教会に派遣されるといったような感じで考えてもらえるとわかりやすいです。

仕事になった後の変化は?

仕事として他の演奏家の方たちの中に入った時は、プレッシャーがすごくて。いつまでに仕上げなきゃいけない、という焦る気持ちと、どうしてもうまく弾けないという悔しさで夢をみることもたくさんありました。あとは、土日に稼働することが多いので、遊びたいという気持ちもありながら、練習していることもありました。

だけど結婚式って、すごくエネルギーをもらえる場所で。みんなが笑顔でお祝いしている場を私たちが一緒に盛り上げることができるんです。新郎新婦さんにとってかけがえのない大切な日を、特別な時間を、一緒に盛り上げることができるなんて最高じゃないですか。

大変だなと思ったことは?

大変、とまではいかないですけど、人によってヴァージンロードの歩くスピードが違ったりするので歩幅やスピードを見て、演奏家さんとの息を合わせることが難しいなと思いました。みなさん初対面だったりするのですが、やっぱりタイミングが命なので、息を潜めて目で合図を送りながら演奏するところが面白いですね。

私は先生に指導してもらっていましたが、音大を卒業したというわけではないので、そこに劣等感を感じたこともありました。人一倍努力も必要だし、丁寧さや気持ちも込めていかないといけないな、と。
いつも新郎新婦の親御さんになった気持ちで演奏しています。なので、つい泣きそうになることもあるんですが、そこは心を鬼にして耐えています(笑)

大安の日には、1日に8回本番があることもあるんですが、事務的な作業にならないように、毎回これが最後なんだと、1回1回集中して演奏しています。ありがとう、よかった、というような言葉をいただいた時には、やっぱりすごく嬉しい気持ちになりますね。

フリーランスとして、次の仕事に繋げるための努力は?

技術はもちろんなんですが、人前に出るお仕事なので、自分自身の見た目も重要になってきます。ハープって形がら「人魚みたい」とよく言われるんですが、人魚って綺麗なイメージじゃないですか。おしとやかとも言われるし、見た目が綺麗な人も実際にとても多いんですよ。なので、日頃からの自分自身のケアはもちろん、宣材写真にも気合いを入れるようにしています。

あとはメールの返信を早くすること。一般常識やマナーがないとまず次に繋がらないですし、フリーランスとして活動するには、音楽をやっていればいい、というような音楽バカになっちゃいけないなって思っています。常に夢を売るお仕事だと思っています。

それと、出会った人にはどんどん自分の活動を話すようにしています。とにかく発信したい気持ちで、自分の強みを伝えていくことです。それが違う仕事に繋がることもありますからね。ミーハーな気持ちで、フットワークを軽く。損得から行動するんじゃなく、次に繋げられる糸口を探すことを楽しんでいます。

モチベーションを保つ、仕事を楽しむ秘訣は?

新しいドレスを買うことです。次の演奏ではこれを着よう、というのを楽しみに練習を頑張ります。あと、お休みの日に舞台や映画に行ったりすること、最近では着物と琴にもハマっています。美しいものをみて、体感して、蓄積する。それが糧となって音楽の表現に役立つといいなと思っています。

琴を始めたのは、弦楽器であることと、物悲しい和の音色が美しいなと思ったのがきっかけです。音や舞台、なんでもなんですが自分が美しいと感じたものはどんどん吸収していきたいと思っています。ハープも実はすごく穏やかそうに見えて、足元はすごく慌ただしく動いていたりするんです。だけどそれを感じさせない優雅さがありますよね。"美しい"は私にとって癒しなんです。

あと、クラシックバレエをやっていた経験からか、スポットライトに当たることが快感だと感じることもあります。緊張というよりは安心したりします。

全く違う趣味としては、鉄道かな。新幹線とかの未来感、あの曲線には美しいなぁと感じる部分があったり…。色々な鉄道を見つけては写真に撮って納めています。これは趣味でもありますかね。(笑)

ハープに挑戦したい人へアドバイス

楽しいからぜひやってみましょう! と言いたいです。ハープってまだまだ人口が少ないんですよね。なんだか敷居が高いイメージだったり、大きさがネックになっている部分もあるんです。だけど、アイリッシュハープという、膝の上で演奏するような小さくてお手軽なものもあるんです。大きいものも、高さがあるけれど厚みはないので、実は畳1枚分くらいのスペースがあれば家に置けたりもするんですよ。

バイオリンとは違って、調整して弾けばとりあえず音は鳴るし、とっかかりとしては始めやすいと思います。本当に楽しいので、たくさんの人に知ってもらいたいなと思っています。

今後挑戦したいことって?

今まで、クラシックを中心に演奏してきたのですが、要望によってゲーム音楽も取りいれたりすることもあります。それがすごく楽しいですね。デイサービスでは、民謡だったり演歌を演奏すると喜んでもらえたり。

みんなが知っている曲を演奏すると何も言わず歌ってくれたり、一体感が生まれたりするのが目に見えて違いがわかるので、クラシックだけに留まるんじゃなく、色々な音楽に挑戦していかないといけないなと思います。

身近な場所で演奏することや、新しい音楽にチャレンジすることでハープって楽しそう! と思ってくれたり、興味を持ってもらえると嬉しいです。

ライターまとめ

ひたむきな姿勢

演奏家の多くは音大出身なことに対し、川崎さんがハープを始めたのが社会人になってから。教えてもらった先生の声がけにより、趣味が仕事になったそう。ここだけを聞くと、ただ運が良かっただけのように聞こえるかもしれない、けれど決して"運"ではない努力と、新しいことに挑戦していくひたむきな姿勢がフリーランスとしての活動に生きている。

地道な努力を続けていくこと、そしてフリーランスとして活動するための細やかな気遣いなどを誰よりも気を使っている素敵な人だと感じた。

気取らない美しさ

姿勢が良く、凛としたイメージの初対面が、話していくうちにどんどん明るく親しみやすいといった印象に。演奏家=物静かであまり喋らないといったイメージを、いい意味でどんどん崩してくれた。話し方もとても丁寧で、育ちのよさ、頭の良さ、気品を感じられる。「美しさ」に貪欲な姿勢を見せつつも、それを"嫌味"と捉えさせない気取らない自然体がとても印象的だった。明るく生き生きと、興味の向いたものには素直に取り組み、人生をまさに「よくばり女子」として楽しんでいる。

型にとらわれない

躊躇することなく素直に人に自分のできること、魅力を発信していくブレない姿勢が、「ハープ×○○」を生み出している。「好き」を発信して仕事に繋げるというのは、実際にはなかなか簡単なことではないはず。だけどその努力や辛さは感じさせない強さと、癒しの音を広めたい、という素直な気持ちがまっすぐ芯となっていた。また自分自身が発信者となった活動を行っていきたいと意欲的な姿勢がCinq編集部メンバーにも刺激を与えた。人の気持ちを動かす力、というようなものを持っているというか、非常に高い人間力を感じさせられた。

型にとらわれない発想で、今後はハープとフルートの演奏で、趣味でもある「鉄道」のメロディーを動画サイトでアップするというような企画も考えているそう。その他にはFM世田谷などでのラジオパーソナリティ、他にも発信者としての活動を積極的に行っている。

魅力的な話を聞かせ、刺激を与えてくれた川崎優季さん、貴重なお時間をありがとうございました。

Cinq編集部 写真−松本 唯: 文−古河 莉奈

この記事のライター

Cinq(サンク)-よくばり女子のはたらきかた-

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