【連載】ココシャネルに学ぶ「時代をつくる女の生き方」♯12



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♯ジャージィ素材でドレスを作る

シャネルは帽子店に続き、ファッションブランドを展開し順調に経営を発展させていき、その勢いのまま3店舗目となるファッションブランドをオープンさせました。そしてこのタイミングでシャネルはさらなる話題の人となったのです。そう、シャネル好きな方はご存知、「ジャージィドレス」の誕生。

ジャージィ素材は私たちにとっても馴染み深い素材ですよね。ジャージィは伸縮性の高いニットのことで、イメージしやすいのは学校で着用していた体操服などスポーツウェアでよく取り入れられる、あの素材です。ジャージィ素材は今でこそファッションアイテムとして活用されることは当たり前ですが、シャネルが生きていた時代では男性の下着として使われていた素材でした。

シャネルは、男性のパンツ用の素材を富裕層向けのドレスに使うと言うのですから、生地屋さんは大層びっくりしたに違いありません。

♯何故ジャージィを取り入れた?

そもそもジャージィ素材を使った理由はやはり戦争の影響が大きかったと言われています。市民の生活必需品のありとあらゆるものが軍資金として消えていき、充分な素材を手に入れられる状況ではなかったという背景があります。

しかし、そんな中でもシャネルとアーサーの人脈を持ってすれば、必要最低限の素材を揃えることはできたでしょう。にも関わらずあえて、ジャージィを起用したとなれば、それはジャージィ素材が素朴という名の美しさをまとっていたからではないでしょうか。そして誰もが見過ごしてしまうほどの地味な素材もシャネルの手にかかれば究極的なシンプルさと洗練された上品さに仕上がるのですね。

♯モード誌から大絶賛!

製品を作る素材を十分に確保できない環境が、ジャージィ素材とシャネルを巡り合わせました。そしてシャネルはそのジャージィ素材で婦人用のコートを製作。これが瞬く間に人気となり、VOGUE誌で大絶賛を受けることになるのです。

大絶賛されたのは、奇抜な素材を使ったからという理由だけではありません。誰も目もくれなかった素材を、最上級に美しく品のあるデザインに変えた彼女のデザインセンスに誰もが脱帽したのです。ジャージィ素材で作ったアイテムは、フロッグコート、チュニック、シャツブラウス、シュミーズドレスなど。豪奢な飾りはないのに、たゆたうスカートのたもと、流れるようなシルエット、エレガンスで動きやすい。着る人の日常を考えた上で最上級の上品さを兼ね備えている服を作り出しました。

♯シャネルの基本は、ミニマルさ

シャネルといえば、ココマークやチェーンバッグ、ツイードジャケットが有名で、現代の私たちはなんとなく「THE・セレブ感」「前衛的」人によっては「ごちゃごちゃしてる?」そんなイメージを持たれる方も少なくありません。

というのもシャネルというブランドはシャネルが亡くなった1971年以前と以降で大きくブランドイメージが変化しています。そのため、私たちが現代のシャネルブランドに対するイメージと、創設者であるココシャネルが大切にしていた美徳はまた違ったもの。ココシャネルが基本としていたことは、何よりもシンプルな美しさとミニマルさ。素材が高級であることは大切だけれど、それが全てではない。

このマインドはシャネルに通づる部分でもあります。シャネルらしさに共感を得ている方はぜひ、ファッションにおいてもシャネルが美しいと考えていた、シンプルさを追求してみてはいかがでしょうか。