入社2年目から手取り額が減るのはどうして?住民税の基礎知識



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私が新卒で入社した年のこと、先輩に「2年目になると今より手取り額が少なくなるから、なるべく今うちから無駄なお金を使わないように、できるなら貯金しておくように」と言われた記憶があります。ずいぶん昔の話ですが、これは令和になった今でも変わらない現象です。

1年間かけて仕事の経験を積んだ2年目なのに、どうして手取り額が減るのでしょうか? これを理解するには、税金の仕組みを知っていないといけません。
今回は、「会社員が払う税金とは何か?」そして2年目から払い始める住民税について、簡単に説明いたします。

どうして「2年目」なの?社会人の税金の基礎知識

まずは、社会人が納める税金について、基礎知識を学びましょう。
社会人は、働いた報酬として収入が入ります。そして、収入を得た人は、収入に応じて税金を支払うことが義務付けられています。収入を得た人が支払う税金はこの2種類です。

・所得税
・住民税

会社員の所得税は、働き始めた月から、給与天引きされています。一方の住民税は、前年の収入に応じて、翌年に払っていきます。新卒の新入社員は、前年の収入がないため、1年目のあいだは住民税を払う必要がありません。
2年目になると、前年の収入があるため、住民税がかかってきます。住民税の負担が増えて、給与天引きされるので、1年目と2年目の給与が同じであるならば、1年目よりも2年目の手取りが低くなるということになります。

住民税について、すこし詳しく説明します

住民税は、前年の収入に対して税額が決まります。

ここでいう前年というのは、1月始まりで12月までの1年間です。
4月入社の新卒社員の方は、1年目の4月から12月までの合計9か月分の収入が、2年目の住民税の対象になります。

2年目の住民税は、1年目の9か月の収入に対して課税されます。
同様に、3年目の住民税は1年目の年明け1月から2年目の12月までの12か月分の収入に対して課税されます。

住民税は、6月から払い始める

住民税が計算されて、翌年の5月から通知が始まり、6月から支払が始まります。翌年の5月まで12か月かけて前年の収入に対する住民税を納めていきます。

会社員であれば、2年目の6月の給与から、所得税に加えて住民税も給与から天引きされます。例えば、今年給与が上がったとすると、翌年には上がった給与に応じて住民税の計算がされて、6月から、新しく決定し少し高くなった住民税の額が天引きされていくことになります。

住民税はどのくらい払うの?

入社2年目の住民税は、どのぐらいの額になるのでしょうか?

諸事情を考慮しない概算をします。
給与が月20万円、夏と冬のボーナスで50万円の収入があったとすると、1年目の給与所得は230万円(20万×9か月+50万円)になります。この場合の翌年に納める住民税は、約8万円です。

12か月で割った金額(約7千円)を、2年目の6月から納めていくので、1年目よりも負担が大きくなります。
このような2年目に始まる税負担について知らないで、車を購入するなどの大きなローンを抱えてしまうと、生活が苦しくなってしまうので気を付けましょう。

ちなみに、住民税は未成年者には課税されません。ですから高校卒業後に働き始める方の場合は、2年目の住民税に起因する手取り額の減少は当てはまりません。

住民税の中身ってどうなってる? 住民税が使われる場所は?

住民税は、所得割(定率)と均等割(定額)の合計額になります。

①所得割は所得に応じて決まる課税所得額に10%の税率を掛けた額です。
10%のうち4%は道府県民税・都民税として、残りの6%は市町民税・特別区民税(東京都のみ)として徴収されます。

②均等割は、2023年まで5,000円です。
道府県民税・都民税として1,500円と市町民税・特別区民税(東京都のみ)で3,500円という内訳です。

住民税は、生活に必要なごみの回収や、図書館や学校などの教育費、高齢者や子育ての支援という福祉の充実、消防や警察などの地域安全、道路の整備など必要な設備建設などに使われています。住んでいる街を暮らしやすく安全に維持していくための、とても大切な税金です。

住民税の余談:嵐二宮さんと住民税

数年前になにかのテレビ番組で、嵐の二宮和也さんが話していた発言が、ずっと忘れられないでいます。二宮さんは、いつも余計な力が入っていないスタンスでお話しをされるイメージがあります。
このときも、冗談で「できれば1日中ゲームをして過ごしたい。いつ引退してもいい」という趣旨のお話をされていました。

でも、と加えたのが以下の発言です。
「急に仕事辞めると、来年の住民税が払えないから、辞められないんだよね」と。

高額納税者には、高額納税者ならではの悩みがあるのだなと感心しました。サッカーや野球などのプロスポーツ選手で、高額の契約金をもらっている人も同様です。ケガなどで予期していない引退となると、翌年は収入が無くなるのに加えて、多額の住民税は請求されてしまいます。住民税用に資金を準備していないといけないのですね。

私たちの2年目は、これほど大きな負担にはなりませんが、住民税は前年の収入に対して今年の納税額が決まり、支払っているということが伝わればと思います。