#ものをつくるということ 【Dorry Dollデザイナー「毛利 淳子」】



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“清楚で気品あふれる華やかさの中に、どこか憂いのある美”をコンセプトに、パーティードレスやワンピース、ボレロ、バッグ、シューズでトータルコーディネートを叶える「Dorry Doll」。そんなブランドのデザイナーである、毛利 淳子さんに普段のお仕事やこだわり、ライフスタイルについてのお話を伺いました。

提案力を大切にしたいという「Dorry Doll」では、年に8回もの展示会を行なっているのだとか。デザイナーという仕事が意外と地味だと話す毛利さん。そんな彼女の一日とは?

“提案力”を大切にデザインの質・量・幅を増やす

1日の流れを教えてください。

7時半には起きて、朝食をとって身なりを整えて、8時半には会社に到着するようにしています。会社についてからはメールチェック、SNS、あとは問い合わせの対応などから入ります。「Dorry Doll」は企画・生産・納品までの流れをデザイナーが全て自分で管理します。コスト交渉も全て自分。『自分の商品は自分で』という仕組みになっているんです。卸業務、修正、サンプルチェックももちろん。

作るドレスの数は自分次第。だからこそ、デザインしたドレスが多ければ多いほど、忙しくなります。私の場合は21時半〜22時頃に帰宅することが多いですね。作る量にノルマはないので、やりたけれなやればいい、やらなくてもいいんです。現在は5名のデザイナーさんが居るのですが、作るペースや量に関しても特に指示出しはしません。その代わり跳ね返って来るものは必ずあると思っています。厳しく思えるかもしれないけれど、良い”モノ”を作りたいからでもあります。

ドレスを作るときの工夫は?

私はとにかく”女の子が可愛く綺麗に、モチベーションが上がるようなデザイン作り”を意識しています。

ドレスアップした姿を見て、「今日の私、スペシャルにかわいい!」と思ってもらえるようなモノを作りたいから、スタイルが良く見える設計だったり、顔色がパッと明るく見えるような色だったり。そんな落としどころを見つけるのにこだわります。だけど「かわいい」の感覚ってみんなそれぞれ違いますよね。だからこそ、できるだけ多く、一人一人のニーズに合わせられるような”提案力”が大切になります。ドレスを作るときにも一種のエンターテイメント性が必要になると思っています。

エンターメント性って?

とにかくありとあらゆる生地を使って、商品の提案をします。例えば年に8回の展示会にしても、毎回似た商品が並んでいたら飽きを感じますよね。パーティードレスの場合は、形が決まっているものも多いので、とにかく素材や柄に幅を持たせることを意識しています。今回は、季節感(A/W)を意識してヴェルヴェット素材をたくさん取り入れました。流行に関してのトレンドセミナーも毎シーズン行きます。

デザイナーになるための行動力・好奇心

デザイナーになろうと思ったのはいつ?

高校の時からファッションやイラストを描くのが好きで、そのままファッションの短期大学へ進学しました。21〜25歳の間ではイギリスのファッション学校へ留学。当時はコスチュームデザイナーになりたいと思っていたのですが、具体的な就職先のことなどを考えてプレタポルテ(高級注文服、高級オーダーメイド服)と呼ばれるような、服を学ぶことに切り替えました。

日本に帰ってきてからは、繋がりも何もなかったので、アパレル企業年鑑のあいうえお順に、アパレルの会社へ直接電話をしました。幸いにも就職先は早め採用が決まって、そこから8年間働いたあと、商社へ転職をしました。

転職をしたのにはどんな理由が?

カットソーが得意な会社があれば、ブラウスが得意な会社があるように、それぞれの会社によって得意なものや特徴があるんです。だからこそ、同じ会社にずっといると、その服しか作れなくなるかもしれない、と思ったのがきっかけでした。最初に入社した会社では、パンツを作ることや染色を学びました。そして商社に入ってからは、ブランドとして商品を企画することではなく、クライアント(ブランド)に向けて自分たちが作ったモノを売り込む、といったことをしていました。作って並べる、ではなく卸先を見つける、といった感じです。アパレル会社によって業態が異なるので、色々なジャンルでの経験と仕事がしてみたい、と思っていました。

そのあとは今の上司でもある人に声をかけてもらったことがきっかけで、株式会社アサクラに入社、「Dorry Doll」のデザイナーになりました。

不安はなかった?

今までドレスを作ったことはなかったので、もちろん不安もありました。だけど「学びたい」と思う気持ちの方が圧倒的に強かったです。煌びやかで美しいものを作りたいという気持ちは持っていたので、「Dorry Doll」の雰囲気と、もともと自分の中にあるテイストが合っていたのだと思います。

シンプルなライフスタイル

モチベーションを保つコツは?

仕事のモチベーションを保つ秘訣は、健康であることだと思っています。体が健康じゃないと、モチベーションは保てませんよね。だからこそ、東洋人のルーツを活かした食生活で、内臓を健康にする生活を意識しています。発酵食品をたくさん食べるようにして、甘酒や塩麹を自分で作ったり。ヘルシーな食生活を維持しつつ、ストレッチやヨガも毎日。無理をしないことがいちばんじゃないでしょうか。

他に日課にしていることは?

仕事が終わってから家に帰ると、お風呂で本を読んでリラックスします。活字が好きなので、小説を読むのも毎日、漫画を読むこともあります。
あとは、WBS(ワールドビジネスサテライト)という経済ニュースが好きなので、テレビ鑑賞をしつつ、翌日のお弁当を作ることが多いです。輸入業でもあるので、為替のチェックももちろん、世界情勢や日本の動きなどの情報収集をしています。小物なども自分たちで作っているのですが、とくに細かいパーツは中国・韓国からの輸入が多いので、中国の動向は特に気にしていないといけないし、コストにも変化が出てきてしまいますからね。仕事との関係でもありますが、単純に楽しいです。

オンとオフは分ける?

休日は基本的にオフモード、オン/オフはしっかり分けています。ファッション関連ではない友達と会うことが多いので、基本的に仕事の話はしません。外へ出て、映画鑑賞や美術鑑賞をしたり、行ったことのない場所を散歩することも好きです。知らないことを知ることが好きなんですよね。友達にも好奇心旺盛だと良く言われます。メリハリをつけて毎日を楽しく過ごしています。

ライターまとめ

「”どうしたら仕事を楽しめるか”を意識をしたことはないけれど、仕事が嫌いだったらこうして続いてないと思う。だからお休み以外は基本全力です。」という毛利さんの言葉は、まるで模範回答を聞いたかのよう。心から仕事を楽しんでいる人の答えでした。仕事に対する姿勢はもちろんですが、プライベートにも自分なりのマイルールを作り、毎日を楽しむことを日常・習慣化しているように思えます。

“普段着る機会が少ないからこそ、より華々しく見えるようなドレスを作りたい”

そんな気持ちがこもった「Dorry Doll」のドレスは、毎日を生き生きと楽しみたい女性にぴったり。きっとあなたにとって最大の「かわいい」を引き出してくれることでしょう。毎日慌ただしく過ごしている方も、とっておきの日にはとっておきの一着でお出かけしてみてくださいね。

Cinq編集部 写真−松本 唯: 文−古河 莉奈