「コンディショニング」を整えるために大切なのは、自分の身体と向き合うこと
みなさんは「コンディショニング」という言葉を知っていますか? トレーニングの世界を中心に注目されているこの言葉には、以下のような意味があります。
コンディショニング(Conditioning)とは、スポーツパフォーマンスを最大限に高めるために、筋力やパワーを向上させつつ、柔軟性、全身持久力など競技パフォーマンスに関連するすべての要素をトレーニングし、身体的な準備を整えることです。また、一般の人々にとっては、快適な日常生活を送るために、筋力や柔軟性、全身持久力をはじめとする種々の体力要素を総合的に調整することです。http://www.nsca-japan.or.jp/01_intro/sandc.html
つまり、コンディショニングとは日常的なトレーニングをより良い状態で継続し、大切なときこそ高いパフォーマンスを発揮できるように身体の調子を整えること。これはトレーニングにはもちろんですが、仕事を行っている社会人にも必要なことだともいえますよね。
コンディショニングを整えるために大切なことは自分の身体と向き合うことだともいえます。今回は自分の身体と向き合うために、基本的な呼吸法について学びたいと思います。
トレーニングの基礎は「体幹」、そのためにカギとなるのが「呼吸」
トレーニングの世界には、高いパフォーマンスを発揮するために必要なものは「体幹」だと言われています。そして、体幹を鍛えるためにカギとなるのは「呼吸」だとも。女性から人気の高いヨガやピラティスといったスポーツでも、呼吸はとても大切にされていますよね。
現代の日本人の呼吸はとても浅く、本来の呼吸ができていないと言われているのは知っているでしょうか。本来であれば、深い呼吸をすることで、横隔膜と連動するインナーマッスルが活性化して、体幹部を安定させた状態での動きがとれているのがベスト。ですが、現代の日本人は、横隔膜が効果的に使えていないことで、助骨が開いた状態でキープされ、体幹部が不安定になっている方が多いのだといいます。これが様々な不調やケガの原因になることもあるというのだいうから、体幹と呼吸については深く知っておきたいですよね。心と身体を整え、高いパフォーマンスを発揮するためにも、効果的な呼吸法を知っておきましょう。
正しい呼吸について
呼吸には「肺呼吸」と「鼻呼吸」があります。
肺呼吸を行うことで、横隔膜と骨盤底筋群やインナーマッスルが引き締められ、体幹を安定させることができます。また肺活量を増やすといった効果もあります。そして、もうひとつの鼻呼吸では、空気の不純物を取り入れない、呼吸器の負担を減らすことができるといった効果があるのだとか。
肺呼吸の練習方法
ヨガの世界使われる「肺呼吸」をの練習法は、まず腹式呼吸で横隔膜とお腹の動きが連動する感覚をつかむことからはじまります。まずは意識して体の中にある息を深く吐き、助骨が動くのを実感しましょう。そのあとは、息を吸って、お腹の下腹部にある丹田(たんでん)を中心に呼吸が入るのを意識します。お腹がぱんぱんになるまで、息を吸っていきましょう。
この動きを繰り返し慣れてきたら、次は腹部が動かないようにきゅっと締め、横隔膜を広げたままに肺に呼吸を入れていきます。助骨や肩甲骨、鎖骨、胸骨などの関節や、その周辺の筋肉が収縮することで、深い呼吸ができるようになります。骨盤底筋群と、横隔膜を意識して動かすことです。
鼻呼吸の練習法
あおむけの状態からスタートしましょう。身体がリラックスしている状態で鼻から息を吸って、吐いてを繰り返します。徐々に、吐く息が吸う息の倍以上の長さになるように意識して息を吐いていきましょう。寝息のように、音を喉の近くで出してあげることで、より効果的に鼻呼吸ができるようになります。
呼吸の回数を下げると、心が安定して集中力も高まる
人の1日の呼吸数は約2万回だといわれています。
つまり、1分間に約13回の回数を私たちは、呼吸しているのです。ですが感情は呼吸と連動するため、焦りや疲れを感じたときほど、呼吸は浅くなり、その分呼吸する回数も増えていきます。
肺にたっぷりと息を入れ、効果的に使うことができるようになれば、1分間に6~8回ほどの回数で呼吸ができるようになります。また、呼吸を回数を下げることで心は安定し、心が安定することで集中力も高まります。トレーニングをはじめ、仕事で発揮するパフォーマンスを上げるためにも、呼吸はとっても大切なものなのです。また、さらに呼吸を深める「瞑想」の状態に入ると、1分間に3回ほどの回数まで呼吸を減らすことができるようになります。瞑想が身体によいといわれるのも、こういったところに理由があるのかもしれません。
身体と心に良い状態を保ち、状況に合わせて集中力を合わせるコンディショニング。まずは自分の身体と向き合い、日ごろフル活動している呼吸器をケアをすることからはじめていきましょう。疲れを感じたときほど、長い呼吸を心がけてみて。