尾を引く、下手なケンカって?
「ケンカするほど仲が良い」という言葉がある通り、ケンカをして仲直りをしていくことで、やがてくる大きなケンカへの対処や免疫が付けられます。そういった意味から、心理学の観点でみてもケンカするカップルほど仲が良い(長く続く)と考えられています。
しかし、それはあくまで仲直りをすることが前提。
うまくケンカをして仲直りしなければ、「ただお互いの関係を悪くするだけのケンカ」になってしまいます。意外とやってしまいがちな下手なケンカの特徴をご紹介。これを見て、関係性を悪くしてしまうケンカを回避しましょう。
すぐに感情を言語化してしまう
カッとなり口論が始まったとき、勢い余って言いたいことを言ってしまって「なんであんなことを言ったんだろう……」と悩んだことはありませんか?
ケンカはネガティブコミュニケーション。それがエスカレートしてしまい、仲直りできないとその関係は破綻してしまいます。怒りや悲しみに任せて言った言葉というのは、自分の本心とはほとんど関係のないものばかりなのです。
実は、自分の感情をすぐに言語化してしまうと、理解が浅くなり、自分の感情がわからなくなるのです。これを心理学で「言語化隠蔽」と言います。人間は心に浮かんだ感情や感想などを、すぐに言葉にしてしまうと、感情の認識に至らずに表面的な理解にとどめてしまうのです。
ケンカのときでなくても、自分の感情を正確に言語化することができないということ。つまりケンカして興奮しているときにそんな芸当ができるわけがないのです。
怒りや悲しみの勢いに任せて出た言葉は本心ではありません。(例えば、帰りが遅い彼氏に「私のことをほったらかしにして、もう嫌い!」というような言葉)
しかし、幸いにもこの言語化隠蔽が起きるのは一時的もので、一晩立てば冷静になれます。客観的に自分を見つめ直すことができるのです。なのでケンカをしたときは怒りをグッとこらえて一晩寝かすことが大事です。ムカつく気持ちもイライラする気持ちもわかりますが、お互いの関係のために、冷静になってから意見を言いましょう。
別のことにまで怒ってしまう
「あなたはそうやって、いつもだらしないんだから! この前だって靴下は脱ぎっぱなしだし、 先週は食器も片付けなかったし……」
「はぁ? 今はそんなこと関係ないだろ…!」
ケンカを分析すると、このように「今怒っていること+他のイライラしたポイント」も含めて怒ることが結構あります。そして怒られた側は、さっきの例のように「それは今関係ない」と怒る。
よくあるタイプのケンカです。とくに女性は、拡大思考で思考が広がりやすい傾向があります。今目の前で起きていることを過去や未来にまでリンクさせて考えやすいのです。一方男性は逆で、目の前で起きていることを重視する傾向にあります。
そこに過去や未来の関連性を見つけ出すのは女性よりも苦手なのです。だからこそ先程の例のように、女性は「あのときも」「この前も」と別のことで怒り、男性は「今は関係ないだろ」と怒るわけです。確かにイライラさせる男性も悪いですが、怒るべきポイントは「今のこと」です。怒られるようなことを相手がしたらその都度怒ればいいだけで、過去のことを掘り返して怒ることに意味はありません。
ましてや「どうせ謝ったってまた同じことをするくせに」と未来のことにまで怒っても仕方ありません。拡大思考で怒っても逆効果。そうなると、ますます男性はそのことを直そうとしません。今目の前 の問題にだけ自分の意見を言うようにしましょう。
相手が悪い! と決めつける
ケンカをすると大半の人が「悪いのはむこう。私は悪くない」と物事を決めつけます。
変わるべきは相手。私は考え方や行動を変える必要はない。というように一方的に相手が悪いと思い込んでしまうのです。
しかし、本当にあなたは悪くないのでしょうか?
例えば彼氏や旦那が靴下を脱ぎっぱなしにしているとします。あなたのように「何回注意しても同じことをやって…!」とめちゃくちゃ怒る人もいれば「まったく、もう」くらいの怒りで収まる人もいま す。同じ問題行動なのに、人によって感じ方が違うのです。
なので、そのくらいで怒るあなたにも問題があるかもしれません。確かに相手の方が悪いかもしれませんが、怒るあなたも少しは悪いのかもしれません。それくらいの心持ちでいた方が良いでしょう。
しかしケンカしてる最中に「私も悪いかも」と思える人はなかなかいません。先ほどもお話したように、ケンカして感情を言葉にする前に一晩寝かして、後日改めて直してほしいポイントを話す。これだけで劇的に相手の行動が変わるはずです。
「すぐに怒る」と言われないように、伝え方に注意していきましょう。
終わりに
いかがでしたか?
怒りというのはネガティブ反応。ですが、人間はポジティブな反応よりもネガティブな反応の方がより強く印象に残ります。だからこそ、余計に強く感情が出てしまいます。
しかしそんな強いネガティブ反応を出していると、相手にもあなたのネガティブ反応が強く印象に残り、あなたのことを「めんどくさい女」「怒りやすい女」と判断してしまうということです。
相手にポジティブな反応を多く与えるのか、それともネガティブで強烈な印象を残すのか、人間関係はその2つで決まります。仲直り前提のケンカができるように、注意してみてくださいね。