楽しくて仕方なかった仕事に、急に違和感を感じるようになった #彼女が転職を選んだ理由



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働くことが楽しくて仕方なかった

不動産の営業をしていました。正直自分でも驚くのが成績の良さで、新卒でその会社に入社してから、ずっと売上1位をキープしていました。今の旦那さんと出会ったのも、実は同じ会社の研修がきっかけだったんです。

研修で本社に通っているうちに、仲良くなって意気投合。すぐに付き合い始めたので、会社の上司や先輩も私たちが恋愛関係にあることはずっと知っていました。もちろん違うエリアの担当になったので、仕事で基本的に彼とやりとりすることはなく、勤務地も違っていたので、私たちの恋愛関係が仕事に影響する、とかは特になかったんです。私はずっと売上も良く、彼もそれに続くように結果を出していたので、正直“やり手の新人カップル”くらいに扱われていました。

私たちの結婚が決まったときも、会社のメンバーはすごく喜んでくれていました。私も彼も、世渡りがうまいというか…上司からもよくお酒の席に誘ってもらえたりして、出世コースが目に見えていたし、周囲もお祝いムードを作ってくれていて、働く環境としてはベストだと感じていたんです。

けれど、私が営業でとある夫婦のお宅にお邪魔したときに、段ボールいっぱいのインスタント麺が置いてあったのを見たことから、この働き方に違和感を感じるようになりました。
そのご夫婦は、すごく仲が良いけれど、お互いに仕事が忙しくて、毎日の帰りも遅いみたいだったんです。だから必然的に、料理をする時間もあまりなくてインスタントのものを食べることが多くなる、と言っていました。もちろん、お子さんも居ませんでした。夫婦の形はそれぞれだし、そのお2人にとっては、その生活がベストだと一緒に考えた結果だと思うんですが、私はその夫婦とお話をしていると、正直子どもも欲しいし、美味しい料理を旦那さんに作ってあげることもしたいなって思ってしまったんです。

けれど不動産営業を続けていると、土日の休みはもちろんなければ、付き合いで仕事が遅くなることも当たり前で。それこそ、結婚したてのころは料理や家事を頑張ってはいましたが、仕事に疲れたときにはそのまま買いおかずでお互いに済ませる、なんてことも徐々に当たり前になりつつあって。このままの生活を続けていたら、「将来子どもを持ったときにどうなるんだろう」なんて不安を感じるようになりました。あのダンボールいっぱいのインスタント食品を、何度か思い出したりもしました。

出世より、家庭が大事だと気付いた

このままいけば、2人とも出世コースで、購入したマンションのローンもしっかり払っていけるし、生活に不自由なく過ごせる。けれど、子どもは早く持ちたい。私の中での葛藤が強くなっていったので、友人に相談をすることにしました。けれど口を揃えて言われるのは「今の会社を辞めるのはもったいない、子どもができてから考えれば?」という意見で。

もちろん、それも考えてはいたし、たしかに一番効率が良いのは理解できました。けれど、仕事に疲れて帰ってきてから、妊活を頑張る体力はお互いになくて…。子どもを授かるにも、計画が必要になることがわかってきたんです。仕事の状況と、どうしても切り離せない家庭のこれからを冷静に考えた結果、退職という選択肢を選ぶ意志がだんだん固まっていきました。

たくさん相談した友人の中で、2人だけ「辞めればいいじゃん」と言ってくれる人たちが居ました。「これまで続けた実績があるから、今後社会復帰するときに選択肢がゼロになるわけじゃない」、「今の会社以外の会社に勤めても、高められる能力はある」、「本当に子どもがほしいなら、迎え入れる準備や家庭を作る準備は必要」だと。
2人は私と業種は違えど、頑張り屋さんのキャリアウーマンだったので、正直相談したところで、仕事を選べと言われるんだろうな、と勝手に思い込んでいたんですが、全く逆の答えを私にくれたんです。

それがきっかけで、退職することを決意がハッキリと固まりました。旦那さんに相談したときも、(今まではある意味良いライバルであったので)思うところはあったとおもいますが、快く受け入れてくれました。

子どもができ、成長するまでは、残業も少ない会社でやっていきたいと考えて、小さな会社の営業事務として今は働いています。残業はある日はありますが、それでもご飯を家で作ることができるようになったので、出費は少なくなりました。

会社を出た後も、空がまだ明るいことに気付いた時には、ちょっとだけ感動しますね(笑)。

#彼女が転職を選んだ理由

私が転職を選んだ理由は、仕事に追われて考えることの少なかった、生活に関してを強く考えるようになったことがきっかけでした。多分私、努力している自分が好きだったんです。(笑)
そこに対して評価も付いてきてことによって、そこがまるで、自分の居場所かのように感じていたんですね。けれど、一番大切にしたい、これからの夫婦生活を作るにあたっては、その環境はベストではなかった。私の優先順位は、出世や収入よりも、家庭や時間だったんと思います。会社は私がいなくても成り立つけれど、家庭はそうではないですからね(笑)

取材協力:27歳 営業事務/堀内あゆみさん(仮名)