【連載】ココシャネルに学ぶ「時代をつくる女の生き方」♯2

【連載】ココシャネルに学ぶ「時代をつくる女の生き方」♯2

ココシャネルの人生を通して、時代を生きる女性に必要なシャネルのエスプリをご紹介。今回は、シャネルが隠したがっていた過去の幼少期について


20世紀を代表するファッションデザイナー、ガブリエル・ココ・シャネル。彼女がCHANELというブランドを作るまで、どのように生き、どのように大成していったのかを数々の文献、資料を読破したライター・角が考察。これから新しい時代を生きる女性にとって必要となるヒントを、シャネルの史実を通してご紹介していきます。第2回目は、シャネルの幼少期を通して、作られた“豊かな想像力”と“不屈の精神力”についてご紹介します。

シャネルの“想像力”のルーツ

シャネルの幼少期は、決して幸せと言える環境ではありませんでした。父、アルベールは、放浪癖、女好き、酒好きとどうしようもない男。必然的にシャネル家は貧乏暮らしを強いられ、仕事が変わるたびに家も変わって、時にはお金がなく母の親戚の実家に居候するなど肩身の狭い思いをしていました。

それでも家族の絆が強ければ、救いようもあったのかもしれませんが、根っからの放浪癖のある父は基本的に家を帰らないので、母、ジャンヌはみるみる衰弱していくばかり。そんな両親を見て、シャネルは幼心に「人間は裏切る生き物だ」ということを悟ります。多くの子供は愛され、たくさんの夢を見ることが許されるはずなのに、ガブリエルの生きる世界では、誰もガブリエルに夢を見させてはくれませんでした。母親でさえ今日を生きるのに精一杯で、夫の放浪癖を止めるのに必死だったのですから。

そんな中でガブリエルの唯一の遊びは、自分を裏切らないぬいぐるみを友達にして、誰もいない墓地で一人空想にふけることでした。空想の世界だけが、シャネルに優しい世界を見せてくれたのでしょう。きっと当時のシャネルからすれば空想することは、現実を逃げるための唯一のストレス発散法にしか過ぎなかったのかもしれませんが、イマジネーションの世界に身を置いて想像力を膨らまさせることでクリエイターとしての資質が自然と育っていたのではないでしょうか。

彼女は究極的なリアリストであったと同時にロマンチストでもあった。だからこそ彼女の作る服は、当時の人にとって日常で着るふさわしい利便性のある服でありながら、袖を通すととてもエレガンスでファッショナブル、夢見心地な気分にさせたものだった。それはまさに彼女のルーツそのものを表すような服だったのでしょう。

身を守るために培われた、不屈の精神

もう一つ、シャネルを語る上で外せない彼女の性質といえば、恐ろしいほどの負けず嫌いであることではないでしょうか。シャネルの名言や自伝を読んだ方はなんとなくイメージがつくかもしれませんが、シャネルは自他共に認める気の強い女性です。それは、物心つく前の幼少期からすでに持ち合わせていたよう。

当時、シャネル家は親戚はもちろん、近隣のご近所にも知れ渡るほど“恥ずかしい家族”として見られていました。夫は家に帰らず、妻が衰弱しながら働いている、家を転々とする様をみて「まるで移動サーカス団みたいね」などと、陰口を叩かれることもしばしば。そして、その野次はシャネル家の子供たちにまで浴びせられるように…。

ガブリエルは周りの大人たちから「でき損ない」「将来は身売りするんじゃないの?」「可愛くない子」と言われるたびに、悔しい気持ちでいっぱいになりました。しかし、多くの子供は、大人にこんなことを言われると悲しくなって傷ついたり、泣いたりするところなのですが、シャネルはさらに反抗的な態度を示したのです。泣いても変わらない、境遇が悪いのは私のせいではない。そんな思いもあったのでしょうか。社会に対する物の見方に対して、えも言われぬ怒りを覚えていたのかもしれません。怒り、強さを示すことは幼いガブリエルにとって自分を守るたった一つの方法でしたが、この態度がさらに大人たちから疎まれる存在になっていきました。

これは私個人の推測でしかありませんが、ガブリエルの母親、ジャンヌは対照的に、泣きながら夫の帰りを待つような女性。なすがままの運命に翻弄される母親の姿を見て、ガブリエル自身は「私は、自分の力で生き抜く」という強い意志が生まれたのではないでしょうか。大人になったガブリエルはその強い反骨精神で、20世紀をたくましく生き抜いていくことになります。

逆境を不屈の精神で乗りこなす

シャネルが後世にまで名を残すブランドを作り上げられたのは、紛れもなく幼少期に培った不屈の精神が影響していることは明白ではないでしょうか。もちろん、誰もがそんな風に強い生き方をすることはできません。しかし、ほんの数パーセントでもシャネルのような逆境に立ち向かう強さがあれば…きっとどんな試練も自分らしく乗り越えることができるのではないでしょうか。

新しい時代、新しい社会を担っていこうとする人は必ずしも大きな批判を突きつけられることがあります。そんな批判、試練に直面した時は、どうかシャネルのように、周りの意見に流されず自分が正しいと思うことを通していく強さを身につけていきましょう。

※参考文献
株式会社ディスカヴァー・トゥエンティーワン 出版
LISA CHANEY 著 / 中野香織 監訳
「シャネル、革命の秘密」2,400円(税別)






この記事のライター

Stylist&Writer/Illustrator/anan 総研メンバー
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