【連載】ココシャネルに学ぶ「時代をつくる女の生き方」



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ガブリエル・ココ・シャネルに魅せられて

私は、2008年にファッションスタイリストアシスタントとして、アパレル業界へ入りました。その年の前から、すでにアパレル業界で働くという目標を立てていたので、自主学習と称して暇さえあれば図書館に行っては、服飾史に関連する書籍を読み漁っていたのです。

「私たちが今、着ている洋服は、どのようにして作られて着たのか。」「女がドレスから一変して、パンツを履くようになったのは一体いつからなんだろう。」そんな素朴な疑問をただ解明したい一心で、たくさんの書籍を読んでいたのですが、数々の書籍の中で必ずと言って良いほど登場するファッションデザイナーこそが、「ガブリエル・ココ・シャネル」でした。

そう、彼女は20世紀の劇的に変化する洋服の礎を築いた人であり、女性に洋服という名の「自由な生き方」を与えた、近代服飾史に最も必要不可欠なファッションデザイナー。彼女の存在なしに、私たちは現代の洋服を着ることは出来ません。そして彼女は服を通して、これからの時代を生きる女の姿を見ていたのです。その類稀なる先見の明を持つ才能は、21世紀の女性、つまり私たちを生み出すために彼女にだけに与えられた神様からのギフトだったのでしょう。

ココシャネルと現代の女性の関係性

私が愛した洋服を与えてくれた、ココシャネル。私はいつしかシャネルに対して、親を見るような憧れの気持ちや、思春期の男の子が年上のお姉さんに初恋をする時のような、なんとも言えない高揚感と、淡いときめきを抱いていました。もっと彼女のことを知りたい。もっとたくさんの人にシャネルという女性を知ってほしい。そんな気持ちが昂ぶって、気づけば服飾史よりもココシャネルに関する書籍を集めていました。

読めば読むほど、彼女の男にも勝る生きる強さと自我、繊細でエレガンスなクリエイティビティ、女性を慈しむ母のような愛が、文字からひしひしと伝わってくるのです。それと同時に、彼女は今から135年も前に生まれた人だというのに、なぜか私たちと全く同じ価値観を持っているということに気づき、大変驚きました。

おかしいんです。彼女が生きた時代は、女が働く=貧乏家庭という価値観の時代。働くなんてもってのほか、社会に出ることは許されない。許されるのは上流階級の貴族だけという時代において、なぜ彼女の考えに私たちが共感するのでしょう。それは彼女は自分が生きた時代の窮屈さに耐えかね、自分が良いと思う信念を、臆することなく世の中に発信し続けたから。彼女の声が、当時多くの女性の共感を生み、そして次第に女性を快活にさせていったのではないでしょうか。

長い歴史の上で、シャネルが発し続けた“女の在り方”が、多くの人に語り継がれ、数十年を経て今、私たちの“当たり前の価値観”になっているのです。現代の女性を生み出したというのは、シャネルが逆境にも負けず“女としての自由”を、声をあげて伝え続けたその成果によるものだと、私は強く確信しています。

次世代を生きる女になる

シャネルは自分の生きた時代のあらゆる社会の制限やルールに対し、不満や怒りを持ち、デザイナーという武器を手に入れ、次の世代につながる“女性の自由”を発信し続けてきました。まさに時代の変わり目となり、新しい時代の扉を開いたシャネル。

彼女を知ることは、次の世代の変わり目に生きる私たちに大きな勇気を与えることになるのではないでしょうか。女性が働き、男性と同じように平等に扱われるようなって久しくなった、今。アナタはこれからの女性には一体、何が必要になると思いますか?

シャネルのようになる。…というのは少々、大言壮語かもしれませんが、シャネルのような強さと未来を見据える目があったなら、もしかするとアナタ自身が第二のシャネルのような存在となり、数十年先の未来の女性の礎を作る可能性だって、ゼロではありません。シャネルに感銘を受けた女性が、彼女のスピリットを抱いて、また新しい時代を作っていく…そんな、エネルギッシュな連鎖が生まれることを願って、今回この連載を始めてみました。

前置きが長くなってしまいましたが、この連載では特に感銘を受けたシャネルのエピソードを抜粋し、現代を生きる女性が強く前を向いて生きられるようになる、大切なエッセンスをご紹介していきます。是非、ここを読んでくださった皆さんが、シャネルの人生を通して、ご自身の在り方について振り返るキッカケとなれば幸いです。

私とシャネル

みなさんに、シャネルの物語を通して自分を考えるキッカケに…と偉そうなことをお伝えしてしまいましたが、私自身が何よりシャネルの物語を知って人生が変わったのです。これまで、私は自分の自我というものを、発信してきませんでした。

子供の頃は、嫌われるのが怖くて自分の意見はおろか、何かを話そうとすると言葉が詰まって挙動不審になる吃音症や顔が真っ赤になる赤面症でした。当然、人前で堂々とできない自分を恥じて、自分を好きになることもできません。誰かに否定されたり、嫌われることを考えると、途端に怖くなって何も動けなくなってしまうのです。

しかし、シャネルは当時、相当な異端児だったはずなのに常に強い言葉で自分を鼓舞していたのです。「ショートカットが流行ったんじゃない。私が流行ったの。」というシャネルの言葉があるのですが、彼女はこんな強いメッセージを絶えず、絶えず、それはもう多く語っているのです。

実際に、流行のスタイルは彼女が作り出したものだし、彼女が着るものが瞬く間に売れるのですから、シャネル自身が流行だったとも言えます。それを強く発言できるだけの、たゆまぬ努力と自分の信念を貫く強さこそが、私のシャネルが一番大好きなところ。

彼女のようには、まだまだなれませんが、自分を信じる力はシャネルのおかげで、少しずつ確固たるものとなっていっています。みなさんとっても、そうした自分の課題を見つめる一つのキッカケをシャネルの物語から見つけてもらえたなら、とても嬉しいです。次回は、より詳しくシャネルという女性がどんな人生を歩んできたのかをご紹介いたします。