Q.営業女性は女を武器にしたり、うまくかわすスキルを備えていないといけませんか?
IT企業で営業として働いています。私は最近、受注件数を伸ばすことができず伸び悩んでいたので、どうすれば受注できるのか? を社内で一番売っている先輩(男性)に相談しました。
その時に「営業してると取引先の男性から誘われることも当たり前にあるし、女性側がどう上手くかわせるかに決まってる。ゴリゴリ営業ができる人は、オンナをも思いっきり武器にして掴むものだよ」という助言をされました。私が前に、取引先である男性からプライベートの食事を誘われたことを話たことがあったので、その話の続きでこういった話題になったのですが、男性からこのようなことを言われると思っていなかったので驚きです。
私の周りの友達にも話したところ、似たようなことを言われたことがあるという人もいました。営業女子は「女」を武器にしなければならないのでしょうか。そして「うまくかわすスキル」がないとやっていけないのでしょうか。このような発言に対して弁護士さんはどのように思いますか?(れな/28歳/IT)
A.違和感を感じた時に、立ち止まってよく考えてみて
れなさんの立場は、IT企業の中でも営業職ですから、受注ができないと仕事ができないレッテルのようなものを貼られてしまい、悩んでしまうことも多いと思います。そもそも、受注件数を伸ばすことができず伸び悩む時期はあって当然だとは思います。改善するため、先輩の異性に相談するのも自然な流れでしょう。「営業してると取引先の男性から誘われることも当たり前にあるし、女性側がどう上手くかわせるかに決まってる。ゴリゴリ営業ができる人は、オンナをも思いっきり武器にして掴むものだよ」という助言は、一般的なものであるとみることはできないでしょうが、男性からプライベートの食事を誘われる程度では、ただちに成約に結び付いたり、それこそ交際に結び付くようなことはないと思いますが、たしかに女性の営業の方ですと、そういったお誘いを執拗にうけてしまうこともあるようです。営業女子は「女」を武器にすること自体を否定しませんし、実際にそういうスタイルで仕事をこなす方がいても不思議ではありませんが、決して、それだけというわけではありませんし、「うまくかわすスキル」がないとやっていけないことはないと思います。弁護士としてこのような発言に対して思うのは、ビジネスの世界では、結果が重視され続けてしまうのは事実でしょう。かといって、営業成績の向上だけを意識してしまうと、自分がただしいと思わない「違和感ある」手段をとりがちです。「違和感」に自分なりに気づいたら、立ち止まって考える必要があるのではないでしょうか。まさしく本件の場合も同じだと思います。
回答者:弁護士 齋藤 健博
自身のLINEIDを公開しており、初回相談はLINEで無料で行うことが可能な弁護士。ハラスメント問題や浮気・不倫問題の解決に定評があり、過去には弁護士ドットコムのランキングトップに名を連ねた経験も。YouTubeではセクハラ時の対応に関する動画なども公開している。多くの被害者の悩みである「セクハラの線引き」や、「残すべき証拠」などを動画で分かりやすく伝えている。
YouTube動画URL:https://www.youtube.com/watch?v=gd8rwOXDKp0