休み方に着目!キャリアとライフデザインを両立するための社員手帳の秘密



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日々たくさんのリリース情報が送られてくるメディア業界。私たちCinq編集部もそんなメディア業界の端くれとして、女性向けのアイテムの新製品発表や、他社さまの情報などの情報をありがたくもたくさんいただくわけですが……。ある日、そんなリリースたちをチェックしていると、パッと気になるものを発見しました。

『「社員手帳」でライフデザイン 習慣化できる工夫で「休み方」に変化』

ん? 社員手帳でライフデザイン? 仕事のことじゃなくて?

しかもなんとその社員手帳『みんなのポラリス』は社内報の「企画」コンクールである『社内報アワード2018』の特別部門でゴールドを受賞しているというではないか。
休み方に着目した社員手帳、実際に見てみたい……! ということで株式会社メディプラスさんに取材をお願いしてみました。

社員手帳なのに“休み方”や”ライフデザイン”を重視する「みんなのポラリス」

株式会社メディプラス
(写真右)組織開発室 室長 渡辺 大介/(写真左)組織開発室 濵野 絵梨

化粧品の企画、開発、販売を行う株式会社メディプラスさん。
取材に答えてくれたのは組織開発室 室長の渡辺さん(写真右)と、同じく組織開発室の濵野さん(写真左)。今回社内報アワードでゴールドを受賞した『みんなのポラリス』は、今年で4冊目だそうで、濵野さんはこのみんなのポラリスの制作に3冊目から携わっているそう。そして渡辺さんは、なんとこのみんなのポラリスを企画した制作者のひとりでもあるというではないですか。
なかなか見ることのできない他社の社員手帳の中身、実際にチェックしていきましょう……!

「主体性・休息・グルーミング」の3つの要素を盛り込んだ

渡辺さん「『みんなのポラリス』は、会社の方向性を示すために作ったものなんです。どのタイミングで入社しても、スタッフ全員が会社のビジョンや現在の状況を把握できるように。創業当時のメンバーと、入社したばかりのメンバーでは、これまでの経験や知識に差があるので、その差を埋めたいという思いがありました。
社員が個々に活動していく上で『悩んだ時、会社の目指す方向に立ち帰れるもの』として北極星の“ポラリス”という名前を採用しています。そういった目的を持った上で、どんなものを作ろう……と考えた時、社員がみんな見返せるもの、どこへでも持ち歩けるサイズのものとして挙がったのが、社員手帳でした」

転職してから半年ほど経った頃、同じタイミングで入社をしてきたメンバーと2人で『みんなのポラリス』の制作にあたったという渡辺さん。社員の入社時期によって異なる温度感やビジョンを明確にするためのツールとして生まれたのがこの『みんなのポラリス』だったのだそう。

濵野さん「化粧品の開発をしているメディプラスですが、私たちは“ストレスオフ”を推奨しています。代表が、もともと肌が弱く、敏感肌に悩んでいたという過去から『メディプラス』という製品が生まれたのですが、働きすぎによって安定していた肌も再び肌荒れを起こしたり、体調を崩したりしてしまったことをきっかけに、ストレスが肌に影響するのではないか? という疑問を持ち、ストレスオフに着目をするようになりました。実際にストレスが増えると、肌には『コルチゾール』という成分が増えてしまって、肌のうるおいに必要な『セラミド』を分解してしまうという研究結果(※)も発表されています。

ストレスがキャパシティを越えてしまい、心身に蓄積した疲労状態をオフすることを推奨しているのが“ストレスオフ”です。生活習慣などからストレスを予防、マネジメントしてストレス性疲労を日常的、持続的に解放(オフ)するために、みんなのポラリスの内容も考えられています」

【参考文献】
※Yitao Wang, Chunxue Zhang, Yuelei Jin, Xiao‐fan Wang, Qing He, Zhu Liu, Qing Ai, Yunlong Lei, Yi Li, Fangzhou Song and Youquan Bu(2017). Alkaline ceramidase 2 is a novel direct target of p53 and induces autophagy and apoptosis through ROS generation Sci Rep.,2017;7:44573

濵野さん「ストレスオフを推奨するために大切にしている3つの要素が①主体性、②休息、そしてもう一つは③グルーミングです。理念やビジョンを掲載し、短期的な目標から50年先のビジョンを見据えて、自分の仕事にやりがいを感じてもらうことが主体性を生み出すと考えています」

濵野さん「休息については、有給休暇の使い方と休日の使い方にフォーカスを当てています。例えば、この1年間の有給休暇をどう使っていくか。事前に計画立てする手助けをするページや、いつ・どこで・何に使うかといったスケジュールを書き込めるページを設けています。有給残日数や、有給休暇の消化期限もすぐにわかるように」

渡辺さん『CSO(チーフ・スマイル・ オフィサー)』という残業時間や有給日数を管理する役職があるのですが、有給の消化期限がわかることで、消化率にも大きな変化があったことがわかっています。前もって有給の使い方を計画できるので、より有効に休日を使えるようになるんです。グループ会社のメディプラス研究所で行われた、全国14万人を対象にしたストレスに関する『ココロの体力測定』調査データを見ると、有給を取得する理由に体調不良や、市役所に行くというような理由が多く挙がっており、せっかくの休みをストレスオフに使えている人が少ないのだと感じました。ただただ有給を消化させるのではなく、ストレスオフのために、休みをどう使うのか考えてほしい、そういったきっかけになるような設計を考えました」

メディプラスでは、遠方に実家がある方が大型連休の前後に休みをとり、休暇を追加して大型連休を設定する『ファミラブ休暇』や、国民の祝日と連動して一週間、平日の労働時間を短縮する『ファミラブWEEK』などを設定した『ファミラブ制度』を実施しています。
そういった制度を利用しての有給消化計画や誕生日などのイベントによる有休消化の計画を年間のスケジュールを通して考える時間も設けられるのだとか。家族との時間も大切にしてくれる会社の取り組みがある。それだけで、すでにストレスオフに効果がありそうです……!

濵野さん「そしてグルーミング(居場所作り)については、部を跨いだ“クラス”というのを組み、普段仕事で関われない人と話す機会を積極的に作るようにしています。そして、そのクラスで、今後どのように働いていきたいのか、どう生きたいのか、というようなライフプランについて考える時間を作ります。勉強会の際に使用できるワークシートとしても、みんなのポラリスを活用することができます。ライフプランを組んだ中で、やめた方がいい習慣が見つかるような仕組みも。事業に理解を深めてもらえるようにクイズなどが記載されているページもあります。クラスは基本、上司や部下などのコミュニティに左右されないよう、あみだくじで決定して、定期的にクラス替えもします」

渡辺さん「一人一人が自発的に活動できる環境を作るためには、自分のライフプランと、事業が見据える方向性をしっかりと整理しておく必要があります。いきなり人生について考えろといっても難しいので、ライトに取り組めるように、1人で考えてみんなで話し合う。例えば、次の連休は何をするの? のように身近なところから、最終的にどうしたいんだっけ? というところまで。方向性を完全にリンクさせるのは難しくても、進めたい人生と取り組むべき仕事がわかって取り組むことが大切だと思うので、会社の中にいる社員でありながらも、人生観がわかるような社員手帳を目指しました」

個人の目標が変わるのと同じように、時には理念さえ変えることも

濵野さん「制作委員会を設けて、次の年の『みんなのポラリス』の制作にあたります。中身に関しては、委員会を中心に会社のメンバー全体にチェックをしてもらっているので、基本的には会社のみんなで作っているという認識です。会社のメンバーからもらった意見を元に、理念のページに書かれている文言が変わったこともあります。例えば2冊目を見ると“つながろう、もっと。笑おう、ずっと。”と記載されているのですが、これでは“もっと”と“ずっと”のどちらを重視すればいいのかわからないという声があったので、次の年からは“今より、もっと。もっとより、ずっと。”という表記に変わっているんです」

渡辺さん「理念は従業員みんなが共感できるものであるべきなので、こういった理由があれば、理念さえも改正できるようにしています。もちろん『みんなのポラリス』の中にあるページにも時々、修正が必要になることがあります。人のライフプランや小さな目標も、環境やタイミングによって変化するものなので、基本的にはシャーペンかフリクションなど、修正できるもので書いてもらう。決してコミットではないので、途中で予定が変わったら書き直そう、というのが前提です」

言いづらいことはシールにして伝えやすく

手帳の中身について語ってもらっているところ、2枚のシールが挟まれていることに気づきました。メディプラスでは、言いづらいことをシールにして伝える文化があるのだそうです。
そのシールが『コロッケシール』『NICE JASA(ナイスジャーサ)』シールです。

濵野さん「コロッケシールは、簡単にいうと会議に遅刻をした人に渡されるシールです。名前の由来は、社員の一人が、前の会社で遅刻をしたらコロッケを奢らなければいけないというルールがあったというエピソードから取りました(笑)。通常であれば、上司の遅刻は指摘しづらいものがありますが、シールであれば相手に構わず渡すことができます。シールの枚数によって自分自身も自覚ができるようになるので、面白いですね」

渡辺さん「NICE JASAシールは、つい否定的になりがちな会議の場で配布されます。会議の時は、あれがあるからあれができない、といったマイナスな意見が多くなるので、気軽に“じゃあさ”と代替案が生まれる仕組みを作りたいなと思ったのがきっかけです。その案が、いいね! と評価された時にシールが配られます。険悪な会議を建設的なものに変えてくれますよ。ちなみに、NICE JASAシールが10枚たまると、大きなNICE JASAステッカーに交換してもらえます(笑)」

(写真右)このNICE JASAシールはなんと、渡辺さんが発案したものだそう! ユニークな発想で言いづらいことを変換してくれるツールがこの2種類のシールなのです。社員手帳にも貼ることができるので、客観的に自分を見ることもできそう。(コロッケシールの消費がたった一つなのに対して、NICE JASAシールの消費が多いのが何よりスゴい……!)

社内報アワード2018 ゴールドを受賞して

濵野さん「バックオフィスにいると、頑張りや成果を数字化することもできないので、あまり目立つこともなくモチベーションが上がるといった機会がありません。なので、この受賞が一つの“成果”と認識することができたのがかなり大きかったです。“みんなのポラリス”はスタッフ全員で作っているものなので、会社全体が盛り上がるきっかけになればいいなとも思っています」

渡辺さん「効果があると信じて作ってきたものではありますが、それが世の中にとって価値があるものなのかはわからない。そういった状況を打破するような、客観的な評価をいただけたのが何より嬉しいですね。1冊目を作る時には、こんなことになるなんて想像もしていなかったので、愛着が大きいです」

通常使われる社員手帳の多くは会社情報や理念、スケジュールのリフィルやビジネスマナー、駅や主要空港などの情報が加えられていることが多いですが、革新的な使い方ができるこの“みんなのポラリス”という社員手帳は、会社のビジョンはもちろんのこと、この手帳を持つ人のライフプランまでも考えて、継続的に続けられる仕組みが設計された手帳でした。

ユニークな発想で、使う人の人生までを考えた社員手帳、それが『みんなのポラリス』。
自分探しのためにも活用できそうな手帳なので、いつかは商品化されるのでは……なんていう考えも頭をよぎりました。(ただ私が欲しいだけ)

メディプラスさん、取材協力ありがとうございました!