「平均在籍年数」を気にする転職者の皆さまへ ~ あなたが転職先に求めるものは何ですか?~
Cinq読者の皆さま、今朝のご機嫌はいかがですか?
先日、友人が「大人たるもの、自分のご機嫌くらい自分で取れなくてどうする?」と言ったことがあって、それにとても共感した私でした。
たとえ前日にパートナーとひどい喧嘩をしたとしても。
たとえお客様からのクレーム処理で遅くまで残業した翌日であったとしても。
マスクの下では少しでも口角を上げて、元気に挨拶してみませんか?
皆さまも経験されたことがあると思いますが、この「ご機嫌」は不思議に周囲に伝染していきます。(気分屋でしかめっ面の会社の先輩の足音が怖くて、気持ちが落ちた経験はないですか?)
こう考えると、「自分のご機嫌を取ること」は、立派な社会貢献ではないでしょうか。
自分のご機嫌を取るために手っ取り早く私がよくやるのは、ネイルの色を変えること。今年の秋はどんな色にしようか、ネットサーフィンしながら探すのも楽しいですよ。
平均勤続年数が長い会社は良い会社なのか?
さて、今回のテーマは「平均勤続年数が長い会社は良い会社なのか?」です。
転職活動で企業を選ぶときに、気になる数値に「平均勤続年数」があります。
「次こそは長く働ける良い会社に転職したい。この企業の平均勤続年数は何年ですか?」と仰る転職者はとても多いです。でも、ちょっと待ってください。
まず、【平均勤続年数】とはどういう年数を表しているか? をきちんと把握する必要があります。
「平均勤続年数」=「平均在籍年数ではない」
よく誤解されているのですが、企業パンフレット等に記載されている平均勤続年数は「入社から退社までの平均在籍年数」ではありません。
「現在勤務している社員の勤続年数を平均した数字」です。
この「現在勤務している社員」には当然新入社員も含まれます。新卒採用でたくさん新入社員が入社してきていれば、その会社の平均勤続年数は短くなりますし、全社員に占める新入社員の割合が多い企業でも、この年数は短くなります。
ですから、「次の会社では長く働きたい」から「平均勤続年数が長いところを希望する」というのは、理論的に間違っているということなのです。
第一、設立して年数の浅いベンチャー企業や、新卒をたくさん採用した直後の企業は「平均勤続年数」が短くて当然ですよね?
ですので、ここからは「平均在籍年数」の長・短でお話を進めていきたいと思います。
平均在籍年数が10年以上の企業は、長く安定して働ける「良い企業」であり、3年未満の会社は労働環境が厳しくて短期で辞める人が多い「悪い企業」という印象を持つ方は多いかもしれません。
ですが、この「平均在籍年数」という数値だけを企業の良し悪しの判断材料にしてしまうのは、大変危険なことです。
自分は「次」の会社に何を求めて転職するのか
例えば、マッキンゼーやアクセンチュア等の外資系戦略系コンサルティングファームは【Up or Out(昇進するか、去るか)】という言葉が示す通り、平均勤続年数が短いです。
ですが、在籍されたほとんどの方が「かなり忙しかったけれど、自分が成長できた実感があり、ここでの経験には満足しています」とお答えになります。若いうちに力をつけてステップアップの転職をするために、それこそ「戦略的に」その会社を選ぶ方が多いので、平均在籍年数が短いからといって、一概に悪い企業だとは言えない例だと思います。
逆に平均在籍年数が20年を超える老舗の総合電機メーカー等の例だと、長く安定して働けるものの、どのくらい成長できていますかという問いには疑問を持つ方が一定数いて、ほんの数年で転職してしまう若手もいます。
要は、その企業に何を求めて転職をするのか?ということです。
前述のコンサルティングファームを例にとると、ワークライフバランスを重視するのであればコンサルティングファームへの転職は避けるべきですし、若いうちからスピード感をもってどんどん成長したいという志向があれば、コンサルティングファームへの転職は、チャンスがあればチャレンジするべきベストな選択肢です。
「平均在籍年数」には、実はそれほど意味がない
「平均在籍年数が短い会社」であっても、人によっては選択すべきでない「悪い企業」にもなれば、絶対経験すべき「良い企業」にもなる、ということです。ですから、皆さまが気にする「平均在籍年数」には、実はそれほど意味がない。と考えてもよいのではないかと思います。
もっとこんなスキルを身につけたい、こんなプロジェクトにチャレンジしていきたい、こんな経験を積みたいと思いながら、やりがいを感じて働いた結果、平均在籍年数が2年半の企業に、10年以上在籍していた。という例もあります。
安定して長く働いてきたけれど、40代半ばで大規模なリストラに遭い、次の一手が見つからず立ち往生してしまっている方もいます。
「平均在籍年数」ではなく、「その会社で何を為したいのか」を軸に考えるようにしましょう。
それでは、今日はこの辺で。またお目にかかりましょう!