理想がハッキリしていないからこそ。今伸ばすべきポータブルスキルの捉え方



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おはようございます。キャリアアドバイザーAです。
早いもので、2019年も残りわずか。寒くなったので、最近リンゴ酢を飲み始めました。随分前に、「リンゴ酢はダイエットに効く」と話題にもなりましたが、朝コップ一杯飲むようにしたら、寝起きもすっきりして疲れも取れやすくなった気がします。クエン酸効果でしょうか? この他、便秘やむくみの解消や美肌効果があることでも知られているそうです。Cinq読者の皆さんにもおすすめですよ。

さて、このコラムでは私が経験してきた人材業界のウラ側をお伝えしつつ、転職活動に役立つ情報をお伝えしてきています。が、読者の皆さんの中には、
「別にやりたいことなんてないし、転職活動をしようとしているわけでもないからピンとこない…」
「毎日、惰性で出勤しているような状態でモヤモヤするけど、何か行動起こすのも億劫…」という方もいらっしゃるのでは? と思い当たりました。

振り返ってみると、私の20代の一時期がまさにそうだったから。
就職活動、特に面接に苦手意識があり「今の仕事を辞めたいけど、中途採用の面接を受けることが恐怖だから絶対転職活動なんかしない!」と思っていたくらいです。

今回は、「20代の頃の私」に似ている、ちょっとしたこころの澱を抱えながらも頑張って働いているアナタにむけて、お伝えしていきたいと思います。

「やりたいこと」や「将来像」がハッキリしているのなら、悩む必要なんてない

そもそも、やりたいことや理想の将来像がはっきりしているなら、自分がどんなスキルを磨けばいいのか悩むことなんてないですよね。でも、たいていの人は、それがわからないから悩む。
学生時代、知識を詰め込まれる教育を受け続け、「受け身」でいても何とかなっていた人も、社会人になる前くらいからから急に【自己分析】と称して“できること”や、“やりたいこと”を問われ続けはじめる。ちょっと理不尽じゃないかな、と感じるくらいです。

毎日通勤するだけでも大変なのに、社会人になると毎日いろいろな人からの評価にさらされます。上司から、取引先から、同僚から。期待される社員像と自分とのギャップに、「忙しいだけで毎日同じことの繰り返し」「なのに、優秀じゃないと、ここにいちゃいけないの⁈」とこころの中で毒づいていました。

「将来に向けて、何かスキルでも磨こうか」と、通関士(資材部に所属していたので何となく)や社会保険労務士(人事部に異動したので何となく)のテキストを買ってはみたものの、当時の私の帰宅時間は23時過ぎ。たまに定時で帰宅すると母が「具合でも悪いの?」と心配するような状態で、「気にはなるけど、まぁいいか…」とすべてを先送りにしていました。お恥ずかしい話です。

でも、こんな私と同じように、どんなスキルを磨いていいのかわからず、毎日の忙しさに流されて、立ち止まってしまっている方も多いのではないでしょうか。

そんなあなたに、わかりやすく「資格取得」をすることだけが「スキルを磨く」ことではないことに、ぜひ気付いていただきたいのです。

技術や資格以外にも仕事に必要なスキルはある

仕事に必要なスキルは技術や資格以外にもあります。
例えば、あなたが営業アシスタントなのであれば、役立つのはPCのスキルだけでなく、チームメンバーが動きやすいように『このデータ集計しておいたほうが良い?』と先回りして提案したり、「会議資料はこのほうが見やすいですよ」と改善点を見つけて提案したりできることや、「その資料を作るなら、○○部の協力を得たほうが早いからきいてみますね」と根回しする力。顔色がさえないメンバーに、さりげなく声を掛ける心遣い。
「どうしても明日の訪問に必要なんだ、急で申し訳ないけどこの見積り仕上げておいてくれないかな……」というメンバーの無茶ぶりにも対応する柔軟さ。

月末の追い込みの時期、ともすれば澱みがちな朝の空気を明るく変える、元気のよいあなたの朝の挨拶も、きっと誰かのこころに届いています。

「ポータブル・スキル」

中途採用でも、テクニカルスキルや資格だけではなく、仕事をやり切る力や、取り組みの姿勢、対人スキルやチームワークといった“仕事をするための能力”すべてを企業は“スキル”として評価されます。これらのスキルは業種や職種を問わず、会社を超えて通用する汎用性のあるスキルで、「持ち運びできる能力」=「ポータブル・スキル(portable skills)」と呼ばれます。
一般にスキルだけがものをいうと思われているITエンジニアの採用にしても、多少技術が劣っていたとしてもこのポータブル・スキルが高い人を企業は採用したがります。

「転職をするつもりはないし、自分には関係ない話だな」と思う方もいるかもしれませんが、ポータブル・スキルを意識した方がいいのは、転職を考えている人だけではないのです。

企業を取り巻く環境の変化が激しい時代と言われて久しいです。自分の意思とは別に転職をせざるを得ない状況に置かれることもあります。
女性の場合は、たとえば結婚・出産といったライフイベントが急に起きて、今の会社を辞めなければいけないこともでてくるかもしれません。
そうなった時も、持ち運び可能な汎用性の高いスキル「ポータブル・スキル」を身につけておけば、新しい環境にすぐになじむことができるし、そういう人材はどこにいっても歓迎されやすいのです。

ポータブル・スキルの磨き方

ポータブル・スキルには大きく分けて2種類あります。
「① 専門技術・知識」と、「② コミュニケーションスキル・リーダーシップ」です。
①はわかりやすく、資格取得等で可視化・数値化できますが、②は、その人の性格や人柄によって現れ方がまったく違うので、比較しづらい。

リーダーシップにしても、
A.自分の意見を強く押し出し、相手に納得させて周囲を巻き込んで引っ張っていくタイプ
B.みんなの意見をじっくり聞いて、バランスをとりながらチームをまとめていくタイプ

どちらが優れていて、どちらのタイプを目指しましょう。と一概に言えないですよね。

ここで必要になってくるのが、【自己分析】です。
あなたはAさん、Bさんどちらのタイプに近いですか? これも立派な自己分析です。より自分に近いほう=【自分の強み】にフォーカスし、それを伸ばしていこうと日々意識することによってポータブル・スキルは磨かれていきます。

ポータブル・スキルを磨くのは、ちょっと筋トレに似ているな、と思いませんか? 今日明日には結果は出ないけれど、半年、一年…と少しずつ確実に変わっていき、差がついていきます。

自分の強みを把握するにあたって重要なのは【客観性】です。手始めに、家族や友人など身近な人に自分の長所と短所を聞いてみましょう。
身近な人に聞くと客観性に欠ける場合もあるのが難点ですが、転職しようと思ってもいないのにいきなりキャリアコンサルタント等に相談するのはハードルが高いですものね。
※何度も繰り返しますが、丸腰で人材ビジネス会社を頼ることはお勧めしません。

もし、あなたの上司が信頼できる方なら、上司に聞いてみるのもお勧めです。「細かいケアレスミスが多いけど、何でも物おじせずチャレンジするよね」と言われたら、【問題解決に向けての突破力がある】けれど【少し慎重さを心掛けたほうが良いな】ということですし、「時間はかかるけど、どんなこともコツコツと丁寧だよね」と言われたら、【業務を粘り強く遂行する力がある】けど【もうすこしスピードにも意識を向けていこう】考えてみることができます。

共通してつけておいた方が良いポータブル・スキルは「マネージメント力」

このように、将来に向けて、自分がどんな力を身につければいいのか、業種・職種や個々人でもそれぞれ違いますが、ひとつだけ共通して身に着けておいたほうが良いポータブル・スキルがあります。
それは、【マネージメント力】です。

どんな職種であっても30代の中途採用の求人票に、共通して書かれる項目。それが「マネージメント力」です。

「私、まだ部下とかいないし、そんなのどうやって磨けば良いんだろう…」と思われた方もいらっしゃいますよね。

「マネージメント力」の基礎を身に着ける、入社一年目の新人でもできる方法があります。それは、あなたの担当業務を、「自分の上司の視点で捉えてみる」習慣をつけること。
「自分が上司なら、こういう場合にどうするか」「自分が上司なら、どんな結果を望んで自分に仕事を振っているのか」と考えることによって、マネージャー視点を磨いていくのです。

「フラットな組織にいて、直属上司がいない」というパターンもあるかと思います。その場合は、「顧客がどんな視点で自分のアウトプットを評価するか」を考える習慣をつけることです。

自分の担当業務が、会社組織の中でどんな意味を持ち、どう影響していくのかを見るように心掛けることによって、同じ仕事でもより積極的に向き合え、そこから得られる経験やスキルもより骨太なものになっていくことでしょう。
この、自分だけの視点でなく「上司視点」・「顧客視点」をもつこと=「物事を俯瞰で見る姿勢」も、ポータブル・スキルを磨く重要な要素だと言えると思います。

この「ポータブル・スキル」については、もう少しお伝えしたいことがあるのですが、少し長くなったので今回はこのへんで。

それでは、またお会いしましょう!

キャリアアドバイザーA