「寝つきが悪い」「夜中に目が覚めてしまう」「寝ているはずなのに疲れがとれない」…筆者は仕事柄いろんな方のお悩みをお聞きしますが、睡眠に関してこのようなお悩みを抱えている方がとても多くいらっしゃいます。私たちが口に入れるもの(食事)と、体調はすごく密接な関係にあります。もちろん睡眠も同じです。そこで今回は、薬膳の目線で質のいい睡眠のために取り入れてほしい習慣を3つご紹介します。
1.飲み物を変えてみる
薬膳のベースになっている中医学(中国伝統医学)の世界では眠れない原因にも大きく分けて2タイプあるといわれています。
1つが興奮してイライラして寝付けないタイプ。もう1つが栄養不足のタイプ。
タイプによって摂り入れる食材、飲み物を変えるのが薬膳の対処法ですがイライラしている時は緑茶やジャスミン茶を。落ち込んだり元気が出ない時は黒豆茶や甘酒がおすすめ。
イライラしている時は体に熱がこもっているために興奮して眠れないと考えますので、クールダウンする緑茶、巡りをよくするジャスミン茶がオススメ。寝る前はカフェインが少ないジャスミン茶の方が◎。
落ち込んでいる時は血(けつ)という体全体に栄養を与える物質が足りていないサイン。そんな時はエネルギーである気(き)を増やす甘酒、血を増やす黒豆茶が味方になってくれます。
2.もう少し食べたい…と思うところで夕飯をやめる
緊張感から解放される夕飯は1日のなかでも数少ないリラックスできる瞬間。ついつい気が緩んでしまって満腹になるまで食べてしまうという方も多いのでは?しかし、安眠のためには満腹になるまで食べることはおすすめできません。
眠るのにも体力が必要といわれていますが、眠りが浅い、夢をよく見るという方は疲労や胃腸が弱っていることで睡眠の質が落ちているかもしれません。胃腸に負担がかかると食べたものを栄養に変える力が弱くなるため、夜中に目が覚めたり夢を沢山みてしまってぐっすり眠れない…という状態になりやすいのです。
中医学では胃腸に負担をかけないために腹八分目で食事を終えることが基本ですが、特に寝る前の食事は睡眠に影響ができるので少なめに終えることが理想。普段から疲れやすい方は今より夕飯の量を少なくすることを意識しましょう。
筆者自身も胃腸が疲れていたり疲労がたまっている時は夕飯を抜きますが、その方が眠りも深く翌朝もすっきり目覚めることができることを実感しています。毎日は難しいかもしれませんが、一週間のうち何日かは体のために胃腸を休めることを意識してみてください。
3.お豆を食べよう
みなさん、普段のお食事で黒豆、大豆、インゲン豆、ひよこ豆…などお豆類を食べていますか?もし食べていないという方はいつものお食事に豆を使ったのメニューをプラスすることをオススメします。
と、いうのもお豆類には胃腸の働きを高める効果が期待できるからです。薬膳の世界では良質な睡眠には心身ともに栄養がしっかりいきわたっていることが大事だと考えますが、その栄養を作り出すのは胃腸系システムある脾(ひ)という臓腑が担当しています。
この脾は天然の甘さをもつ食材を好みますがお豆類がその1つ。温めも冷やしもしないマイルドな性質でどんな体質の方にも合います。サラダ、スープ、炒め物など豆をつかったメニューを増やしていきましょう!
質のいい睡眠のために食習慣を見直そう
私たちの体には、食習慣がとても影響しています。
今までぐっすり眠れていたのに眠れなくなった…という方は、これを機にご自身の食習慣を振り返ってみてください。きっと、何かしら負担になっているものがあるはずです。
負担になっている習慣はマイナスして、必要な習慣はプラスして。心地よい睡眠をとれるような習慣を身につけていきましょう。