偶然を計画的に。キャリアは人との出会いや環境の変化によって形成される



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なりたい職業、将来の夢。私たちは、幼いころからよく将来についての想像を頭の中で膨らませてきました。

ところが、スタンフォード大学のクランボルツ教授が一般的な社会人を対象に調査した結果によると、18歳の頃になりたかった職業に実際に就いている人の割合はたったの「2%」しかいなかったそう。
また、いわゆる「社会的に成功した」と言われるビジネスパーソン数百名に調査したところによると、「自分のキャリアは意図的に形成されたものではなく、人との出会いや環境の変化等による”偶発的なもの”だ」と定義した人が全体の8割に及んだのだとか。

このデータからは、従来のキャリア教育の現場で言われているような、「自分のキャリアは自分自身で計画し、意図的に職歴を積み上げて形成するもの」だけではないということがわかります。

今のような変化の激しい時代に、あらかじめキャリアを形成したり、形成したキャリアに固執したりすることは今後、ナンセンスになるに違いありません。
自分が何をしたいかの意思決定だけにこだわりを持ち、ひとつの仕事や職業を撰びとること。これは、それ以外の可能性は捨ててしまうことと同じなのです。

重要なのは、リストラやスカウトなどの偶然の出来事を避けるのではなく、本人が主体性と努力を持って、その「偶然」を最大限に活用することです。

よくビジネスの格言などで、「チャンスの神様は前髪しかない」という言葉を引用しますが、この話は、自分に選択肢を与えられたとき(チャンスの神様がやってきた時)に、迷ったり悩んで時間を無駄にしている間にもどんどんと神様は遠ざかり、ようやく意思決定をして後ろ髪を掴もうとした時には、髪がないから巡ってきたチャンスをうまく掴みきれなかった、ということを表しています。逆にいうと、「社会的に成功した」と言われるようなビジネスパーソンたちは、この前髪をつかむことが非常にうまかった、ともいえるのです。これがセンスと呼ばれるのかもしれません。

とはいえ、そういった予期しない「偶然」は、受け身で待っているだけではいけません。自分から創り出せるように、積極的に行動し、アンテナを高く張って、「偶然」をもステップアップへの機会へと変えていくことが重要なのです。「偶然」を計画的につくること。これが『Planned Happenstance Theory(計画された偶然性理論)』です。

では、実際に「偶然」を計画するためにはどうすればいいのか?
「偶然」を有効的に自分のキャリアに取り込むために、重要な行動として教授は下記5つを挙げています。

好奇心

たえず新しい学習の機会を模索し続けること

持続性

失敗に屈せず、努力し続けること

楽観性

新しい機会は必ず実現する、可能になるとポジティブに考えること

柔軟性

こだわりを捨て、信念、概念、態度、行動を変えること

冒険心

結果が不確実でも、リスクを取って行動を起こすこと

ここでの「偶然」は、人との出会いや物事を指しているため、何が一体自分にとってのチャンスであるのか非常に見分けがつきづらいものでもあります。出会いは一期一会。もちろん出会う人の全てが自分にとってのプラスになるとは限りません。そのために、自分にとっての譲れない価値観や、方向性はしっかりと定めておくことを忘れないでください。
アンテナは高くなればなるほど、横風を受けて不安定になってしまいます。大切なものを見落としてしまうことのないよう、自分の感度を上げることも必要なのです。

理想のキャリア形成に、この計画された偶然をいかにたくさん作っていくか。ライフスタイルが多様化する今の時代にこそ、人との出会い、縁が自己成長の材料となります。自分で設定したキャリアプランだけを凝り固めるでなく、新しく地図を開拓するような気持ちで、出会いと物事を大切にしていきましょう。