成功に必要なのは努力それとも才能?あなたの「やり抜き度」をチェック #話題書籍に学ぶ



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必要なのは才能より「やり抜く力」

優秀と評価されていた人ほど結果を出す前に辞めてしまったり、学生時代高い評価を受けていた人が社会人になってから伸び悩むなど、才能があると言われる人が必ず“結果を出せる人”、“成功できる人”とは限りません。才能がある人は確かに存在します。学校の勉強においてもすぐに理解し問題を解ける人、スポーツにおいても人よりも早く上達する人、あなたの周りにもそんな人物が居ることでしょう。

「石の上にも三年」「継続は力なり」「ローマは1日にしてならず」と格言にもある通り、努力すること、継続力の大切さは、小さい頃から様々な場で、いやと言うほど聞かされているはず。
才能があるにも関わらず何故、そんな人たちは途中で諦めてしまうのか? それは、才能とやり抜く力は全く別の能力だからです。

そして、このやり抜く力こそが最も成功する上で大切な能力といえます。

「やり抜く力」がある人とはどんな人

やり抜く力の要素を分解すると次の2つが挙げられます。それは「情熱」「粘り強さ」です。

情熱とは「一つの事に長期間良い方法を考えじっくり取り組む姿勢」をさします。粘り強さとは「目標を決めたら、例え障害にぶつかっても諦めずに向かって進む姿勢」をさします。すなわち、やり抜く力がある人とは、情熱的に粘り強く物事に取り組める人と定義できます。

あなたの「やり抜く」力はどれぐらい?

実際に自分の「やり抜く力」がどれぐらいか見てみましょう。下記図の左の文を読んで、自分に当てはまる数字を足して、10で割った数字があなたの「やり抜く力」のグリットスコアです。最高スコアは5で「やり抜く力」はきわめて強い、最低は1で「やり抜く力」はきわめて弱いとなります。是非、同僚など周りの方と試してみてください。

先ほど記述した「情熱」を図る問いを奇数番号に、「粘り強さ」を図る問いを偶数番号に分けて設問しています。それぞれの数値を知りたければ、別々に答えてみてください。
「情熱」が強いが「粘り強さ」が弱い人など、自分の特性が分かります。

やり抜く力を伸ばす方法とは?

やり抜く力は伸ばせる力なのか?
それとも遺伝子的なものなのか?

答えは「伸ばせる力」であり、「遺伝子的なもの」でもあります。例えば、人の体型はある程度遺伝子によって決まります。ただ毎日の食事や、日々の生活よって親より身長が伸びたり、体型が大きくなったりするものです。やり抜く力もそれと同じと言えます。

やりぬく力を伸ばす4つのステップ

「やり抜く力」を伸ばすには4つステップがあります。
「興味」→「練習」→「目的」→「希望」の4ステップです。

ステップ1  興味

最初のステップは興味です。興味を持った仕事をしている方が満足度も業績も高くなる、という傾向にあります。練習をする前に、まずは楽しむことができる方法を見つける事が「やりぬく」を始めるポイントとなります。しかし、興味を持つ為にはどうしたらいいのか? ということが問題になってきますよね。自分が興味を持つ仕事を見つけるのは難しい事です。もちろん、無理やり興味を持つのも違うでしょう。

まずは、積極的に少しでも興味があるものを試す事が大切です。興味があるものを見つけたら、さらに長い時間をかけて掘り下げてていきます。より知りたい、より上手くなりたいと思う気持ちが「やりきる力」を育てます。

ステップ2  練習

次のステップは練習です。スキルを身につけるためには、練習は欠かせません。どんなに興味があるものでもスキルが身につかなければ興味は失せる一方、続ける事はできません。しかし、練習に時間を費やすのでは意味がありません。常に”上手くなりたい”という意識を持って、わかっている事とわかっていない事、できている事とできていない事を明確にし、自分の苦手な課題を克服する意図的な練習が必要になります。
意図的な練習は辛いものです。辛い意図的な練習をやり続けるには練習を習慣化する事と、一つ一つの課題の克服を楽しむ事がポイントです。

ステップ3  目的

3つ目のステップは目的です。目的を持っている人はやり抜く力も強い傾向にあります。
興味、目的は情熱の要素です。目的はできるだけ大きな目的を持つ事でやりぬく力は強くなります。自分の仕事が「人や社会の役に立つ」と考える、自分のロールモデルを見つける、なりたい自分を具体的に設定する、目標の持ち方は様々です。できるだけ、具体性を持って、強い意思を持てる目的を持つことが大切です。
自分の興味と目的が一致する仕事が天職だと言えます。天職に出会うのは難しい事だと思われますが、どの職業でも自分の職を「天職」だと思える人の割合は変わりません。大切なのは、目的を持つという意識と考え方なのではないでしょうか。

ステップ4  希望

希望は「やり抜く力」のあらゆる段階に必要な要素です。希望は困難に立ち向かう為の粘り強さの根元となります。「やり抜く力」に必要な希望は、運まかせのものではなく「自分達の努力次第では将来は良くなる」という信念に基づいた希望です。
この希望を持つには「楽観主義者」である事、人間は変われる、成長できると信じることができるという能力、才能に対して「成長思考」であることが求められます。

あなたを見極める2つの質問

問)頼まれた仕事が終わらなかったとします。その理由はなんですか?仮定として答えてください。

「時間が足らなかった。」「効率が悪かったから」など、一時的要因でどうにかできる答えを出した人は楽天的思考が強い人だと思われます。一方「自分に能力がないから」「度胸がないから」など、永続的要因で、すぐにはどうにもできない答えを出した人は悲観的思考だと言えます。

問)YesかNoでお答えください。頭の良さ、知的能力は生まれつき決まっているものでほとんど変える事ができない。

Yesと答えた人は、能力に対し固定思考、Noと答えた人は、能力に対し成長思考だといえます。実は、自分に才能があると思っている人ほど固定思考になりやすい傾向にあります。固定思考は、大きな困難にぶつかった時に大きな障害になります。一方、成長思考は一生懸命努力すれば、能力を伸ばし解決できると希望を持つ事ができ障害に対しての対応力が強い傾向があります。

実際に、「成長思考」の人は「固定思考」の人より「やり抜く力」が強い事が分かっています。
「成長思考」でいると、逆境を楽観的に受け止められるようになり、その結果粘り強くなれるのです。

「固定思考」の人は、「知能」「才能」の考え方を改めることをお勧めします。実際にIQのスコアーも変化しますし、脳は常に変化し続けます。高い知能を持った人、才能を持った人はいます。ただそれは、共に伸ばす事ができる能力です。
また、悲観的な思考もトレーニング次第で楽天的思考に変えられます。物事を考える時に、楽観的な考える練習をすることで、楽観的に考える癖をつけましょう。

まとめ

筆者がこの本を読み学んだことは、成功への過程において「やり抜く力」の極めて重要である事と、「やり抜く力」は伸ばせる能力である事でした。本の中では様々の実験、成功者の体験例などの事例を持ってより詳しく記載されています。

努力するって具体的にどういうこと? この問いに対する答えが理論的に学べます。やり続ける事に課題を感じている方や、努力する事を部下に指導していきたいマネージャーにお勧めの一冊です。

参考文書

参考文献 アンジェラ・ダックワース(著)神崎 朗子 (訳)『やり抜く力 GRIT(グリット)』,ダイヤモンド社,2016年