「どうして転職したいの?」面接で後ろ向きな本音をうまく伝えるためには



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「転職したい」理由を本音で話せる?

おはようございます!キャリアアドバイザーAです。

Cinq読者の皆さん、ご機嫌いかがですか?
このコラムは、転職活動を始めた方や、活動してみたものの少し躓いてしまっている方に向けて、人材ビジネスのウラ話も交えた「ヒント」をお伝えできればと考えながらお送りしています。

前回、一次面接を受けるにあたって最低限確認しておいてほしいことをお伝えしました。

●書類選考が通過した理由(評価ポイント)をきちんと確認すること
●血が通った、自分オリジナルのエピソードを準備すること
●一次面接でしてはいけない質問は【自分都合の質問】
→自分都合の質問は、「採用の方向に話が進んできたタイミングで」これは鉄則です。

今日は、一次面接で必ず訊かれること「何故、転職したいのか」特に「後ろ向きな理由をどう伝えるか」について考えてみたいと思います。

面接で「後ろ向きな理由」が好まれないは本当?

転職理由を伝えるとき、よく「後ろ向きな理由は言ってはいけない」と聞きませんか?

「今いる会社の悪口を言う人は、自社のことも悪く言うのではと思われるから」
「不満を抱きやすい人、自責ではなく他責傾向の強い人だと判断されるから」

実際、「今いる会社に不満は特にないのですが、と面接では言うようにしています」と仰る転職者も多くいました。本当にそうでしょうか? 一切不満がないのに「転職活動」なんて面倒なことに取り組む必要があるでしょうか? 嘘っぽくないですか?

実際「紹介して貰った転職者、良い人だとは思うけれど、なんだか仰ることがキレイごと過ぎて、本音がみえません。本当は何故辞めるのか、お聞きになってませんか?」と人事に質問されることも結構あるのです。

「後ろ向きな理由にしてはいけない」と強く思い過ぎて、とってつけたような「キレイな理由」にしすぎた結果、「本音が見えない」「取り繕っている」と思われてしまうのだと思います。後ろ向きな理由でも、その理由を聞いた面接官みんなが納得するようなものであれば理解が得られるはずなのです。

「残業が多いから転職したい」

つい最近まで、定時で帰ることをモットーにした主人公のドラマが放送されていましたね。ご覧になった方もいるのではないでしょうか? ヒロインは、前職で恒常的に長時間残業を強いられる環境で頑張り過ぎ、体調を崩した過去を持っていました。

現職の残業が多いことを転職理由とする場合、気を付けなければいけないことがあります。それは、「この人はどんな繁忙期になっても残業したくないという考え方なのだろうか」と思わせたりしないように気を付けるべきだ、ということです。

たとえ応募企業が、残業がほとんどない企業だったとしても、「残業は絶対やりません」と言い切る候補者を採用すると決断するのは、なかなか勇気が要ること。会社は多くの場合チームで動くものです。「繁忙期には柔軟に対応する」という姿勢が求められるわけです。

「残業が多いから転職する」として、例えば、「しばしば100時間を超える長時間残業がある」のであれば、かなりの面接官が「それは無理もない」と考えるでしょう。
「いつも50時間以上残業している」ときけば、「ハードな環境にいるんだな」と受け取ると思います。
「30~50時間」くらいだと、「そんなに長時間残業と言えるかな?」と疑問視する面接官も出て来るかもしれません。30時間未満の残業時間だと、それを長時間残業として転職理由にするのは、一般的には難しいと考えたほうが良さそうです。

「人間関係が悪い(職場の雰囲気が悪い)」、「パワハラに遭っている」

無理して頑張り続けて心身の調子を崩してしまっては本末転倒です。ぜひ転職活動に力を注いでいただきたいと思いますが、つらいという「主観」だけでなく「客観的な事実」を伝え、(給与の遅配が続いている、業績不振によるリストラが続いているため、皆が戦々恐々としていて仲が悪い等)「退職をするのも無理はない」と面接官が納得する説明をすること。そしてあまり感情的にならないことが重要です。
企業や上司の「非難・批評」は口にすべきではないでしょう。

「派遣社員として勤務していたが、正社員になりたい」

一見、後ろ向きな理由とは聞こえないようにみえる理由ですが、これは伝え方を工夫しなくてはいけません。
どうして正社員になりたいのか。この理由を掘り下げて考えてみてください。
「安定して長く働きたいから」「ボーナス支給等処遇が良くなるから」「福利厚生がしっかりしているから」=これはあなた目線の理由であって、企業が「それなら、わが社で正社員として採用しよう」とはならないですよね。

・正社員と同等かそれ以上に優秀である
・正社員と同等かそれ以上に責任感をもって仕事をしている
・正社員と同等かそれ以上に自己研鑽している
・正社員と同等かそれ以上に経験やスキルがある

これらを、具体的なエピソードを交えて語れるようになってはじめて、企業があなたを採用するメリットを感じるわけです。
具体的な実例をイキイキ語れるようになれれば、「派遣社員から正社員になりたい」ということが「転職理由」として意味のあるものになります。

面接の「意味」を考えてみよう

面接の時間は長くてせいぜい1時間。今回のテーマにした「後ろ向きな転職理由」に多くの時間を割いてしまうと、面接官の記憶に残るのは「つらそうな」あなたの表情だけになってしまいます。
この人つらそうだから採用しよう。ということにはならない。そう、もうお分かりですね。
「あなたがその企業に利益をもたらすかどうか」それを判断する場が「面接」だからです。

後ろ向きな理由であればあるほど、「転職理由」にフォーカスした面接にするべきではないのです。

それでは、またお目にかかりましょう!

キャリアアドバイザーA