今回のゲスト♡ 中村真帆さん
中村 真帆(なかむら ちかほ)
「元国会議員秘書が教える着物の着付けと一流のおもてなし」講座講師
元衆議院議員秘書
元文部科学省生涯学習政策局総括官秘書
民間企業社長秘書等を歴任
書道、茶道、馬術を学び、日本文化を伝えている。
社会的地位のある方にお会いする時や人前に出る時など、どんなシーンにおいても 物怖じせずに堂々と自分を表現出来るよう、所作や言葉遣いを学びセルフイメージをあげる講座を展開中。
インタビューする人♡ 渡辺彩季
渡辺彩季(わたなべさき)
京都府出身、東京在住のフリーライター。
女性をターゲットにしたメディアを中心に美容、ファッション、ライフスタイルなどの幅広い記事を執筆中。
美容が大好きで、コスメコンシェルジュ、全米ヨガアライアンス、アロマテラピー検定1級、温泉ソムリエなどの資格を取得。
ウーマンダイアローグ#33 【和装マナー講師/中村真帆さん】
渡辺:本日はよろしくお願いいたします。
中村:よろしくお願いいたします。
渡辺:早速ですが、中村さんの現在の仕事の内容を教えていただいてもよろしいでしょうか?
中村:日本文化と合わせて、シーンに合わせた正しい所作や言葉遣いなどのマナーを教えています。外国の方と話す時に和文化を通しておもてなしができたら日本人として素敵ですし、実際に需要が高いと感じています。
渡辺:海外から観光や仕事で日本を訪れる方も多いですものね。また、海外に行った時にも日本独特の文化を好きとおっしゃってくださった方にこれまでたくさん出会いました。「意外と自分より、日本について詳しいんじゃないかな……?」と感じる瞬間もありましたね。
中村:そうなんですよ。日本文化の魅力を知らない日本人がまだまだ多い。それに日本人は謙遜してしまいがちなので、もっと初対面の方に自分を上手にアピールできるようになったほうがいいと思います。きちんとしたマナーを身に付けていれば、相手やシーンに物怖じすることなく、自分自身のいい部分を人に伝えられます。
渡辺:きちんとしたマナーを早い段階で身に付けておけば、これから先の人生をより一層素敵なものにできそうですね。
姿勢や所作はとても重要! 印象がガラリと変わります
渡辺:中村さんは、日本文化について幅広くセミナーで語られていると思うのですが、ザックリ言うとどのようなことを教えていらっしゃいますか?
中村:まずは、歩き方からですね。特に着物を着る場合は、歩幅を意識するだけでも変わります。夏に浴衣を着て花火大会に出掛ける方も多いですが、着崩れてしまうともったいないです。コツさえ掴めば長時間きれいに着続けることができるので、覚えておくといいですよ。
渡辺:和装の時の歩き方から入るのですね! 歩き方ひとつでオーラが変わりますよね。なんとなくですが、ちょっとした所作で人柄も伝わるような気がします。
中村:内面から滲み出る美しさですね。姿勢や所作は重要なので、私の講座では最初に歩き方と座り方を教えることが多いです。これらの動作が美しくできていると、それだけで見栄えが変わります。なので、みなさん自身を持って自分のことを話すことができるようになります。
相手が変わっても立ち振る舞いは同じです
渡辺:過去に国会議員秘書の仕事をされていらっしゃったとのことですが、立ち振る舞いの部分でほかの人と異なる部分はありましたか? やはり役職の高い方は対応もお堅めなのでしょうか?
中村:根本的な部分は同じです。有名な方でも特別扱いされたい方もいれば、みんなと同じように普通に接してほしいという方もいらっしゃるんですよね。すごいことをされていても、意外と目立つのが苦手な性格という場合もあります。
渡辺:相手の性格を汲み取って臨機応変に対応されていらっしゃるのですね。私だったら緊張を外に出さず、普段通りに対応できるかと考えただけでドキドキしてしまいます。
中村:そうですね。単純に持ち上げればいいわけではありませんので、空気に合わせています。ただ、どんな相手でも基本の立ち振る舞いは変わりません。
渡辺:分け隔てなく接するところにも美しさを感じます。普段からきちんとした立ち振る舞いがわかってさえいれば、緊張したからといって不自然になることもありませんものね。
フリーランスになって感じたメリット・デメリット
渡辺:現在はフリーランスとして和装マナーの講師をされていらっしゃるとのことですが、以前の働き方とどのような変化がありましたか?
中村:マナー講師を始めたのは今年からなので、実はまだ日が浅いです。現在フリーランスとして活動し、スケジュールも自分で自由に組んでいます。
渡辺:正社員の頃と比較すると、生活リズムは不規則ですか?
中村:そうですね。まず、週末もセミナー講師をしているので、曜日感覚がありません。マンツーマンのセミナーが多いので、生徒に合わせた日程で開講しています。主婦は平日の昼間が都合がいいですし、社会人は土日を希望されることが多いです。フリーランスになれば、時間の使い方が自由にできていいのかなと思っていたのですが、実際になってみると休みが全然なくて……。
渡辺:そうなんですよね。私もフリーランスに転身してから、常になにかしらの連絡がくるので、結果的に365日営業になっているような気がします。
中村:休日も生徒から連絡が着たら対応しなければいけないですし、フリーランスになったら楽なのかなと思っていましたが、むしろ忙しくなりましたね。
渡辺:私も休日も仕事関係の連絡が着たら対応することが多いので、完全なオフがなくなってしまいましたね。フリーランスになった当初は“自営業”ならではの大変さを感じました。レスポンスの早さは信頼にも繋がるので、マメな人はやはり依頼も増えやすいと思います。でも、フリーランスになったからこその良さもたくさんありますよね?
中村:そうですね。自分で物事の優劣を付けられることが大きいですね。自分にとって必要なものを中心に仕事を選ぶようになりました。あとは、基本的に紹介という形で活動を始めたので、今のところ受講のキャンセルなどのトラブルがないからありがたいです。
渡辺:たしかに方向性を自分で決められることは大きいですね。仕事を選べるという部分にも共感できます。
日本文化を知れば知るほど楽しみが増えます
渡辺:中村さんが和装マナー講師をしていて、一番やりがいを感じる瞬間はどんな時でしょうか?
中村:海外の方は自分の国の文化を上手に伝えることができるのに、日本人はあまり日本文化を把握していないように感じます。自国の文化をこんなにも語れないのは日本人だけなんじゃないかなと。海外留学を経験した友人が「言語や経済の壁もあったけど、自分の国の文化を伝えることができなくて困った」と過去に話していたことが印象に残っています。
渡辺:たしかに海外の方に日本文化……例えば茶道や華道についても、教えてほしいと言われたら、スラスラ説明できないですね。私は生まれも育ちも京都なのですが、今になって神社やお寺があんなにたくさんある環境が珍しいのだと知りました。幼い頃よりも大人になった今のほうが日本の魅力に惹かれています。ここ数年は和装に興味を持ち、着物も着るようになりましたし、日本料理を食べに行く機会も増えました。
中村:日本料理は必ずメニューに四季を取り入れます。これが日本料理ならではですよね。もちろん季節に合わせて使う食器も変わりますし、そういった部分も勉強していくと、また違う気持ちで向き合うことができます。
渡辺:食器でもそうですよね。日本料理の老舗を訪れると食事が美味しいというのはもちろんですが、お皿や箸置きなどのチョイスにも注目してしまいます。単純に食事を済ませるだけでなく、いろんな気付きがあるからおもしろいです。
中村:日本文化を知れば知るほど、楽しめますよね。歴史や季節だけでなく、そういった心遣いこそが日本の美しさでもあります。このような日本の魅力をもっともっと多くの方に知っていただきたいですね。
花鳥風月を愛でている日本の文化をたくさんの人に伝えていきたい
中村:私は日本人の優しいところが好きです。日本人の気質として“親切”という部分が大きいと思いますし、花鳥風月を愛でているところに心の余裕を感じます。四季折々の美しさと、そしてそれを楽しむ心や表現がとても豊かなのが魅力的だと思っています。
渡辺:“四季”の概念は、日本ならではですよね。
中村:他の国とは違う文化のひとつですね。それに日本は「雨」だけでも言葉のバリエーションが豊富じゃないですか? 例えば「五月雨」「梅雨」「通り雨」「暴風雨」……。ただただ天気の話であればたったふた文字の「雨」で終わらされるのに、表現を加えることによって言葉がいくつも生まれます。この繊細な表現や奥ゆかしさをもっと多くの人に、日本のことを知っていただきたいと思いますし、せっかく日本に産まれたのであれば自国の魅力に気付いてほしいです。
渡辺:私も中村さんと今お話しをさせていただいて、もっともっと日本について勉強したくなりました。
中村:ありがとうございます。これからも講師の仕事を通じて、日本ならではの所作の美しさやマナー、心遣いを教え子に伝えていきたいと思っています。いつかは自分の教え子が講師をできるようになって、孫弟子のような存在もできたら嬉しいです。
中村真帆さんのFacebook
インタビューを終えて…
和装マナー講師の中村真帆さんと対談をさせていただきました。お会いする前は中村さんが元国会議員秘書をされていたとのことで、すごく難しい話ばかりだったらついていけるかどうかと心配だったのですが、実際にお話しさせていただくと説明がとても分かりやすく、親近感のある雰囲気で安心しました。きっとセミナーの時も生徒の目線に合わせて丁寧に教えられていらっしゃるのだろうとすぐに想像することができましたね。
2020年にはいよいよ東京オリンピックが開催されますし、海外から観にいらっしゃる方がたくさんいると予想されています。それまでに少しでも多くの日本の持ち味を理解して、海外の方にも魅力を知っていただけるようにできたらいいなと思います。
「小さな出会いを大切に育てていくことで、人生の中での大きな出会いになることもあります」
千利休の名言です。
自分の立ち振る舞いによって、一期一会の出会いがより素敵な思い出になり、それ以降の関係性にも影響が出てくるでしょう。私も所作のきれいな女性を目指して、きちんとしたマナーを身につけたいです。