私たち20代後半~30代の『ミレニアル世代』は、自分に必要な情報を収集し、取り入れることに長けた世代と言われています。
そんなミレ二アル世代の既婚女性たちはどのような生活を送っていて、昔と比べてどのように変化をしていったのでしょうか? 花王株式会社「生活者研究センター」が20代後半~30代の既婚女性に、日頃の家事について調査を実施。その結果を見ていきましょう。
20代後半~30代女性の生活は10年間で大きく変化
総務省『労働力調査』(2019年)によると、ミレニアル世代である現在25~39歳の既婚女性の就業率は、10年前と比べて、2割近く上昇しています。
また、花王が実施した『暮らしに関する意識調査』(2018年)では 「家事は、多少お金をかけても時間や手間を軽減させたい」 「仕事が忙しいので家事や育児をする時間が取れない」が、10年前に比べて上昇。仕事や育児に追われて家事への負担感が高まっている様子が見て取れます。
一方、「家事や育児のため、自分の時間が犠牲になるのもやむを得ない」は低下、「家族のことも大切だが、その前にまず自分のことを優先的に考えたい」が上昇し、自分の時間もちゃんと確保したいという思いもうかがえました。
自分の時間も大切にしたいからセルフコントロール
家庭訪問調査では、限られた時間の中で仕事や家事・育児をしっかりやりながら、自分の時間も大切にするために、常に日々のスケジュールや段取りを考えて、家事の効率化を図っていました。また「無理をしない、完璧を求めない」スタンスで家事の合格ラインを自分で設定し、時間に追われたり精神的につらくなったりしないように、うまくセルフコントロールしていました。
しくみを作ってストレスなく家事をまわす
そんな彼女たちは、家事にかける時間や労力をできるだけ抑えてストレスなくこなすため、「家事をうまくまわすしくみ」を考えて実践しています。家事を夫とシェア、ロボット掃除機など便利な家電の活用、家事サービスの利用などに加えて、家事をおこなうタイミングや動線にも工夫がみられます。
例えば「スーパーが混んでいる平日夕方には買い物に行かずに週末にまとめ買い」「最後に入浴する夫がお風呂掃除」などのルール化や、「収納の場所や方法を工夫して、しまいやすく・取り出しやすくする」「洗濯物はたたまずに収納」など、SNSの情報なども参考にして家事を効率的にまわすようにしくみ作りをしています。「一度しくみができあがれば、日々の家事はあまり考えなくてもルーチンでまわしていける」と考えているようです。
「やらざるを得ないこと(ワーク)」は効率化、「やりたいこと(ライク)」を充実
ミレニアル世代の働く既婚女性たちは、家事だけでなく育児や仕事など様々な日々の生活の中で、「やりたいこと」には時間をかけて楽しみたいから、「やらざるを得ないこと」を効率化したいと考えているようでした。
例えば、ジムや趣味の時間といった自分ごとや子どもと一緒に過ごすことは「やりたいこと」、掃除や洗濯、食器洗いのような家事は「やらざるを得ないこと」と捉え、後者を効率化することで、前者に時間をまわし、くらし全体を充実させているようです。
一般的に「仕事(ワーク)」と「生活(ライフ)」をバランスよく両立させることを「ワーク・ライフ・バランス」と言いますが、「やりたいこと(ライク)」を楽しむために「やらざるを得ないこと(ワーク)」を効率化、いわば「ワーク・ライク・バランス」を大切にしていると言えます。
『新しい生活様式』にも活かしたい「ワーク・ライク・バランス」
今回の調査結果で、仕事や育児が忙しい中でも家事を効率よく、ストレスなくまわし、自分の時間を確保するための工夫を取り入れていることがわかりました。
コロナ禍で外出自粛や在宅勤務が続いている今、家で過ごす時間が増えて、くらし自体を見直すきっかけにもなっているようです。一日の時間の過ごし方が変わりつつある今、自分なりの「ワーク」と「ライク」を仕分けて、そこから家事をうまくまわすしくみを再度考えてみましょう。ライフステージの変化で、女性にだけ負担が偏ることのないように、家族でのパートナーシップについても考えていきたいものです。