スカウトメールはどうして送られてくる? 準備不足で転職サイトに登録する危険性



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続々と届くスカウトメール、その後ろはどうなってる?

Cinq読者の皆様、こんにちは。
人材紹介業界16年目のキャリアアドバイザーAと申します。

これまで3回にわたって「やみくもにスカウトサイトに登録する危険」について書かせていただきました。今回は、その中でも「準備不足で転職サイトに登録する危険性」の最たるものをお伝えしたいと思います。

皆さんは、転職サイトのスカウトメールを受け取ったことがありますか? どのようなメカニズムでスカウトメールが送られるかをご存知でしょうか?

まず、スカウトメールは大きく2つに分けられることを知っておいてください。

1)転職エージェント本人が直接打っているもの
2)スカウト部隊が別にいて、エージェントは直接関わっていないもの

皆さんは恐らく、スカウトメールは転職エージェント本人が打っていると思っていらっしゃるのではないでしょうか。じっくりとその人の経歴を読んだ上で「是非この人に会いたい!」と思った転職エージェントが打っているメールだと……。

しかし、皆さんが名前を良くご存知の、超大手転職エージェントでは、忙しい売れっ子エージェントが自分で直接スカウトメールを送る例はほとんどありません(もちろん例外はありますが)。

※実際、私が転職エージェントに転身しようとした時には「スカウトメール担当」というポジションで募集をかけている転職支援会社がありました。

興味があって面接に行ってみましたが、その会社の転職エージェントは、「どんどんスカウトメールを配信して、どんどん転職者を獲得してください。それがあなたの役目です。僕がその人達をどんどん売りまくりますから。」とおっしゃっていました。
さらに「将来的には、私もエージェント側になれる可能性があるんですか?」と質問したところ、「ありますが、その時は自分でスカウトメールを配信してくれる人材を雇って下さい。その人の給料が払えるくらいまで稼げる自信ができたら、エージェントに昇格です」と言われました。

ずっとスカウトメール配信業務に集中しているのに、実務に触れる機会もなくもう一人スカウト配信業務をお願いするような、一人分の人件費を稼ぎ出せる程のキャリアコンサルタントになるための能力が身に着けられるのだろうか? 凡庸な自分にそれができるのか? と疑問を感じて辞退した記憶があります。(脱線しましたが、人材紹介会社の中には、このような一見“歪な”採用活動をしているところもある……ということも知っておいていただければと思って書いています。)

話を戻します。
たいていの人材紹介会社には、大規模なスカウトメール配信部隊がいて、新規に登録して来る人材の「年齢」「所属している会社の社格※」「最終学歴」等に加え、「担当業務の内容(規模感、立ち位置、実績等)」を【キーワード検索】して配信しています。

とある人材紹介会社では、なんと海外にスカウトメール配信部隊を置いて24時間体制(!)で月に何千通(!)ものスカウトメールを配信しているのだそうです。

※ここでいう「社格」とは、業界内でのその会社のランク付け・位置を意味します。つまり、社格が高い=ポジションが良いという事になります。神社に関する制度でも「社格」という単語がありますが、それとは意味が異なります。

日本の中途採用事情は、「年齢」という数字で区切られる

ここでいう「年齢が売りになるのって、いくつぐらいのことなんだろう」と読者の皆さんは思われるのではないでしょうか。
一般的に、一番企業が欲しがる年齢層は、「25歳から32~3歳くらいまで」と覚えておいていただいて良いと思います。新人教育をする必要がない、いわゆる第二新卒から、リーダー格くらいまで成長してきた頃の皆さんの年齢層のことです。
実際、エージェントに手渡される「30歳くらいまで」「28歳くらいまで」と記載されている求人票はまだまだとても多いです。
日本の中途採用市場は、まだまだ「年齢」という数字に価値をおいているとみて良いと思います。

ちなみに、私が過去15年間で一番高い年齢の女性の転職成功者の年齢は、「45歳」でした。
超大手製造業で社内コンサルタントとして活躍しており、全国の自動車部品メーカーを飛び回っているような方でした。「●●会社ではなく、●●さんだからお願いする」という案件を複数抱えている方でした。
内定してからも正式に転職するまでに引継ぎが大変で、企業には半年待って貰いましたが、それでも複数の企業が「わが社に欲しい」と手を挙げるような方でした。

つまり、このくらいのスキルと「営業力」がないと、40代が転職エージェントを介して転職することは難しい。ということだと理解していただければと思います。

年齢、社格、最終学歴などの「売り」がない場合

ここで気付いていただきたいのです。
「年齢」も、「社格」も、「最終学歴」等などにも売りがない人材の場合、「担当業務の内容」がスカウト部隊の【キーワード】に引っかからなければ、スカウトメールが届かないということです。

「ならば、とりあえず登録しておいて、徐々に職務経歴を肉付けしていけば良いんじゃないかな?」と思われるかもしれませんね。

そのご意見は、正しくもあり、間違ってもいます。

何故なら、転職エージェントは毎日【新規登録日】で絞り込みをかけて毎日人材を検索しているものだからです。

古い登録日の人材にスカウトを配信しないのは「何らかの理由があって、いつまでも売れなかった人材だから、まだサイト上にいる」(という可能性が高い)と判断するエージェントも多いものです。

もちろん、日々肉付けしていくという努力も大切ですし、そこを丹念に読み込んでスカウトメールを配信するコンサルタントもいるでしょうが、その「職務経歴書に徐々に肉付けしていく」努力ができるのであれば、最初からほぼ完璧な職務経歴書を作ってから掲載しませんか?
というのが私からの提案です。

これまでに繰り返し「私は何が出来る人なのか」を振り返って自己分析してみてくださいね。とお願いしていたのには、このような理由があるからなのです。

仕事に、プライベートにと忙しい日々、自分自身と向き合う時間を作るのは意外と大変ですが、例えば「平成」から「令和」に切り替わる今回のゴールデンウィークに、1日だけでも時間を将来の自分のために使ってあげてみませんか?

それでは、またお目にかかれればと思います。

キャリアアドバイザーA