取りたい資格がたくさんある、だけどつい行動に起こせないのは決して安いとは言えないその金額…。
女性の「はたらく」に着目し、様々な働き女子と話を進めていく中で気づいたのが『学び』を得たいと思っている人の多さ。企業に勤めながらも、自分の好きなことや興味のある分野での知見を深めたい、新しいことを始めたい、資格を取りたいと『学び』に意欲的な女性が非常に増えているということです。
働き方の多様化によって、”自分の「好き」を副業にしたい”、”いつかは本業にしたい”というようなキャリア理想を描く女性が増え、自己発信する場も与えられている今、会社に属して終身雇用で働くこと以外の魅力が彼女たちの目には映っているように思います。
とはいえ、たくさんの資格と取得するにはそれ相応の資金が必要に。学びを得るための「時間」は取れても「お金」に関してはどうしようもないのが今の現状…。そんな社会人にこそ、オススメしたい制度が準備されているのを知っているでしょうか?
教育訓練給付金制度を賢く利用して!
働く方の主体的な能力開発の取組み、又は中長期的なキャリア形成を支援し、雇用の安定と再就職の促進を図ることを目的として厚生労働省が定めた教育訓練給付金制度。これが、学びを得たいと考えている社会人にこそ、知っておいてもらいたい制度です。
この制度は、厚生労働大臣の指定された講座を受講し、講座が終了すると受講費用の一部が支給されるといったもの。雇用保険の一般被保険者である方が対象となります。(失業保険を含む雇用保険を支払っている方)
目指すスキルや資格によって、2つに分かれた制度があり(「一般教育訓練給付金」と「専門実践教育訓練給付金」)それぞれに支給額や条件が違っています。その違いを調べていきましょう。
最大で10万円が戻ってくる! 「一般教育訓練給付金」
厚生労働省が定めた教育訓練施設に支払った教育訓練経費(受講料)の20%が戻ってくる制度です。ただし、その受講料が10万円を超える場合は10万円が上限となり、4千円を超えない場合は支給されません。
支給条件は初めて利用する場合と、再度利用する場合によって異なります。
実際に取得できる資格
仕事に必要な資格や技術とみなされた講座が対象となっています。女性に人気のある検定から、仕事ですぐに活かせるような情報処理、言語に関する学びなど幅広いジャンルを通学・通信のそれぞれの勉強法で受講することができます。
【一例】情報処理技術者試験/Microsoft Office Specialist/MCA・MCP/Webデザイナー検定/通訳案内士試験/TOEIC/簿記検定試験/ビジネス実務法務検定試験/宅地建物取引士資格試/調理師/税理士/カラーコーディネーター検定試験/フードコーディネーター検定試験/インテリアコーディネーター/介護福祉士/普通自動車第二種免許など
初めて利用する場合
雇用保険の一般被保険者である期間が、通算で1年以上ある方。
通算での期間になるため、転職している場合でも前職の在職期間と現在の在職期間を足して1年以上となれば、対象となりますが、無職の期間が1年以内であることが条件となります。
再度利用する場合
雇用保険の一般被保険者である期間が、通算で3年以上ある方。
この場合も上記と同じで、転職している方でも前職と現在の在職期間を足して3年以上となれば対象となります。そして前回の教育訓練給付金受給から今回受講開始日前までに3年以上経過していることが条件です。(過去に教育訓練給付金を受給したことがある場合においては、その時の受講開始日より前の被保険者等であった期間は通算されません。)
一般被保険者・・・民間企業に勤務し、雇用保険(失業保険)を支払っている人のこと。正社員のみでなく一定の基準を満たした非正規社員、派遣、アルバイト、パートの方も含む。自営業、公務員、無職である期間が1年以上ある方、65歳以上の方が対象外。
専門的知識で就職が決定した場合には、最大144万円支給! 「専門実践教育訓練給付金」
実践・専門的な資格として指定された講座が対象となり、受講終了後には40%の受講料戻ってきます。
ただし、金額が1年間で32万円を超える場合の支給額は32万円(訓練期間は最大で3年間となるため、最大で96万円)が上限となり、4千円を超えない場合は支給されません。
また資格取得後、受講修了日の翌日から1年以内に被保険者として雇用された方(又はすでに雇用されている方)に対しては、さらに20%の受講料が支給されます。
この場合には、最初に支払われた40%受講料と追加で支払われた20%を合わせた60%の金額が支給されることになりますが、その額が144万円を超える場合の支給額は144万円(訓練期間が3年の場合、2年の場合は96万円、1年の場合は48万円が上限)となっています。
実際に取得できる資格
こちらは短期的な資格支援ではなく、中長期間的なキャリアアップを考えている方、専門的知識を深めたい方に向けた制度です。
【一例】看護師/保育士/作業医療士/栄養士/美容師/建築士/様々な職業実践専門課程/専門職学位/職業実践力育成プログラムなど
初めて利用する場合
雇用保険の一般被保険者であった期間が、通算2年以上ある方。(こちらも転職されている場合には、前職+在職期間が足して2年以上になれば対象内)
再度利用する場合
2016年10月1日以降に教育訓練給付金、または一般教育訓練給付金の支給を受けた場合は、一般被保険者であった期間が通算10年以上ある方。
平成26年10月1日前に教育訓練給付金を受給した場合はこの取扱は適用されません。
申請手続きについて
申請についてはどちらも、自分の居住地の管轄であるハローワークで受け付けています。一般教育訓練給付金の申請と、専門実践教育訓練給付金でそれぞれ提出するものが違っているのでよくご確認を。
一般教育訓練給付金の場合
支給申請手続きは、受講修了後、本人が自分の住所を管轄するハローワークに対して、書類を提出することで行われます。支給申請の時期は、受講修了日の翌日から起算して1か月以内となっています。準備する書類はハロワークインターネットサービスをチェックすると良いでしょう。
専門実践教育訓練給付金の場合
専門実践教育訓練給付金の手続きは、キャリアコンサルタントによる訓練前キャリアコンサルティングにおいて交付されたジョブ・カードをもらった後に、必要な書類をハローワークへ提出します。
ジョブ・カードの申請手続きは、受講開始日の1か月前までに行う必要があります(支給を受けるための支給申請は、別途手続が必要に)。
また受講終了後にも、それぞれの書類を受講修了後、本人の住居所を管轄するハローワークに対して、提出することによって行います。
詳細はこちら
終わりに
学びを得たいと意欲的になる方に向けて、こんなに使える制度があるということを知っていましたか? つい手続きは面倒くさい…と思ってしまうものですが、時間が経てばなくなる不確かなものではなく、知識や経験を揺るぎないもの。今と違うキャリアプランを描いている方はもちろん、もっとスキルアップしたいと考えている方は、ぜひこの制度をうまく利用してみてください。