LISAMELODY(リサメロディー)ってどんな人?
―アーティストとして活動していたLISAMELODYさんについて、まずお聞かせください。
元々はアニメの主題歌や、ショッピングモールなど、日本と台湾を拠点にライブなどを行っていました。歌手になったきっかけは、自分を発信することが好きで、自分なりの生き方をみんなに伝えていきたいと思ったから。そして聴いてくれる人をハッピーにしたい! という気持ちが大きかったです。
だからこそ歌手としての『LISAMELODY』は、関わってくれる人やファンのみなさんと一緒にキャラクターを作り上げていきたいと考えていました。そこで、CDジャケットを作る時のクリエイティブなチームやカメラマンや、衣装チームも自分の繋がりで作ったんです。カラフルでポップな衣装をあえて自分たちで作ることで、個性を表現したいと考えていました。
―その繋がりはどうやってつくったんですか?
SNSの繋がりが大きかったです。『LISAMELODY』が活動しはじめた2013年は、Facebookがすごく流行っていて。2013年だから、2013いいね! を突破する、それが実現したら2013枚のCDを作る、といったようにどんどん面白そうな目標を掲げていました。そうやっていくうちに、他のアーティストさんたちとの交流も増えて、コラボをしたりと色々な機会が増えていって。
―鬼才の画家、金子國義さんとの出会いもそこから?
金子先生の作品との出会いは実は、金子先生が亡くなられた後だったんです。八芳園の金子国義in Wonderlandで息子さんに会った時に、スピリチュアル的なものを感じたんです。作品を見た時には、時が止まったかのように感じました。絵が生きているように見えたのと、その中に自分が入っていったかのような不思議な感覚に陥ったんです。そして、その出会いをきっかけに『海のアマゾーヌ』という作品を起こしたライブの衣装の製作をしたいとお願いすることにしました。
油彩画を衣装にするのは難しいということで、知り合いのクリエイター集団『kage6sha』ANDOさんに相談して、たくさんの人が関わって制作にあたってくれたからこそ、その願いが叶ったと思っています。
―実際に”作品を着る”感覚はどうでしたか?
『海のアマゾーヌ』の衣装を着た時に、アートと洋服の力というものを感じましたね。金子さんの作品が訴える、女性としての力強さや洋服の持つパワーが強すぎて、精神力を高めないと負けるような気がして。神社を巡ったり、とにかく体をしっかりと作ろうと自分を高めることに集中しないといけない、と思いました。作品を洋服にしたい、と思い始めたのはそれがきっかけです。
今は亡き画家の作品を”ファッション”という形で生かしたい
―そこから洋服作りに意欲が湧いた?
そうなんです。もともと衣装を自分たちで作りたいと思うほどに、洋服に関してはこだわりが強かったのですが、ヴィンテージなものは長く愛され大事にされているのに対して、ファストファッションの入れ替えの速さがすごくもったいないなと感じていて。洋服には作り手の思いや、私たちが知らないようなこだわりがたくさんあることを知ってしまったからこそ、そこに価値をもたせたいと思うようになりました。
そこに絵があることで、この洋服を着る意味が生まれて、思い出も増えるといったように。長く愛される作品を洋服に込めることで、年齢も性別も越えて愛されるようなブランドができるんじゃないかな、って。世代や性別も越えて長く使っていけるように、ユニセックスフリーで製作しています。
―だから全ての洋服にそれぞれのメッセージが込められているんですね。
そうですね…。洋服・デザイン・素材など全てにコンセプトや意味を含んで作っています。日本のファッションカルチャーを盛り上げていきたい、という気持ちはもちろんのこと、金子先生の作品が、未来に生きる人たちにファッションを通して生き続けるように、と願っています。
【kanekokuniyoshilisamelody/カネコクニヨシリサメロディー】
「7つの滞在」army shirts
picture name「7つの滞在」より
clothes name「combat de déesses/女神の戦い」「『女神の戦い』彼女たちが愛するあなたを守るように」という意味を込めて背中にプリント。
絵画から伝わったきた「戦い」というワードをもとにアーミーシャツのデザインに。
あなたの生活が強い意志で輝けるように。
―本格的な洋服づくりはどうでしたか?
洋服作りに関しては全くの素人なので、まずは自分のこれだ! と感じるようなファッションを知ることから始めました。長く使えるような、シンプルでいて、かつ個性的なものを作ろうと。ラフを手書きで書いて、といってもすごく下手くそなイラストなんですけど…。(笑)
こだわりは文章で書いて、それをパタンナーさんに起こしてもらって。生地選び、そして工場といった感じに進めていきました。
日本の作品として残したいからこそ、メイドインジャパンにもこだわりました。だけど生地にこだわって、ボディから作ってるからこそ、大量生産が難しくてコスト面でも悩みがたくさん。共同メンバーでお金を出し合って始めたんですが、だからこそ悩んだこともたくさんありました。ブランドの企画書を作成してから、コンセプト、ファッションのデザインまでを起こすまでに1年以上の時間を使いましたね。
様々な百貨店でポップアップストアや展示を開催
金子國義さんの作品を洋服にして、インターネットでの発売を開始したのは、今年の6月でした。そこからは、様々な百貨店さんでポップアップストアや展示を開催させてもらっています。お店にお客さんが来てくれて、喜んでくれる姿を見られるのが一番嬉しいし、この仕事をやっていく上でのやりがいだと感じています。金子先生のファンの方はもちろん、私に会いたいと思って来てくれる人が居るなんて、すごく幸せですよね。
―これからの目標は?
日本の素晴らしいアートやファッションをもっと海外にも発信していきたいからこそ、海外での店舗展開も目標にこれからも長く愛されるような洋服を作っていきたいと思っています。移り変わりの激しい世の中だからこそ、素晴らしいものは長く大切にしていきたいですね。
終わりに
日本にあるべき、素晴らしいものは形を変えてでも生き続けるべきだ。
亡き画家、金子國義先生の作品に新たな命が吹き込まれ、そして私たちにとって身近な、衣類として蘇った今。新しいストーリーを描きながら、これからも活動を続けていくこのブランドの行方を、これからも見守っていきたいと思う。