「母親の心は、子供たちの教室」ウーマンダイアローグ #27



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今回のゲスト♡ 坂本ひろみさん

坂本ひろみ
「子育て支援に関わりたい」との思いから、自身の子育てが一段落後、再び学生になり発達心理学を学び保育士免許も取得。
その後、大学院に進学し、親になるということを発達心理学の観点から考え研究をすすめる。
大手幼児教室、専門学校、大学での講師、カウンセラーとして子育て相談などを経験。
現在は、フリーランスで、ママの気持ちに寄添い、心を軽くする『育児コンシェルジュ』として頑張るすべてのママを応援中。

インタビューする人♡ 渡辺彩季

渡辺彩季(わたなべさき)
京都府出身、東京在住のフリーライター。
女性をターゲットにしたメディアを中心に美容、ファッション、ライフスタイルなどの幅広い記事を執筆中。
美容が大好きで、コスメコンシェルジュ、全米ヨガアライアンス、アロマテラピー検定1級、温泉ソムリエなどの資格を取得。

ウーマンダイアローグ#27 【育児コンシェルジュ/坂本ひろみさん】

渡辺:本日はよろしくお願いいたします。

坂本:よろしくお願いいたします。

渡辺:まだ子どもがいない私にとって育児は興味深い分野なので、今日はたくさん学ばせていただきたいと思います。坂本さんの現在の仕事の内容を教えていただいてもよろしいでしょうか?

坂本:私は『育児コンシェルジュ』として、料理教室での託児をメインに行っております。教室に通われていらっしゃる生徒様の子どもをレッスン中に別室で預かっています。そこから派生して、個人の家で知育託児をしたり、個人レベルの子育て相談を聞いたりしています。

渡辺:子どもを預かるだけでなく、子育て相談まで!? 知識を持っている方から専門的なアドバイスを受けられるのはありがたいですね。

坂本:発達心理を勉強していたので、その経験を今の仕事に活かしています。また、私自身子どもを育て孫育児のサポートをしていますので、母親や祖母の目線で見ることができます。

『育児コンシェルジュ』とは?

渡辺:『育児コンシェルジュ』はあまり耳慣れない言葉ですが、この肩書きは坂本さん自身が考案されたのですか?

坂本:はい。フリーランスで託児の仕事をはじめるにあたって「肩書きは何にしよう?」と考えた中で、何かの規格に当てはめるというよりかは自分らしいオリジナリティーのあるものがいいと思いました。私自身の今までの経験を踏まえて子育て支援をしたかったので『育児コンシェルジュ』というネーミングがピンときました。「コンシェルジュ」というのは、日本ではホテルのようなホスピタリティ溢れる仕事に対して使う言葉ですよね。なので、単純に子どものお世話をするだけではなく、保護者の方の悩みを聞いてアドバイスまでできることが理想です。

渡辺:たしかにピタリと当てはまるネーミングですね。ちなみに坂本さんのホームページの名前が『grand-mère(グランメール)』ですが、それにはどういった思いが込められているのでしょうか?

坂本:『grand-mère(グランメール)』はフランス語で「おばあちゃん」という意味なのですが、みんなにとっての「おばあちゃん」でいたいという思いから名付けました。血が繋がっていなくても家族のように思っていただけるような存在を目指しています。自分ができることを考え、同じ目線でいることを大切にして、親近感のある立場でありたいです。

42歳で大学生になりました

坂本:私は子どもが1人だったので、中学生まで育つと子育てに余裕が出てきました。時間ができたから何か新しいことをはじめたいと思い、託児の仕事に就きました。

渡辺:結婚と出産を経て、託児の仕事をはじめられたのですね。しかもお子様が中学生になられてから! 最近『働き方改革』が話題になっていますが、自分が将来どんな仕事をするか分からないものですね。子育てを経験された坂本さんだからこそ、説得力を感じる対応も多かったと思います。

坂本:はい。自分自身が既に一度子育てをしているので、相談者に共感できる部分もありました。しかし、子どもを預けてくださった親から相談を受けたときに私の実体験や個人的な意見を伝えるだけでは無責任だと思う部分もありました。そこで、本格的に子育て支援をするために視野を広げてみようと思い、発達心理学に興味を持ちました。「大学で科目履修をして聴講生になってみたら?」とアドバイスを受け、試してみたらおもしろかったので、42歳の頃に再度大学生になりました。

渡辺:本格的に大学で授業を履修して学ばれたのですね! 大学は年齢層が幅広いし、社会人になってから再び通う方も多いですよね。

坂本:発達心理を中心に学びたかったので、知人におすすめしていただいた白百合女子大に編入することになりました。20年ぶりくらいに再び大学生になって、おもしろいなと思うことがたくさんありました。たとえば、現役で大学に通っていた頃は授業が休講になれば喜んで友達とお茶をしていたのに、主婦になってから2度目の大学生活を送った時は「授業料を払っているのにもったいない!」という気持ちになりました(笑)同じ学生なのに年齢を重ねて感覚が変わりましたね。

カウンセリングルームのドアを開く勇気を持ってほしい

渡辺:大学で学んだ発達心理の知識を活かして、どのような仕事をされてきたのですか?

坂本:まず、小学校、中学校、大学のスクールカウンセラーをしました。具体的な相談内容は守秘義務があるのでお話しすることができませんが、カウンセリングルームのドアを開ける勇気を持ってくれた生徒の存在は伝えたいです。相談しに行くことを躊躇している方たちは、ぜひ行動に移してほしい。

渡辺:学生時代の私がまさにそうでした。中学校や高校にスクールカウンセラーがいたのに結局一度もカウンセリングルームに行かなかったんですよね。私は強がりな性格で人に悩みを話すことが苦手なんです。個々の生活がある中で自分のために時間を割いてもらうのが申し訳ないので、親友レベルの人にでもなかなか相談をしたいと思えなくて。たとえ相手が迷惑じゃないと言ってくれたとしても自分が嫌なんですよね。せっかく友達に会うのなら楽しい話をしていたいし、ネガティブな話をしたくないと思ってしまいます。

坂本:特に思春期の頃は悩みを打ち明けられない子どもが多いので、渡辺さんと同じような感情を抱いている学生もめずらしくないと思います。

渡辺:そういった私の性格を察知して、担任の先生がスクールカウンセラーの存在を教えてくださったのですが、結局会いに行くことはありませんでした。スクールカウンセラー自体には興味があったのですが、悩みに対して自己完結したいという思いが強くて。今となれば、人生経験にもなるから一度くらい行ってみてもよかったなと思います。

坂本:今悩みを抱えている人もカウンセリングルームのドアを開ける勇気を持っていただきたいですね。

渡辺:全てを解決することができなくても、誰かに話すことで心が軽くなるかもしれませんしね!

坂本:スクールカウンセラーをしていた頃、生徒だけではなく保護者の方も相談に来られることが多かったです。子育てを経験している私だからこそ保護者の気持ちに寄り添い、今何が必要かを常に考えることを大切にしていましたね。

渡辺:人の悩みを聞くと自分自身も成長できるし、いろんな見解を知ることができるので視野が広がりますよね。

坂本:話を聞いて客観的な視点でお話することで、相談者の心の負担を軽くしたり、何か気付きを与えたりできればいいなと思っていました。悩みを話すことで心を整理できるので、そこのお手伝いができればと。相談を受けることで個々の家庭の背景も見え隠れします。学校の先生方もなかなか家庭を見ることができないんですよね。人数も多いし、個人情報やプライバシーについても厳しくなり、家庭訪問がなくなっていますよね。

渡辺:個人情報やプライバシーが尊重されるなかで、どこまで教師が生徒に踏み込んでいいのか難しいところですね。

坂本:そうなんですよ。なので、カウンセラーは“先生側からの見えない部分と保護者側からの見えない部分を繋ぐ役”ということを仕事を通して実感しました。そこを上手く繋ぐには、自分はどう動くべきかをずっと考えていました。

子どもの成長発達の一部分に携われたときに喜びを感じます

渡辺:坂本さんが『育児コンシェルジュ』の仕事にやりがいを感じる瞬間を教えてください。

坂本:先日、2か月ぶりにお会いした女の子が前回一緒に遊んだ内容を覚えてくれていて、そこから次への展開ができたんです。このように進歩を目の当たりにした時に成長発達の一部分に携われたかなと喜びを感じます。

渡辺:子どもの成長は本当に早いですからね。2か月でも大きく変化が表れそう!

坂本:ちょっと会わない間に確実に成長しているんですよね。私は自分がした子育てが楽しかったので、子育て支援をしたいという思いがあります。

 あとは自分の知っている理論から子育てに関してのアドバイスをしたときに保護者の方が安心してくださって、自分の子どもへの接し方が変わったとおっしゃっていただいたときは嬉しいです。

渡辺:子どもの頃の記憶って、断片的ではありますが意外と覚えていますよね。私は幼稚園の頃にみどりちゃんという友達がいて、その子の誕生日会に行った記憶が今でも鮮明に残っているんですよ。

 みどりちゃんのお母さんがとても料理が上手で、誕生日会に参加したときにみんなでパン作りしたことが印象的でした。パンの作り方を子どもたちにレクチャーしてくださって、焼きあがったものをお土産にしてくださったのですよ。私はその時に人生で初めてパンを作ったのですが、とても楽しかったです!ドレンチェリーやアンゼリカ、チョコチップなどのトッピングもいろいろ用意してくださっていたので、私はくまさんの形のパンを作りました。

坂本:思い出に残る、素敵な誕生日会ですね。

渡辺:みどりちゃんとは幼稚園以降同じ学校に通うことがなかったのですが、とても素敵な誕生日会に呼んでいただけたことが嬉しくて、大人になった今でも思い出すことが多いです。正直みどりちゃんのお母さんのことはよく知らなかったのですが“自分にパン作りの楽しさを教えてくださった素敵な女性”と認識しています。私も将来お母さんになったときにそういったきっかけ作りができたらいいなと思います。

坂本:素晴らしい出逢いですね。子どもにとってその経験が将来の夢に繋がるかもしれませんし、人生に大きな影響を及ばすかもしれません。そういった新しい世界の楽しさを教えられたらいいですよね。

遊びを通して学ぶ“知育託児”

坂本:私は発達心理学を学んだので、単純に子どもを安全に預かるだけでなく、そこにプラスして遊びを通して学ぶことができたらいいなと考えています。個々のお子様の運動的な発達や精神的な発達に合わせて、たとえ1時間や2時間の短い時間でもその子の成長に効果的な遊びを提案しています。

渡辺:個人に合わせた遊びを選んでくださるのですね!

坂本:はい。過去に保護者の方が「子どもを預けるということに罪悪感を感じる」とおっしゃられたことがありました。正直私は驚いたのですが、人によってはそういう感覚もあるんですよね。しかし、もし「預けている間に子どもが学んでいる」と思っていただければ、そのような罪悪感は軽くなるのではないでしょうか。ただの託児ではないことをアピールしたいと思ったときに『知育託児』という言葉が思い浮かびました。

今後の目標は“育児コンシェルジュを続けること”

渡辺:坂本さんの今後の目標を教えていただきたいです。

坂本:目標は現状を維持することです! 健康に気を付けて、この仕事を続けていきたい。できれば同じ職業をずっと続けていきたいです。

渡辺:年を重ねることに体力が低下していくなかで、同じパフォーマンスを続けることは大変ですよね。続けることによって見えてくる部分もありますし。

坂本:そうですね、今と同じペースを保つことにも意味があると思います。人生いろいろありますが、私は目の前にある自分の道を坦々粛々と歩いていきたいです!

grand-mère 坂本ひろみさんのホームページ

インタビューを終えて…

育児コンシェルジュの坂本ひろみさんと対談をさせていただきました。

42歳から大学へ通い、そこから本格的に託児の仕事をはじめたとおっしゃられていたので、モチベーションさえあれば今している仕事と全く違うことでも挑戦することができるんだなと思いました。先のことは分かりませんが、私も自分の心の声に従って将来の働き方について考えていきたいです。

「母親の心は、子供たちの教室」

アメリカ合衆国の会衆派教会牧師であり、社会改革者、演説家でもあったヘンリー・ウォード・ビーチャーの名言です。

坂本さんのように愛を持って仕事に取り組めば、血の繋がりがなくても本当に祖母のような親近感のある存在になることができそうですね。保護者の方は託児所が多いなかで預け先を選ぶわけですが、坂本さんが展開されているサービスに魅力を感じるのではないでしょうか。知育に特化したプログラムをたくさん用意してくださっているから、子どもたちも楽しく遊びながら学ぶことができるので喜ぶはずです♪