モデル、タレント活動をしながら、ビジネスアイディアオーディションにおいてグランプリを受賞したことをきっかけに、胸が大きい女性のためのランジェリーブランド「ivyy(アイヴィー )」を立ち上げた原田奈津美さん。ブランドを守り続ける経営者として、そして商品を作る上で欠かせないプロデューサーとして、意識している5つのルールについてお伺いしました。
午前中は仕事しない
結婚したことにより働き方が大きく変わった原田奈津美さん。
これまでは事業を拡大させることや、利益を上げて会社を大きくすることなど、事業戦略を明確にし仕事中心の生活を送っていたのだそう。けれど、結婚後は“仕事と家庭の両立をどうこなすか”という考えにシフト。そして、午前中は仕事しないというスタイルが確立されたのだそう。
「午前中から仕事をするよりも、頭が活発になっている午後から仕事を始めた方がパフォーマンスを発揮できると気づきました。単純に朝が苦手だということもありますが、午前中は家事や犬の世話、自分のプライベートのことを済ませる時間としてスケジュールを組んだ方が効率が良いんです。なので、午前中はメールの返信もせず、ランチを済ませた後に仕事を開始するようにしています。家のことをする時間と仕事の時間を区別することによって、両方をこなせるようになりました。
料理をしている時が私にとってのストレスの解消です。仕事のストレスが家事によって解消されるので、時間で役割を変えた働き方がベストだなって思います」
業界に染まらない
「他の人がやっていることと、同じことはしたくないんです。目に入るものとか耳から入るものって、もちろん良い情報もあるんですけど、過信しすぎてしまうと自分のやりたいことや軸になっている部分からズレていっちゃう。下着業界は特に、若い世代の人たちが続けていくのが難しい業界です。横のつながりがどれだけ強くても、そこに染まりすぎてしまうと自分の良さがブランドに反映できなくなっていってしまう。
だから、他のブランドではこんな商品を作っている、というような市場調査もあまりしません。人のつながりはもちろん大切ですけど、情報を入れすぎるとそれに引きずられてしまうんです」
奈津美さんがランジェリーブランドを立ち上げたきっかけは、“自分自身が下着選びに悩まされていた”から。日本の下着ブランドは、Fカップ以上の在庫が極端に少なかったり、規定サイズで作られたデザインを引き伸ばしただけで可愛くない見た目になってしまったり、同じデザインでもコストが高くなってしまったりと、大きめのバストを持った女性に対して何かと優しくないと感じることが多かったと言います。
だからといって海外ブランドのものを選ぼうとしても、デザインは豊富なのに日本人との骨格が違うのでワイヤーが合わない……。そんな自身の悩みから立ち上げを決めたブランドだからこそ、今業界にある「当たり前」のやり方を真似ずに、等身大の自分でいることを意識しているのだそう。
常に身の丈で仕事をする
「ブランド立ち上げ当初は、共同で制作してくれるはずだった会社が急に音信不通になったり、工場の管理がずさんだったりと、様々な問題に直面しました。けど、自分が代表なんだから…と一人でずっと抱え込んでいたんです」
代表という重圧から、何度も心が折れそうになったという奈津美さん。ですが、ずっと続けているうちに、自分ひとりで頑張りすぎているからこそ潰されてしまう、わからないことをわからないと堂々と発することが自分を守ることに繋がるのだと気づいたのだとか。それが「身の丈で仕事をする」というルール。
「大人ぶらないというか、わからないものをわかったフリせず素直にプロに任せる。自分ができることを見つけて、それを強みにするというやり方に変えました。自分で理解できることは自分で判断しますが、迷っているときや、誰かに聞いて欲しいと思ったときは、旦那や経営者の友人に相談しています。今までは全部自分で考えて、実際はどうなんだろう……と確信がないまま進めていることも多かったのですが、今は身の丈で仕事をするのがテーマになっています」
こだわりはこだわり通す
「ブランドの立ち上げ当初から続けていることは、手作りのブランドタグです。私の手作業で商品を作っているわけではないので、思いを乗せるものが欲しくてブランドタグを手作りにしようって決めました。これだけは商品数に限らず、これからもずっと続けたいと思っています。
こうして続けていると、小さいサイズの商品も作って欲しいとお声いただくことも増えてきたのですが、私は胸が大きい人の気持ちしかわからないので、それは作れませんと素直に伝えています。私じゃないと作れないものって、私と同じ境遇の方にだけ共感してもらえるものだからだと思うんです。なので、それは今後もブレたくないなと思っています」
体調管理・メンタルケアを含めた美容法
一人で会社を背負って過ごしている時は、実務だけでなく人付き合いなども全部自分で頑張らなくちゃ! とずっと肩に力が入っていたという原田奈津美さん。モデル・タレント活動との二足の草鞋をこなしていくことでの忙しさからメンタルが不安定で体調を崩すこともしばしば。そのため、マイルールの一つに健康管理とメンタルケアが加わったと言います。
「体調を崩したとしても、病院で注射を打って元気になるというような単発的なケアをするのではなくて、漢方や東洋医学の力を借りて、根本の原因を治療する方法に価値があると思っています。なので、マッサージではなく骨盤矯正や針治療を定期的に通うようになりました。
メンタルケアにおいては、午前中に友達と一緒に自宅で朝ヨガをすることです。週1回、ヨガインストラクターの友達も呼んで3人でヨガをするのにハマっています。体も心も穏やかになることで、午後の仕事に前向きに取り組めるようになります。これまでは、休むといったらとりあえず寝る。体を動かすことは後回しにしていたのですが、今は日頃のメンテナンスは欠かせません」
コンプレックスや悩み、不遇な出来事は世の中にたくさんあります。けれど、心と体、どちらもの健康を自分で整えてあげること。それが、仕事のパフォーマンスを保つためにはとても大切。自分に視点を置いたルールを作ることが、働く女性には欠かせないのです。