好きだから、干渉したい。それって本当の愛情?
友達や恋人、家族。
自分にとって大切な人ほど、密な関係性を築きたいと思うのはごく自然な感情です。それに互いの境界線がなくなるほどに混じり合い、干渉しあえることを良しとする間柄って、それだけでなんだか特別なものに感じますよね。
しかし、本当に良い関係というのはベタベタにくっつくような距離感ではなく、半径1.5mくらいの隙間があるような関係なのかもしれません。相手を信頼するというのは、そうした心のソーシャルディスタンスを適切にはかり合うことではないでしょうか。今回は、好きな相手だからこそ大切にしたい信頼関係の築き方についてご紹介いたします。
信頼とは、相手の「人間性」と「自由意志」を認めること
信頼とは読んで字のごとく「信じて頼ること」ですが、それだけではありません。とくに人間関係においての信頼というのは、相手の人間性を認めることであり、相手の自由な選択と生き方を認めることです。
両親が子どもの進学や進路を心配するあまり色々と口を出したり、行動を制限するのは「信頼」ではなく「束縛」です。恋人が自分の知らないところで何をしているのか心配になって、電話をしたり追求したりするのも信頼ではなく、束縛。
私たちは相手を愛するあまり、自分の元を離れて欲しくなくて心配という名の過剰な愛情で相手を縛ろうとしてしまうことがあります。しかし、信頼はその反対で「アナタならきっと大丈夫」と相手の人間性を認め、相手の人生の選択を適度な距離から見守ることです。これは束縛するよりももっと難しく、深い愛情がないとなかなか出来ることではありません。
無条件に人を信頼するには、自己肯定感が必須
人を信頼することの何が難しいかというと、それは裏切られる可能性があるという点ではないでしょうか。というのも、自分が信じた相手が必ずしも自分にとって都合の良い選択をするとは限らないからです。
先の例で言えば、親が子どもを信頼して進路を任せたものの、親の思う通りの進路を選んでくれなかった場合。それは親にとってある種、「裏切られた」と感じるような結果になり得るでしょう。恋人を信じて自由を与えて結果、浮気をしてしまった場合も同じです。信じた分、裏切られたダメージは相当大きくなるので、人を信頼するというのは決して簡単ではありません。
手放しで相手を信頼することができる唯一の方法は、高い自己肯定感を持つことです。自己肯定感とは自分の良い部分も悪い部分も、そのまま認め愛することのできる力です。
この自己肯定感があれば、相手を信頼する時も「私が信頼できると思えるのだから、この人は絶対に大丈夫!」と根拠はないものの確かな充足感で相手を信じられるようになります。
誰も彼もを信用し、信頼する必要はない
良好な人間関係を築くには、相手の人間性を信じ、相手の自由な意志を尊重することにあります。これができる人は、間違いなく信頼した相手からも強い愛情と信頼を勝ち得ます。
だって想像もしてみてください。
あなたが選んだ人生の全てを肯定し、屈託のない気持ちであなたの全てを認め受け入れてくれるような相手をどうして裏切ることができるでしょうか。そんな深い愛情を向けてくれた相手を大事にしたいと思わずにはいられませんよね。相手からのそのような愛情が欲しければ、まずご自身が相手に深い愛情を信頼という形で表現しましょう。
もちろん、誰も彼もを信頼する必要はありません。信頼するというのは、あなたの大事な心を相手に渡すのですから、あなたが本当に深く大切にしたいと思う人に対してのみで良いのです。出会う全ての人を信頼できるのは、素晴らしいことかもしれません。
しかし、そんなマザーテレサのような行ないは一挙手一投足できるような芸当ではないのです。まずはご自身の自分を信頼する力を養い、信頼に値する人を一人ひとり大切にし、少しずつ信頼できる人を増やしていくことから始めてみましょう。ぜひ、参考になさってみてくださいね。