“無償の愛”を注ぎ始めると、悪循環……!?
「好きなことを仕事にする」というワード。とても共感できる反面、経験したからこそ分かる苦悩もあると感じています。上記の記事(#12)でも触れましたが、「好きなことを仕事にする」のは、一長一短。
方向性が間違ってくると、改善しなければならないことでもやり続けてしまったり、利益にならなくても良いからやりたい!と無償の愛を注ぎ続けてしまったり……。よくも悪くも、自分でブレーキがきかなくなると、“ただの趣味”状態になりかねないところが気をつけたいポイントだと思います。
しかし、まったく興味のないことや、好きになれない仕事を続けることは苦しいもの。それこそ、生活のためにただ働いているという感覚は、自分を消費していくだけなので、改善したいですよね。
そこで、私が分岐点になると思う、「好きを仕事にする」の方向性についてご紹介したいと思います!
愛は盲目…。時には、冷静な判断が必要
「好きなことを仕事にする」のは、とても良いことだと思います。しかし、その“好き”に、ビジネスライクな視点はありますか?という疑問です。例えば、私の経験だと、好きだからこそ頭の中はそれでいっぱい。
大学で吹奏楽を学んでいた私は、「楽器に触れていることが幸せ」とさえ思っていました(笑)。それでもいつか仕事になったらいいな……と淡い妄想だけは強く持っていたのです。
このような感覚の“好き”が何を引き起こすかというと、ビジネスライクな視点を失い、利益が出なくてもOK。交通費とスタジオ代を合わせたら、ぶっちゃけこの金額では赤字じゃん!と思う時でも、「こんな機会を与えてもらったことは本当に光栄だ」と一生懸命レッスンをしたこともあります。
しかし、仕事はボランティアではありません。フリーランスだと、時には先行投資と考えてノーギャラで仕事を掴み、徐々に広げていくことも多々ありますが、これには期間があります。一生、そのまま利益の少ない状態でも良いのか?本当は、割りにあっていないと感じているのではないか?
見たくない現実かもしれませんが、ただの趣味になっている可能性があるなら、方向性をグッと切り替えてビジネスライクに裁くことも必要な要素だと思います。
趣味の“好き”から、やりがいの“好き”へ
そこで私のオススメは、趣味の“好き”から、求められるやりがいの“好き”に方向を向けること。仕事が楽しいことに越したことはありませんし、ワクワクしながら取り組むことできっと良いものが生まれることでしょう。
しかし、ビジネスライクな視点を忘れてしまうのは危険。それなら、ニーズありきの仕事を実行するのはどうですか?という提案です。世の中が必要としていること、自分に任されていること、能力を褒めてもらったことなどを膨らましてみる。そこに、自分の価値観を重ね合うことができれば、さらに発展性がある仕事に繋がると思います。
私は、楽器の仕事はできなかったけれど、「音楽の知識 × 書く能力」が掛け合わさり、音楽の記事を書く仕事に繋がりました。演奏を聴きに来てもらって集客して収益を上げること、楽器を習いたい人にレッスンをして指導料を得ることではなく、「楽器の知識」を文章に置き換えることで対価が得られた。これは、自分がまったく予想していなかったことです。
趣味の“ただ好き”に偏っているわけではなく、どんな記事を書いたら読み手は興味を持ってくれるのか?自分だけではなく、はじめて読んだ相手も分かりやすく解説しているか?というビジネスライクな視点は常に忘れないように心がけています。これが、過去の自分と比べると大きく成長した点です。
「小さくても良いから、好きなものに囲まれてお店を出したい」「カウンターだけのカフェを出したい」など、いつかやってみたい夢はありませんか?
ぜひ、ビジネスライクに切り込むことを、意識してみてはいかがでしょう。