「ママの可能性を広げるために」#つくるを選ぶ【Himemama代表理事 坂上愛佳】

「ママの可能性を広げるために」#つくるを選ぶ【Himemama代表理事 坂上愛佳】

結婚・出産を機に働きかたを見直した経験から、ママのための活動を本格化させたHimemamaの坂上愛佳さん。ママが集まるコミュニティを通じて、企画プロデュースや、マイクロラーニングサービスの提供を行なっています。ママの可能性を広げる取り組みについてインタビュー。


坂上 愛佳(さかがみ あいか)

フジテレビアナウンススクール研修をへてフジテレビにてリポーターなどを経験。フリーアナウンサーとなり、リポーター、MC、モデルなど活動の幅を広げる。
結婚・出産を機に働きかたを見直した経験から、ママのための活動を本格化。ママ応援コミュニティ「Himemama」(ひめまま)を設立した。ママとベビーが共に学び、体感できる環境作りを行う。行政や病院、企業との協業事業として、0歳からのコンサートやママフェス、かけっこ教室、地方移住体験ツアーなどをプロデュース。子育て支援の輪は全国に広がり、パリ、ロンドン、上海、クアラルンプールなど海外にも展開している。2020年にスタートした「Himemama Premium School」では、国内外のママ(講師として、受講生として)をつなぎ、子育て中でも、自宅で、短時間で学べるマイクロラーニングを提供。

社会から切り離された感覚に陥った育児期間中

ママ向けコミュニティを作ったきっかけについて教えてください

息子が0歳3ヶ月のときに行った、母子教室がきっかけでした。
これまではアナウンサーの仕事をしていたので、結婚や出産は仕事との兼ね合いもあって、一つのゴールかのように感じていたんです。けれど、実際に子どもが生まれると、それがゴールでないことに気づきます。自分のペースでお風呂に入ったり、きちんと睡眠をとったり……これまで当たり前にできていたことが全くできなくなって、「こんなに大変なんだったら、最初に教えておいて欲しかった!」と思ったくらい(笑)

旦那さんも育児には協力してくれていましたが、それでも日中、子どもと二人きりで過ごしているだけで、社会からの孤立感を感じるようになりました。これまでの生活と全く違う毎日に、イメージ通りに進まないことだらけ。これが一生続いたらどうしようって不安になりました。

けれど、子どもが3ヶ月頃になると、手探り状態の育児から少しずつ慣れが生まれてきて、生活リズムも整いはじめました。これなら外に出られるかも? と思い、参加したのが3ヶ月の母子教室です。
母子教室に行ったことで、参加していた7組のママたちが自分と同じような気持ちを抱いていたことがわかりました。この7組のママたちと、定期的に集まるようにしようと決めたのがコミュニティのスタートでした。

同じ悩みを持ったママさんたちが自然と集まるようになったのですね。では、本格的に事業をスタートさせたのはどのような経緯があったのでしょうか?

東京には、タワーマンションなどの集合住宅も多いことや、バリバリ働いていた女性も多いことから、似た境遇の人が集まるようになって、半年後には100人規模のママコミュニティが出来上がりました。

その中に、ヨガ講師をやっていた方がいたんです。その他にも、「これまでやってきた仕事や資格を通して、なにかできることがないか?」と考えていたママさんから相談をいただくことも増えました。そこで、親子向けヨガを開催してみよう、ベビーマッサージをやってみよう、幼児英語をやってみよう…というようにイベントを企画するようになったんです。それぞれが持つ特技をコミュニティ内に生かすという流れができて、サイトやカードシステムを作り始めたのが、事業の始まりでした。

アナウンサーをやっていたこともあり、自分から活動を発信する機会も多かったことから、「社会貢献のためにできることはないか?」と連絡をくださった企業さんも多くありました。新しいマンションができるから、そこに親子向けのイベントプロデュースしてくれないか? と相談をくださった知り合いのデベロッパーさんもいらっしゃいました。

ママが集まるコミュニティで、それぞれの特技を活かし楽しみながら参加できる場をつくる。それをうまく企業の方と繋げることができたら、お互いにハッピーになれるんじゃないかな? と思い、プラットフォームを作り上げてきたような感覚です。

そうしているうちに、「私もあの土地でやりたいです」と手を挙げてくださる方がいて、今では日本各地にとどまらず、海外にも支部ができました。会員数は5,500人、みなさん一度はヒメママのイベントに参加したことがあるという濃いコミュニティになっています。

最初から事業をつくろうと思ったわけではなく、口コミで自然に広がり、社会貢献ソーシャルビジネスという形で展開をしてきました。

ママにも「学びたい」「これまでの経験を生かしたい」気持ちがある

イベントに参加したことがある人が会員になっているのですね。濃いコミュニティを作るために、他にも工夫されていることはありますか?

良いスパイラルが生まれる会にしたいという思いでコミュニティをつくってきました。自分と子どもが充実した生活をおくるために、一緒にシェアできる人がいたらいいなという気持ちで、ママと子どもが学びたいことややってみたいことをテーマに企画を増やしていきました。

1回でも、参加費を出してイベントにきちんと足を運んでくれたという事実が大きいです。集まるのは、意識が高く学び欲がある人たちばかりです。人間関係のトラブルについても覚悟していましたが、ヒメママに集まる人は、ネガティブ思考の人よりも、圧倒的にポジティブ思考の人が多いです。「価値があるところには、きちんとお金を出すよ」と考えている人が多いのが、ヒメママの特色でもあると思います。プラットフォームのような集まりではありますが、決して無法地帯ではないということを理解いただいていることが、質の良いコミュニティ形成に繋がっていると思います。

これまでリアルイベントに力を入れてきたヒメママですが、マイクロラーニングサービスも開始しましたね。この理由を教えてください。

コロナ渦に陥って、なかなか人と気軽に会うことができない分、リアルの価値が今度さらに上がると思います。けれど、私たちのようにママが集まるコミュニティの場合、リアルだから難しいと痛感することもたくさんありました。
例えば、行こうと思っていたレッスンがあっても、子どもが急に熱を出して参加できなくなってしまったり…。これは参加者だけでなく、講師側にもあり得ることなんです。どれだけ道具や場所の準備をしても、どうしようもできないことがある。これがママが仕事をする時の難しさでもありますよね。

けれど、オンラインを導入することで多くの不都合を解決できると気づきました。また、各地に支部が増えていることもあり、オンラインにすることで距離の制約をなしにレッスンを受けることができるようになります。海外支部の方と、日本と海外の教育事情について話したりできるのも楽しいですね。ママの大変さを柔軟に受け止めているからこそ、時代に応じて変わるニーズや変化にも対応できるんだと思います。

【Himemama Premium School】

自分の価値を必要以上に低く見積もってしまう女性が多いことに気づいて

マイクロラーニングサービスは月額300円ということですが、このような値段設定の理由は?

受講するママのハードルが低い方が良いだろうと思い、月額300円という価格設定にしました。
講師になってくれている先生には、きちんと謝礼もお渡ししています。
先月から、オンライン講座を1万円で購入するというキャンペーンも行うようにもなりました。これにも理由があって、これまで自分のスキルを使って、自宅レッスンなどを行っていたママさんたちが、コロナを機にレッスンできなくなってしまった…という背景があるからです。そんな方々に、これまで行っていたレッスン内容を録画してもらって、その動画を買い取るという仕組みをつくったんです。

これは、私がたくさんのママさんたちと会ってきて感じたことなのですが、女性って決められた金額でやりくりするのが上手である反面、自分の価値を決める・高めるのが苦手な方が多いんです。例えば、今までは準備代とかを含めて2500円くらいで開催していたレッスンも、オンラインだから500円に……というように、変化に応じて自分を低く見積もってしまう方が多いんです。

私たちのように受講してくれる人数が多い母体があると、たとえ月額300円のレッスンでもビジネスとしてきちんと成り立ちます。
提供する講座に、「1万円の価値があるよ」ということを改めて認識していただきたいなと。ブランディングを含めてお手伝いしていきたいという思いです。

【Himemama Premium School の仕組み】

ロールモデルを発信することが選択肢を増やす

確かに、やりくりは上手でも自分のスキルに値段をつけることが苦手な女性は多いように感じます。他にも女性に共通して多い悩みはありますか?

女性の場合は、出産や子育てなどを含めて、自分の意思だけでうまくいかないなって感じることが結構多いと思うんです。どれだけ仕事をバリバリやっていた人でも、キャリアをおやすみする期間ができると、優先順位が変わり始める。
その中で、自分の意義ややりたいことについて、深く考える時期が必ずやってきます。

そんな時に、ヒメママのようなコミュニティがあるといいなと思って作ったのが成り立ちです。
興味のあるレッスンに参加することで、最初は一参加者としてきてくださった方の立ち位置がどんどん変わってくるんですよ。好きなことを仕事にしている人を間近に見ることによって、「自分もできるんじゃないか?」と考え始める。自分の意義ややりたいことを考えた時、このような手段があることを知っていると、不安の量も全く違ってきます。

私も事業を設立したばかりの頃は、「自分が頑張らないと!」という気持ちで、タスクを抱え込んでいましたが、いろんな特技が集結したコミュニティだからこそ、できないことは任せるべきなんだと実感しました。過去にフォトブックのモデルを募集したことがあるのですが、今ではその時に出会ったママが、テレビ制作会社で働いていた経験を活かして、ヒメママの運営やオンラインレッスンを手伝ってくれています。私よりもずっと知識がある協力者が身近にいたんだなと感じたし、そんな人に還元できる仕組みを作ることが必要だと、このような仕組みに落ち着きました。

コミュニティを通じて、セカンドキャリアを組めるのはすごく良いですね。女性が育児のみにとらわれず、自分なりの道を開くためには、どんな手助けがあると良いと思いますか?

ロールモデルを発信するということだと思っています。ちょっと頑張れば「この人のようになれるんじゃないかな?」という身近な目標があることで、始めるきっかけが生まれます。

毎日のようにメディアに取り合げられるようになった人もいれば、レッスンでようやく食べられるようになってきた人もいる。学んだことを一生懸命次に生かそうと頑張っている人もいるし、日々の充実としてレッスンを取り入れている人もいます。
幅広いロールモデルをコミュニティ内で見せることによって、意義ややりたいことについて考えはじめた女性の手助けになると思っています。

今度も手伝ってくれた人にはそれを還元するというビジネスモデルで、ママたちの今後をサポートしていきたいと思っています。

この記事のライター

Cinq(サンク)-よくばり女子のはたらきかた-

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