『どのように魅せると人を惹きつけられるのか』スピーチライター千葉佳織×元SUPER☆GiRLS勝田梨乃 後編



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『どのように魅せると、人を惹きつけられるのか』

前回は、元SUPER☆GiRLSの勝田梨乃さんが歩んできたこれまで、そして今だから伝えたいことを記事にしました。後編では、スピーチライターの千葉佳織さんと、勝田梨乃さんのお2人が「どのように魅せると人を惹きつけられるのか」というテーマに沿って語る様子をお伝えします。
実は高校生時代の同級生だという2人。これまでぜんぜん違う道を歩んできた2人が久しぶりにこうして話すことになったきっかけは、自分の挫折体験をSNSにアップしたことがきっかけだったそう。

ゲストプロフィール

勝田梨乃(かつたりの)

北海道生まれ。2010年、高校在学中、女性アイドルグループ・SUPER☆GiRLSのメンバーとなる。6年の芸能活動を経てグループを卒業し、2016年からボストン留学で新しいスタートを切る。2018年、立命館大学卒業。

講師プロフィール

千葉佳織(ちばかおり)

北海道生まれ。弁論を15歳からはじめ、全国弁論大会で3度優勝、内閣総理大臣賞を受賞。2013年、ミス慶應SFCを受賞。2017年、株式会社ディー・エヌ・エー入社。スピーチライターとして個人コンサルティングや、大学、教育機関などで授業を行う。

自分に自信をつけることを恥じない努力をする

千葉:私はDeNAに勤めながら外部でスピーチライターの仕事をしていますが、これまでには大きな挫折も経験してきました。

もともと私は、地味なタイプの子でした。生徒会長などもしていたけれど、その活力のひとつには「普通にしていたら可愛い子には敵わない」というコンプレックスがあったと思います。可愛い子は注目されていて、憧れでした。正直、羨ましいなと膨れ上がって見てしまうこともありました。
 そんな私は高校で弁論という競技に出会って、全国優勝して、話すプロ=アナウンサーになりたいという夢を持つようになりました。その時に、「自信がない」という自分のコンプレックスに向き合わなければならない、と思いました。
 高校の時に「アナウンサーになりたいってことはミスコンテストに出たいの?」と聞かれて苦笑いしていたら「嘘でしょ!こんなチビなのに?」とイジられたこともあります(笑)
それくらい意外なことだったのだと思います。大学に入ってからは、自分がどうすれば良く見えるのかを研究しました。自分自身がコンプレックスの塊だったからこそ、内面・外面含め何をどう改善するか、自分をどういう環境に置いて、マインドセットしていくかを考えました。
 最初は「ミスコンに出るなんて意外だ」と言っていた周囲の反応が、徐々に変わってくるのも実感しました。今当時を振り返って大切だと思うことは、「自分に自信をつけることに恥じないこと」。日本人は謙虚さを重んじているし、そこが美しいと思うこともあるけれど、「私なんか…」と言っていては、変わることはできないんだと思います。私の場合は、たまたまそのきっかけがミスコンテストでしたが、これはあらゆることに共通する、大切な考え方だと思っています。

(2013年にミス慶應SFCコンテストでグランプリを受賞した)ミスコンでグランプリを取っても、結果アナウンサーになることはできなかったし、今でもまだまだ自分に自信をつけようと必死で、納得しているわけではないけれど、自分のコンプレックスに向き合うチャンスであったと思っていますし、あの機会を応援してもらえた経験は、ずっと大切にし続けたいと思っています。そして「自分に自信をつけることに恥じないこと」は、大切なマインドとして掲げていきたいと思っています。

勝田:メイクはもちろん表情の作り方や話し方を研究することは、自分に自信をつけるために重要な事だと思います。グループ在籍時、写真を撮る時は大体衣装が多くて。同じ衣装を着てズラリと並べられると、やっぱり違いは顕著に見られるんですよね。となると必然的にどうやったら少しでも良く見えるかは研究しました。その当時は必死でしたね。でもそうする事で少しずつ自信はついていったし、自分がその努力を認めてあげられるようになりました。自分への努力を自分が認めてあげることって、すごく大事だよね。

【話し方】自分を人に伝えるための経験値を貯める

勝田:私が人と話すときに、自分アピールとして大切にしていたのは、とにかく相手の目をきちんと見て話すこと。もちろん、目をずっと見ていたら、相手を居心地悪くさせてしまうだろうから、目をしっかりと合わせるのは自己紹介の時だけ。それ以降の会話は、目と鼻と口を線で結んだ真ん中の三角ゾーンを見て会話を進めて、時々視線を外す、ってことを意識してきました。「目は口ほどにものを言う」っていう言葉の通り、目が与える印象って大きいと思うんです。

 あとは、声のトーンを下げて話すことも意識していたかも。声の印象で、プラスになることもあれば、逆にマイナスなイメージも付くこともありますよね。自分の見え方って自分からじゃわからないから、できるだけ他人目線になることも大切だと思います。

千葉:最初の印象は特に大事だよね。私は、まずは名前を覚えてもらえるように自分を印象づける自己紹介を考えた。「北海道出身の千葉です!」とか。千葉(ちば)は一文字変えると、“ちび”になるから、自分の身長が小さいことと掛けて、「ちびかおり」で覚えてください、って言うようにしたり(笑)。
 たくさんの人を前にして話す、弁論(7分間の日本語スピーチ)では、話し始める前や、段落の合間に間を空けて緊張感を作ってから話すと、多くの人が顔を上げて注目しくれると学びました。
また、大勢の人を目にした時、時には緊張するときもあるので、緊張をほぐすために臨機応変に笑いの起きそうなワードを入れたり、頷いてくれる人にむけてまずはちゃんと届けようと、個人とコミュニケーションをとるようにして、だんだんその視野を広くしていくこともあります。

あとは、人と出会う回数・話す回数は増やしておいて損はないと思う。知らない人と会うことって、すごく労力を使うから、ためらうことも絶対にあるけど、実際に飛び込んでみると「意外と大丈夫なんだ」って気づけることも多い。自分が悩んだ時にも、相談する人がいることで、視野を広げることができる。その人の経験やアドバイスを鵜呑みにするのではなくて、その人の視点から得た気づき(相談事のメリット・デメリット)を知って自分の判断材料を増やす、っていう意味でね。

【見た目】自分目線と他人目線を知ることで良さが見つかる

勝田:もちろん話し方だけじゃなく、見た目の印象もすごく大事だと思う。例えば、写真を撮る時には、顔まわりがすっきりして見えるようにデコルテが見えるような服を着たり。自分に合うメイクが分からなければ、デパートとかのコスメカウンターに行って、色々な人にメイクをしてもらえばいいんだよね。印象は変えられるし、ある程度作れるもの(笑)。

千葉:確かに、私も自分が写真を撮られる時に、右と左、どっちの顔がよく見えるのか研究してた! けど、自分が好きな方向とは逆から撮られた写真もあって、「その写真のほうが良いよ!」と言われることもあるから、写真は客観的な意見を大切に選択していた。

勝田:もう一つは、立ち振る舞いかな。ふと鏡に映った自分を想像すること。
もしかしたら、一人で家でぼんやりしているときは、猫背になって、姿勢も傾いているかもしれない。けど、誰かに注目されていると思ったら、自然と背筋が伸びて顔も明るくなるよね。その意識を自分につけることが大事だと思う。
 ふとした時の顔が自分の本当の顔だから、家の中にたくさんの鏡を置いておくのもオススメ。人に見られている意識を持つだけで、自然と姿勢も表情も変わるし、きっとこの違いは大きいかな。

【価値観】自分と他者を認める強さを持つこと

勝田:私はこれまで、強いマイルールを持ってきたけど、今ではそんなルールがちっぽけだったんだろうと感じることがあります。もちろんルールを破ればいいってことじゃなくて、自分なりの正義を相手に押し付けずに、色々な人の価値観も大切にすること。自分の家に一人でいる時は、自分だけの世界だからすごく楽だけれど、一歩ドアを開けたら、他人と共存する空間になる。だからこそ自分だけでなく、他者の価値観も大切にすること。そうすることで毎日外に出るのが楽しくなるし、ストレスなく過ごせるようになると思うんです。

千葉:自分を格好つけずに、弱みをさらけ出すこととか……色々あるけど、前提として、価値観は常にアップデートされていくものだと思っている。私は自分の夢や目標をノートに書いて、とにかく見返すようにしているかな。自己分析というか、得意なことや苦手なこと、自分の要素を紙の上で言語化して整理して、わかっていると、いざという時に人に伝えられるんだ。そうすれば、人を得意なことで助けることもできるし、苦手なことを補ってもらうこともできる。たくさんの人と関わってこそ人生の喜びがあるから、自分一人で抱えているわけじゃないって思うと心も楽になるかも。

勝田:そうだね。あと、年齢を重ねて、合わない人とは無理をして一緒にいなくてもいいと学んだ。時には、勇気を持って人と距離を置くこと。今までは自分のことを最後にしてきたけど、相手と良い関係を築くためにも、自分のことを大切にしてあげられるように意識することも大事ではないかなと思います。

千葉:私も人と一緒に過ごす時間は大切にしていて、一方で一人でいる時間も無くさないように意識しているかも。一人の時間をつくると、自分の状況やストレスを感じた原因も、書き出して整理することができで、自分の心地よさがわかるようになるんだよね。

勝田:自分の状況や悩みを整理したり、それを人に伝えることで更に整理ができることもあるよね。今回のイベントで、自分と改めて向き合うことができたと思います。

次回開催決定!

この日開催された特別講座では、明るく和気藹々とした空気ながらも、2人の会話に真剣に耳を傾け、ところどころ頷く女性たちの姿がたくさん見られました。職業や生き方、これまで歩んできた経験は違えど、Cinq読者のみなさんも、同じ同性として共感する部分は多いのではないでしょうか。

来年2月上旬には、特別講座の京都開催も予定しているそう。イベントの詳細が決まり次第、千葉佳織さんのTwitter(@kaolly13)やFacebookなどのSNSを通じて、情報が公開される予定なので、ぜひみなさんチェックしてくださいね。