転職活動をする時には必ずチェックをするのが労働条件。
どの企業も人材不足が進み、ハローワークや求人サイトには溢れかえるほどの求人が常に掲載されています。有効求人倍率が年々上昇し続け、売り手市場になっているせいか、募集していたときの条件と、入社後の条件が異なるといった、求人トラブルも多発しています。
このトラブルを無くすべく、一定の対策が取られることとなり行われたのが『職業安定法』の改正です。
人事担当者だけではなく、転職活動を考えている人も変更内容を理解をしておくと求人トラブルを回避することができます。しっかりとチェックしておきましょう。
2018年1月から改正された職業安定法のポイント
改正前にあった、最低限明示しなければならない労働条件はこちらでした。
・業務内容
・契約期間
・就業場所
・就業時間
・休憩時間
・休日
・加入保険
今回、上記以外に5項目が追加されました。
試用期間
今までは、労働条件が本採用と異なる場合にのみ、その期間と労働条件を明記すればよかったのですが、改正後はルールが厳しくなりました。試用期間を明記する場合、「3ヶ月程度」といった表現は、今後は法律違反となります。
裁量労働制
裁量労働制とは、みなし労働時間制のひとつとして位置づけられているもの。この制度が適用されている場合は、労働者は実際の労働時間とは関係なく、あらかじめ定めた時間を働いたものとみなされます。
労働時間に応じた残業代は支払われないので、長時間労働させても給与は一定となります。改正後は、求人原稿に「裁量労働制により、○時間働いたものとみなされます」と表記しなければなりません。みなし残業ではなく、働いた時間分だけきちんと支払いがほしい、という求職者の方はこちらの表記をチェックしておきましょう。
固定残業代
時間外労働や休日出勤を含んだものとして給与が支給される固定残業は、「基本給に固定残業代が含まれていることが明示されていない」といった場合もあり、トラブルとなることもありました。
改正後は、固定残業代を除く基本給の記載・○時間分の時間外手当としていくら支給されるのか・〇時間を超えた場合はいくら支給されるのかの記載が求められるようになりました。
募集者の氏名・名称
コンビニなどのフランチャイズ店舗での募集の場合、雇用主は店舗のオーナーに当たりますが、今まではフランチャイズ本部での募集のように見えることがありました。今後は、誰と労働契約を結ぶのかを記載しなければなりません。
派遣労働者として雇用する場合
派遣先へ出向する場合は、きちんとその旨を記載をしなければなりません。指示を受けるのが、自分が雇用されている会社なのか、派遣先なのかでは業務にも大きく変化があります。応募時に把握ができるようになるので「面接に行ったら、派遣の登録先だった」ということがなくなります。
求人原稿では全て明記してあるとは限らない
求人原稿は各項目に文字数制限があるため、先ほど述べたものが全て記載されていないこともあります。この場合は違反ではありません。「やむを得ない場合は可能」となっているのでご注意を。
しかし、職業安定法では初回の面接など、求職者と最初に接触する時点までに、すべての労働条件を明示すべきと、されています。企業があやふやにし、最終面接まで進んでから、今までに明かされなかったことを伝えられて「この会社、やっぱり違うかも…」となってしまえば、かなりの時間をロスすることになります。不明な点があれば、初回の面接時にきちんときいておきましょう。
条件が変更される場合にご注意を!
求人原稿に記載されていた条件そのままで、契約を締結しない場合があります。その場合はもちろん、締結前に開示しなければなりませんが、どこがどのように変更したかは、求職者側にわかりやすく説明しなければなりません。
転職を考える際には、企業だけではなく自分でも当初の求人をプリントアウトするなどして保管をしておくと良いでしょう。
条件が合う会社を選ぶためにも、改正された内容は理解しとこう
効率的な転職活動をするためにも、片っ端から応募するのではなく、自分と合っている会社のみを選んでいきたいところ。人間関係など、会社の内側の部分は直接足を運ばないとわからない点もありますが、労働条件は応募する前からわかることです。
求人サイトの情報とホームページの求人情報と比較をしてみるなど、情報収集は時間を割いてでもやるべきです。もし、開示すべき内容がどちらも書かれていない場合は注意をしておきましょう。