「私でもできる、そう思ってもらえるような営業でいたい」#自分らしくはたらく【パーソルキャリア株式会社 松田 佑子】



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パーソルキャリア株式会社で営業に約6年従事したのちに、子どもを出産。2人の育休を経て、復職のタイミングでママだけの営業グループ「ダイバシティ営業グループ」を立ち上げた松田 佑子さん。

時短勤務での復帰は難しい、とも言われる営業職で再び活躍している彼女ですが、どうして営業職を続けていこうと決意したのでしょうか。また、仕事と育児の両立についての工夫も教えていただきました。

松田 佑子さんプロフィール

パーソルキャリア(旧インテリジェンス)に新卒で入社し、営業に約6年従事したのちに結婚、子どもを出産。特例で2年半の育休(通常1年半)を使い主人の海外転勤についていき、その後帰国。その後営業戦略の立案と実行を行う営業企画として復職する。2人目の妊娠で、10ヶ月の育休を取得。復職のタイミングで、ママだけの営業グループ「ダイバシティ営業グループ」を立ち上げ、時短勤務で再び営業を続けている。

ダイバシティ営業グループとは

以前は営業職の女性が、産休や育休などライフイベントを超えて復職できる働き方ができていなかった。理由としては、ロールモデルが少ない 、復職後も働けるイメージが沸きにくい、受入組織側に時短営業メンバーのマネジメントに対する理解・経験・知見があまりないなどが挙げられる。今後、産休復帰する方々のロールモデルとなり、生産性を高める仕組みを作り、産休・育休後も安心して戻れる組織を作りたいと2017年7月に発足させた。
現在メンバーは4名(うち2名は育休取得中)。全員が時短勤務の育児中の女性。

関わる人が増える営業という仕事を通じて、長期的に働きたいという意思が生まれた。

ご主人が海外転勤に決まると退職する女性も多い中、育休の取得のみを選んだのはどうしてでしょう。

そうですね。転勤となると期間が定まっていないので、いつ日本に帰って来るのかもわからず、退職をする方もいると思います。ですが私は「仕事をずっと続けていきたい」強い気持ちがあったので、一旦は育休を使って行くことに決めました。育休が終わる頃には、1人でも戻ってこようと。

外国語が全然喋れなかったので、行く前にオンラインの講座を受けて勉強していましたね。仕事後は眠いなと感じることもありましたが、夜や空き時間を使ってずっと勉強をしていました。

復職後も営業を続けたいという気持ちがあったそうですが、いつ頃からそう思うようになったのでしょう?

社会人になったときは「子育てをしながら働くのは大変そうだ」というイメージがありました。なので、スパッと辞めて家庭に入ろうと考えていましたが、営業を続けていくうちに、もう少しお客様と関わっていきたいという感情が芽生え、この仕事を長く続けていきたいという考えに変わりました。この気持ちがあるのならば、仕事を辞めるのはもったいないとも思いました。

この仕事では、業種やポジションに関わらず、たくさんの方と接する機会があります。たくさんのお客様とも繋がりができ、喜んでもらうことができるのがやりがいです。人生の先輩とも言える担当者の方と関わることも多く、中でも女性が長期にわたり働くのが難しいと言われている環境の中で活躍されている方々の姿を間近で見て、自分も長く仕事を続けていきたいという気持ちが芽生えました。

私はそんな先輩方のように、パワフルに働けるタイプではないかも知れませんが、若い世代の女性たちに、少しでも貢献ができるような働き方ができればいいなと考えました。
出産後も営業として働き続けたいと思っていた、2人目の育休を終えたタイミングに、上司が組織として育児や介護など、家庭の事情により時短勤務でも営業職として活躍できる枠組みを作っていたこともあり、ダイバシティ営業グループの立ち上げメンバーとしてお声かけいただきました。

意思があるのなら、制度や組織を変えてでも続ける

営業職の女性が結婚・出産後も働くために実際に行った改革や仕組み、制度はありますか?

現在は私を含めた2人のメンバーと上司の3人態勢で動いています。もしどちらかが休んだ場合は、上司が代わりに対応できるように、全てのお客様の情報や状況を把握してもらっています。
営業なので自分のお客様に関しては、最終的には自分に責任が発生しますが、もし担当が休んだときには代わってもらいサポートをしてもらえる仕組みになっています。

また、他のフルタイムで働いている営業の方と比べて社数を絞り、勤務時間に終えられるような調整をしています。他にも、専任ではないのですが事務職の方などに、業務の色んな部分をサポートしてもらったりもします。

情報の共有は、チャットワークなどの様々な連絡ツールを使ってやり取りをしています。
「今日はこんなタスクをしています」といった仕事内容や進歩状況、休みの連絡も共有することで、上司や他の人に自分の状況がわかるようにしています。

サポート体制が整っているのですね。他の会社だとサポートしてもらえる環境が整っていない場合もあると思います。そんなときはどうすれば良いと思いますか?

私は続けたい意思をはっきりとは伝えていませんでしたが、上司に相談をしていたこともあり、その意思を汲み取ってくれて営業企画から営業へと戻してもらうことができました。

続けていきたいという強い意思があるのなら、制度や組織を変えてでも、戻って来られた方が幸せなのではと思います。もちろん全てを理解してもらうのには難しいこともたくさんあるかもしれません。だけど今ある環境を「こんな風に変えていきたい」といったアイデア出しは、本人からするのが良いと思います。続けたい意思は、しっかり上司に伝えていく必要もあります。

育休から開ける前に環境の準備を

復帰後、営業職に戻ることに大変さは感じなかったのでしょうか?

営業としてのブランクは1人目の育休前から数えて、5年くらいありました。市況感が変わっていたり、システムがかわっていたのでキャッチアップするのに時間がかかりました。それこそ、1人目の育休は2年半だったので、復職したときには「電話のかけ方はどうすればいいんだっけ?」なんて感覚になりました。そこから通常のリズムを取り戻すには時間がかかってしまいましたね。

子どもと長く過ごしたいと思っても、安易に育休を伸ばさない方がいいなと反省しました。
自分の今後のキャリアを見据えた時に、仕事を長く続けていきたい・キャリアアップをしたいと目標がある場合には、育休を短くするのを前提に保育園を早めに探したり、周りのサポート体制を整えておいた方が良いと思います。

私の場合は「なるべく休まずに出社したい」という意思があったので、子どもが体調不良のときは病児保育を利用するため事前登録をしておくこと、両親が近くに住んでいるので、子どもが明日休みそうだなと思ったときには、早めに連絡をするように心がけています。育休から開けた時の環境の準備はあらかじめしておくのが良いと思います。

松田さん流! 仕事と家庭を両立するポイント

「仕事と家庭を両立する上で気を付けていることはありますか?」という問いに、4つポイントがあると答えてくれた松田さん。詳しく教えて頂きました。

① 優先順位をつけて自分の課題に取り組む

会社から半期に1度、大きな目標を与えられるので、自分でそれを1ヶ月ごとに落としていきます。ただ、全てを一気に改善しようとするのは厳しいので今月はこれに取り組もうと月1度のペースで上司と進捗確認をして常に意識するようにしています。

② グループ会社を含め、働く先輩ママと定期的にランチ。話を聞いて、自分ができないことを焦りすぎない

グループ会社も、ママさんのための取り組みを行っているので、定期的に話を聞きに行っています。リモートワークが認められているので、先輩ママさんの職場近くで仕事をして、ランチを一緒にしています。ママさんの話をもとに、自分や子供の状況に応じて「こういう時はこんな働き方をしたらどうかな」「今はこうすべきかな」と考えています。この緩やかなつながりを作ることで、いざという時に相談できる人がいる安心に繋がっています。

③ 周囲の協力をあおぎ、苦手なことはプロに任せるチーム育児

自分で対応できないことは、人に任せる。私の場合は掃除が苦手なので、よく主人にも怒られるのですが(笑)そういった苦手分野や対応できないことはお互いがストレスにならないように、思い切って月1で家事代行サービスなどのサービスを利用することにしています。ママが笑顔でいることが育児にはとても大切なので、苦手なものは素直にプロに任せようと。

仕事が大変な時は割り切って、外食・惣菜を利用していますし、オーガニック野菜の宅配を定期的に利用することで、買い物の時短にもなったりして精神的な余裕を捻出できます。

④ 子どもと一緒に寝てしまった時は、朝3時くらいに早起きしてやりたいことをやる

ここだけ聞くとすごい人だと思われてしまいそうですね……(笑)

毎日ではないのですが、子どもと一緒に寝てしまったときには、3時に起きて雑誌を読んだり、考え事をしたりする自分の時間にあてています。仕事でお客様と接する時間以外にも、自分としてやらなければいけない業務があるので、中々お客様のことを考える時間が捻出できていないこともあるんです。そんな時は、朝早く起きて考えます。自分の時間を子育ての前後に作ることで、両立をしようと思っています。

仕事と家庭の両立を続けていくために

両立のポイント、すごく参考になりました。けれど毎日忙しく過ごしていて、心が折れそうになることはありませんか?

社内の人以外にも、保育園の先生や子どもの習い事の先生、あとマンションのお友達は働いていないママさんがいるのですが、自分の環境とは異なる人の話を聞きに行くことが切り替えになることがあります。
「そんな考えがあるんだ!」と新しい発見に出会えたり、リフレッシュすることもあれば、仕事に活かすことのできる情報が得られたりも。

また、お客様にも自分の状況を伝えることにより、自分ではフォローできない部分を、思い切って素直に相談もしています。早めの対応を心掛けることで、理解を頂けている部分もあるかなと思います。お客様にも理解してもらえるような関係性を作っておくと良いですね。

ご自身がロールモデルとして活動していく過程で意識していることはありますか?

自分がもともとハイパフォーマーだったわけではないので、若い女性から見たときに「あの先輩だからできる」「すごい人だからそうなった」ではなくて「私でも出来そう」だったり、「もう少しだけ努力をしたらずっと働き続けられるんじゃないか」と身近に真似をしてもらえるようなロールモデルで居たいと思っています。

また、定年が65歳~になるのではと言われている時代なので、働く人生がすごく長いです。だからこそ、時短勤務制度を使って、子どもと一緒にいる時間を少し多めにとっても良いのかなと思っています。今はこれまでより少しペースを落として、子どもが小学校にあがったときにはフルタイムで100%仕事に集中できるよう、今は準備期間として先輩ママの話をたくさん聞いて、時間がない中でもどう自分の時間を作っていくべきなのか? と自分の課題を明確にした上で参考にしています。

最後に今後の目標について教えてください

一生営業を続けていきたいという気持ちがある反面、営業としてのスキルや能力はまだまだです。優先順位をつけて課題として取り組み、営業のエキスパートになれるようになりたいです。

年齢もあるので「これからもずっとバリバリ働けるか」と聞かれると堂々と頷けるわけではありませんが、長期的に働ける仕組み、両立に悩んでいる若い女性に対して、何か活動を行っていきたいです。
その一環として、まずは社内向けに、自分が営業として上手くいったこと・いかなかったことをガイドブックにしてリリースする計画も立てています。それを読んでもらうことで「営業を続けるのは無理だ」という先入観を無くしてもらえるきっかけができれば嬉しいです。

終わりに

いつからか「営業は、男性や若い女性がやる仕事」で、出産してからは別のキャリアを選ぶ必要があるという考えが根付いていました。それによって、本当は営業が好きだし営業で居たいけれど、ジョブチェンジをするしかなかった、部署変えを受け入れるしかなかった、というような悔しい思いをした女性もたくさん居ます。

けれど、松田さんのようにご主人・両親のサポートと、会社の体制を整えることにより、再び営業として活躍している女性の姿もあります。営業は子育てをしながらもできる職業であることを、ぜひ認識していただきたいです。

今の環境を変えないことには何も始まらない。変えるべきなのは会社なのか、仕事なのか、それとも環境なのか。それは人それぞれ環境によって違いますが、まずは自分の現状や悩み、意向を上司や先輩ママさんに積極的に相談してみることが大切です。自分のキャリアに諦めを持たないためにも、恐れずアクションに起こしていきましょう。