失うものがない強さを知った #フリーランスに生きる 【料理家/中井かな】

失うものがない強さを知った #フリーランスに生きる 【料理家/中井かな】

フリーランスという生き方を選ぶ女性たちをピックアップする連載 #フリーランスに生きる 。ここでは、現在注目されているフリーランスというワークスタイルで、彼女たちが過ごしている理由と、フリーランスで生きるための努力を知るためのインタビューを行なっています。今回は料理家の中井かなさんに話を伺いました。


近年注目されているフリーランスというワークスタイル。 一見自分で自由に過ごせる……というように捉えてしまいそうな働き方ではあるけれど、実際にフリーランスという働き方は、そう甘い考えで成功できるものではありません。
それを知っていながらも、フリーランスというワークスタイルをなぜ人は選ぶのか?
今回は6年半の会社員生活から一転して、料理家として活動する中井かなさんにインタビュー。

現在のお仕事を教えてください

フリーランスの料理家として活動しています。主な業務は大きく分けて2つで、ひとつはレシピ開発をしてレシピサイトに掲載すること、もうひとつは料理教室などのイベント開催です。企業から依頼をいただいたら、商品を使ったアレンジレシピの開発なども行っています。

フリーランスになる前のお仕事は?

フリーランスになる前は、会社員として銀行に勤めていました。銀行っていうと、窓口でお金の引き出しや預金の管理をしているイメージですが、私は主に本社で法人向けの対応を行っていて、企業の退職金などのお金を扱う仕事を担当していました。運用方法や制度の規約作りなど……いわゆるデスクワークを6年半くらい続けていました。

会社員だった頃のスケジュール

会社員をしている時の1日のスケジュールです。
基本的には朝6時半に起きて、そのあと準備をしてから出社。定時は17時10分だったのですが、だいたいは18時頃まで勤務していました。繁忙期の場合は20時を越えることもあったけど……基本はこれくらいかな。

ただ、3年目に入るまでは会社でさまざまな資格の取得を行わなければならなかったので、基本的に行き帰りの往復は勉強に……試験の直前は家に帰ってからと、土日の時間を使ってでの勉強を行わなければいけないという状況でした。3年目までは年に10回くらいかな……月1回に近いペースでさまざまな資格の試験を受けなければならなかったので、基本的にずっと勉強している状態でしたね。

正直、料理は土日を中心に息抜きにする程度。家に帰ってから自炊をする……というような余裕はあまりなかったです。

銀行の仕事は、会社員をしている時から正直「一生やるべき仕事ではないな」と感じていました。社会人経験のひとつとして考えていて、入社した頃から「3年は続けるぞ!」とは決めていたんですけど、気づいたらそのまま6年半勤めていた形です。

大きな転機になったのは、結婚ですね。
仕事のサイクル的に、旦那さんとは基本的にはすれ違いの毎日。私が早く起きて仕事に行って、帰ってきてからはグッタリ……。少し顔を合わせる程度で、先に眠るのが普通になっていました。旦那さんに美味しい料理を作りたいという気持ちはあったものの、なかなかプライベートを充実させるための時間を平日作ることはできませんでした。

けれど、家族になるのならしっかりと料理や家事もして、家庭というものを作っていきたい。そこで、仕事を辞める決意をしたんです。

「料理に関する仕事がしてみたい」という気持ちはずっとぼんやりと持っていて、テーブルコーディネーターやフラワーアレンジメントの教室に通ったりはしていたんですけど、栄養士になるために大学に通っていたわけでもないので、いきなりフリーランスになって自分がしっかり食べるだけのお金を稼げる保証はありません。

退職したあとは、料理学校の教室に通いました。それと平行するように、アシスタントを募集している料理家の先生を探して面接に。その料理家の先生はもともとテレビや本でも話題の、私にとって憧れの人。そこでアシスタント業務を行いながら、企業とのやり取りのフロー、社会人スキルも実務に携わりながら覚えて行きました。習いごとの一歩先、というような期間が1年ちょっとくらいでしょうか。そのあとは、料理家の先生が東京を離れることになってしまったので、アシスタント業務からは離れてしまいましたが、フリーランスになってからは正直、全てが手探り状態で、ただ目の前のことをひたすらこなすのみでしたね(笑)。

旦那さんは、私が専業主婦にでもなるのかと思っていたみたいなので、特別反対されることもなく、ただただ応援してくれていました。

フリーランスになってからの生活は?

やっと、乗りたかったレールに乗っかれた! という気持ちです。
会社員でいることは安定ではありましたが、常に「私はこのまま会社員を続けていてどうなるんだろう」って漠然とした不安があったんです。辞めることがいけないことのように感じてもいたし、同期の動きが気になったり、それこそ結婚や出産をしたら置いてかれる……って気持ちも大きかったです。フリーランスになってからは「失うものがない」っていう気持ちが強さになりました。

通っていた料理教室では、料理はもちろん写真を綺麗に撮るコツだったり、社会人的なスキルも教えてもらえたので助かっています。今でも、その料理教室がきっかけで料理レシピのコラム掲載の仕事があります。

フリーランスになってからのスケジュール

レシピを作る時のスケジュールはこんな感じです。
掲載するレシピ数は月に4〜5個ですが、それに加えて料理教室で紹介する6〜7品のレシピを考案します。料理教室は春夏秋冬の季節ごとに合わせて開催しているので、毎月というわけではないのですが……多い時で月に11〜12個のオリジナルレシピを考えていることになりますね。その時はもちろん、変則的なスケジュールになります。
あとは企業さまから依頼されたレシピを追加で考えて納品する、といった感じです。

フリーランスになって感じた悩みは?

フリーランスは自由度が高いからこそ、全てが自分次第です。
「忙しくしよう」と思えばたくさん仕事を受けたり、料理教室を開催する頻度をあげればいい。そのぶんサボったら大変ですが、私の場合は好きなことだから続けられています。

最初は料理教室を開くのも不安が大きかったですが、友達が友達を連れて来てくれたり……今の時代はSNSやブログなど、人に伝える手段があるのでそれが大きかったです。企業とのコラボやデモンストレーションがあった場合には、喋りながら手を動かして、次の工程も考えながら見せ方も気にする……というような難しさも感じました。

今、たくさんの料理家さんが生まれている中で大切にしたいなと思っていることは、「他の人とどうやって違いを作るか」ということです。言葉にするのは難しいんですが、レシピの写真ひとつをとっても、カフェ風だったり、古民家風だったり、まるでホテルのような料理だったり……とシーンを伝えるための雰囲気作りをみなさん大切にしています。
私の場合は、レシピにしても料理教室にしても、実際にやってもらわないと意味がないと思っているので“無理のない範囲でできること”を意識しています。
家庭にある道具でも、料理を美味しそうに見せられるための工夫だったり、食器やカトラリー、ナプキンの色使いなど……自分らしさを目で伝えられるように意識しています。

悩みとしては、オンとオフの使い分けが難しいことです。フリーランスの場合は、その切り替えがうまくできないと、スケジュールの管理が難しく、新しいレシピも考えようと思っても、煮詰まって出てこなかったりします。最近では、あえて外に出て友達と予定を入れて、気分を変えてから家で簡単な料理を作るようにしています。意外と気分を変えて、簡単な夕飯を作っているときに新しいレシピ案が浮かんできたりするんです。最近ではこうやって気分転換法をある程度覚えられてきましたけど……私は切り替えが得意なタイプではないので最初は大変でした。
それこそ四六時中仕事のことばっかり考えていて、全く心が休まらない時もありました。

気持ちの余裕ができたことで、ようやく家族ともっと向き合える

今はとにかくシンプルに、やってて楽しい。
基本的には1人で考えて、1人でやるってことも多いんですが、イベントを通じて人と出会うこともあるので、退屈に感じることはありません。
自分と同じように、食を仕事にしている人たちと仕事を通して出会うこともあるので、情報交換もできるのが刺激になります。ある意味ライバルではありますが、自分と同じように頑張っている人たちがいるんだと思えることは心強いです。

一時期は「実績を作らなくちゃ」、とか「もっと頑張らないと」っていう気持ちもあったんですが、ペースを掴めてきた今は、自分で仕事と時間を選ぶことができるので、もっと家族との時間を大切にしようと思えるようになりました。
会社に勤めていたころよりは家庭にいる時間が増えた。その時間をやりたかった仕事に使い始めたら、自分にとっての“ちょうど良い”時間や仕事量のバランスが難しくなった。けれど、今はある程度自分のペースで物事が進められるようになったので、次は子どもを持つタイミングも考えられる。こうやってひとつひとつ前向きになれることが増えてきたのは、フリーランスという働き方を選んだからだと思います。

この記事のライター

Cinq(サンク)-よくばり女子のはたらきかた-

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