転職エージェントから進められた会社に、書類選考を依頼したら無事に合格!
おはようございます!キャリアアドバイザーAです。
Cinqご購読の皆さん、ご機嫌いかがですか?
このコラムは、転職活動を始めた方や、活動してみたものの少し躓いてしまっている方に向け、人材ビジネスのウラ話も交えた「ヒント」をお伝えできればと考えながらお送りしています。
今回は、「転職エージェントで紹介された会社に書類選考を依頼したら、合格した!今週末に一次面接。準備できることは何?」というテーマでお伝えしようと思います。
あなたもその会社に多少興味があったのですが、それほど強い志望動機がなかった(エージェントに提案されてはじめてその会社を知った)という前提です。つまり、書類選考の段階では「第一希望ではなかった」が、「内定したら転職しても良いと思っている」という設定でお考え下さいね。
最低限、押さえていただきたいポイントをお伝えしたいと思います。
書類の「どこを評価されたのか」を転職エージェントに詳しく確認する
企業が自分の経歴のどこに価値を見出し、何を期待して面接しようと考えたのか知ることはとても重要です。
普通のエージェントなら、こちらから質問しなくても「●●の部分を評価いただいたようなので、面接で補足できるように準備してください」という一言を添えて書類選考合格の知らせをお伝えするかと思います。質問しても明確な答えがすぐ出てこないエージェントは要注意。
残念ながら、あなたをKPIの駒としてしか見ていなかったか、今まではあまり「注力する必要のない転職者」という位置付けで管理していた可能性があります。書類選考通過を機に少しコミュニケーションを密に取る必要があるでしょう。
あなたという商材を売り込む“営業マン”として、心強い味方になってくれるかどうかを、転職者側もきちんと見極めましょう。
評価された点に基づいたエピソードを準備しよう
さて、評価されたポイントを聞いたら、それをもとに「具体的な」エピソードが話せるように準備しましょう。
派遣社員として営業事務職歴4年目、PC操作が得意なAさん。正社員になりたいと転職活動をはじめ、面接練習に訪れました。私に話してくれた自己PRはこうでした。
「私は昔からPCが得意です。人より正確に、早く処理が出来ると自負しています。上司にもいつもAさんの御蔭で助かったと言われます」
―Aさん、良く考えてみてください。恐らく、同じポジションに応募してきている転職者はほとんどが「PCが得意」で、現職でも「助かるよ」と言われる程度には評価されているはず。
「Excelでマクロを組み、これまで1週間かかっていた●●の処理を半日に短縮しました」
―マクロを組める事務職はそれほど多くないので、希少性をアピールすることはできますね。1週間が半日にまで短縮できたということはかなりの業務効率化です。評価する面接官も多そうです。
でももう一押しありませんか? もう少し、血の通ったエピソードというか……Aさんの仕事で誰かが喜んでくれたことなどはありませんか?
「派遣は基本的に定時に退社するというルールがあります。月末は営業の売上報告の締め日なのですが、営業の皆さんが帰社してから自分で売上計上のフォーマットに入力していると、普段事務がやっていることなので慣れない処理が多く入力ミスが多発し、せっかくの売上が計上されずに、結果未達成として処理されてしまうことが何回かありました。
私にはそれがとてももったいなくて。締め日だけは定時に帰らずに営業さんたちの帰社を待って、一緒に入力処理を手伝い、ミスをチェックするようにしました。結果として入力ミスによる未達成は発生しなくなり、営業所の皆さんに喜ばれました。」
―残業はつけなかったのですか?
「ハイ、本当はいけないことなんですけど……その分、達成会で美味しいお酒をおごっていただきました」と茶目っ気たっぷりにAさんは笑いました。
「もちろん、このままではいけないと思うので、誰が入力してもミスしないようなフォーマットを作成し、提案できるように準備をしているところです。」
いかがですか?
Aさんがどんなキャラクターか、どのように仕事に取り組む人か、よくわかるエピソードですね。私が面接官であれば「是非一緒に働きたい」、「採用したい」と判断することでしょう。
マクロが組める、英語が話せる、●●で表彰された、PCを打つスピードが速い…等とアピールするよりも、【日常の些細なエピソード】を話すことで、その人の仕事に取り組む姿勢や周囲とのコミュニケーションの取り方がわかり、「一緒に働きたい」と思ってもらえるようになるのです。
一方で、コンプライアンスに厳しい会社の面接官はこう捉えることでしょう。
「どんな理由があるにせよ、残業をつけないのはいかがなものか。自分の判断でそんな風に動かれると管理しづらい。会社のルールに従えない人は採用できないな」
Aさんの働きぶりに好感を持つ会社と、評価しない会社。
これが【社風】の差です。
社風と合わない会社に間違って採用されてしまうと、双方不幸な結果になります。近い将来また転職活動を始めざるを得なくなることでしょう。
そういう意味でも、「血の通ったエピソード」を面接に準備していくことは非常に重要です。取り繕わず、自分の言葉で話せる「ちょっと良い話」を準備していくようにしましょう。
面接で質問していいこと、しても意味がないことを整理する
質問事項を準備していくことも重要です。ですが中には一次面接にこんな質問をしてしまう人もいます。
●ケース1
「求人票には給与レンジが450万円から600万円とかかれていました。私は600万円ないと入社は難しいです。いくらもらえる予定でしょうか」
●ケース2
「結婚したら、家族手当はどのくらい出ますか?」
●ケース3
「教育体制がしっかりしたところを希望しています。研修はどのように行われますか」
いずれも、言葉遣いに差はあれど、「一次面接のしょっぱなから聞いてしまうと、心証を害する質問事項」です。それは何故でしょうか?
それは、【まだあなたの能力や人柄がわからないうちに、採用しようと思ってもいないうちに訊くこと】はマナー違反だからです。
まず、これら3つの質問は、全て【あなたの都合】の質問です。
面接は商取引の場。【相手都合】を考えて、相手に「欲しい!」と思わせることが大切です。あなたという商品の価値をきちんと分かって貰い、欲しいと思ってもらうことに力を注ぐべきなのです。
「え?ケース3は研修制度を聞いているのでしょう? 教育制度について訊くことの何がいけないのかしら。むしろやる気をアピールできるんじゃないかしら」と思った方はいませんか?
中途採用は即戦力を求めて行う採用です(表向きは)。
「確かにわが社は研修制度はしっかりしていて、それをホームページにもアピールしていますが、研修のことばかり訊かれると、内心うちは学校じゃないんだよ! と思います」と仰った人事もいました。
会社は学校ではなく、研修に頼ってスキルアップを図る場でもありません。成果を出していく場です。くれぐれもお忘れなく。
一次面接で質問して良いこととは?
少し脱線しましたが、では一次面接では、どんなことを質問すべきなのでしょうか?
職場の雰囲気を確認するための質問
残業時間はどのくらいか、職場の年齢構成はどのくらいか、休暇の取得ルールはどのようになっているか。
これらは、職場の雰囲気を知る上で質問してみて良いと思います。ただ、面接が始まってすぐに聞くのではなく、自分がそこに加わったらどのように働くかをイメージできるくらいにはお話が弾んでからの方が良いと思います。
長く働ける環境であるか
あなたが女性なら、女性が長く働ける職場か確認するための質問をしてみるのも良いでしょう。ただ、「女性が長く働けますか?」という質問では「ハイ、長く働いて貰っています」と返答されるのが関の山です。
「長く働いている女性は何人くらいいますか?」と質問し、いるとしたらその人の勤続年数や結婚しているか、子育て経験のある方か等きいてみましょう。具体的なエピソードが聞ければベストですね。超仕事人間のバリバリキャリアウーマンが一人だけ生き残っている職場なのか、子育て経験のある女性も、ない女性も、結婚しているか否かも関係なくみんなで補い合いながらチームで働いている職場なのか、人事も把握しているはずです。
じっくり話がきければ、きっと一次面接が終わった段階で、「たとえ明日来てくださいと言われたとしても働けるイメージ」が出来てくると思います。
就業規則について
未上場の企業で、出回っている情報の少ない企業との面接の場合は、「就業規則はありますか?」という質問も有効です。
就業規則の作成が後回しになってしまっている企業には、スタートアップの段階で本業が忙しく、後手後手になってしまっている企業と、そもそも就業規則等のコンプライアンスを重要視していない「ブラック企業予備軍」である可能性のある企業もあります。見極めのポイントのひとつにもなりますので、覚えておいてくださいね。
それでは、またお目にかかりましょう!
キャリアアドバイザーA