誰でも結婚したら60万円支給…ではない! 「結婚新生活支援事業」の落とし穴



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誰でも結婚したら60万円支給……ではない!

先日とあるニュースがSNSで大きな盛り上がりを見せました。それは、少子化対策の一環として、新婚世帯の家賃や敷金・礼金、引っ越し代など新生活にかかる費用について、来年度(2021年4月)から60万円を上限に補助する方針を固めたことです。経済的理由で結婚を諦める人が多いため、補助金を出し後押しするという狙いがあります。

この内容を端的に取った「結婚したら60万円の補助が出る!」という情報が一人歩きしたことにより、結婚を考える人もいれば、「偽装結婚が増えそう」いった意見も挙がっていますが、実は大きな落とし穴が……。この制度にはもともと、極めて限定された対象設定がされています。

「結婚新生活支援事業」の条件

この制度の対象となる条件を見てみると、

①「結婚新生活支援事業」を実施する市区町村に住み、新たに婚姻届を出した夫婦
②婚姻日の年齢が夫婦とも39歳以下
③世帯年収が約540万円未満

という条件になっています。この中で一番注目するべきなのが、①「結婚新生活支援事業」を実施する市区町村という部分。
実は、全国では260市区町村しか選定されておらず、東京都内で選定された自治体はありません。首都圏、主要都市部はほとんどが対象外なのです。現在対象の地域に住んでいたり、住む予定がなければ60万円は支給されないので注意しましょう。

対象地域一覧(内閣府 結婚新生活支援事業 チラシより)
https://www8.cao.go.jp/shoushi/shoushika/meeting/hojokin/h30/pdf/chirashi.pdf

また支給額の上限60万円ですが、これはあくまで“上限”であり、確実に60万が貰えるわけではありません。家賃代や敷金・礼金、共益費、仲介手数料の補助として支給されるので、例えば片方の実家に引っ越す場合などは、引っ越し代しか出ないということなのです。

また、全てのお金が内閣府から出るわけではなく、自治体が負担する必要があるため、自治体によっては上限金額が少なくなる可能性もあります。(現在、内閣府は補助率を3分の2に引き上げる方針)

対象となる自治体が増える可能性も0ではない

制度の仕組みを理解していないと「結婚すれば60万円貰える」と勘違いしてしまい大変なことになりかねません。もともと制度としては存在していましたが、これまでは上限が30万円で、条件ももっと厳しめく設定されていたため、知らない人も多かったはずです。

今回のニュースをきっかけに対象になっていない自治体も動き出すかもしれませんし、今後内容がブラッシュアップされる可能性もあります。今後の動向をしっかりとチェックしていきましょう。