【連載】ココシャネルに学ぶ「時代をつくる女の生き方」♯10



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♯「秘めたる魅力」をビジネスに

ココシャネルというブランドは今でこそ確固たる地位を確立していますが、もちろんブランドを立ち上げた当初は今ほどの賞賛を浴びたブランドではありませんでした。

上流社会の貴族、流行の発信源となる高級娼婦たちがこぞってシャネルブランドの顧客になっていったいっぽうで世間の声は「シンプルすぎる」「価格が高すぎる」というネガティブな声も決して少なくなかったのだとか。それに対してシャネルはもちろん、あの気丈な性格ですから顧客の要望に迎合することはしたくないと思っていました。でも顧客の声を無視することはできない。長らくそうした理想と現実のギャップに悩まされることもあったようですね。

また、シャネルは恋人・アーサーのパートナーとしての華々しいステイタスや、帽子のデザインが革新的であることでファッション誌に取り上げられるなどでシャネル本人が注目の的に。本人に会うためにお店へ出向く人もいましたが、シャネルはそうした好奇な目に晒されることを、ことごとく嫌いました。サロンやパーティにおいても参加はするものの、長時間その場にいることはせず、そっと消え入るようにいなくなる。ビジネスでもプライベートでも、その全てをさらけ出さない姿勢がなんともミステリアスに感じ、より一層のファンを増やすことになっていくきっかけを作ったことに間違いはなさそうです。

♯経営発展のヒントを学ぶ

帽子店を2店舗展開したのちに、シャネルはアーサーの支援でいよいよ服飾ブランドを出店します。実はファッション史においてはシャネルよりも先に前衛的なファッションを打ち出したポール・ポワレというデザイナーがいました。ポワレはコルセットが当たり前だった時代に初めてコルセットではないファッションスタイルをコレクションとして発表し、当時の世間に度肝を抜くような衝撃を与えました。以降、オリエント文化からインスパイアされたハーレム・パンツやターバン、着物コートといった異文化的なデザインを発表するだけでなく、ライフスタイル提案型のマーケッターとしてもその才能を発揮しています。

「装飾華美なデザイン」と「伝統になぞらえた前衛的なファッション」のポール・ポワレに対し、シャネルは全く反対の「実用的で革新的」、かつ「シンプルな美しさ」を美徳としていたため、ポワレの服については好意的ではなかったようですが、彼の経営発展は参考にしていたのではないでしょうか。

シャネルといえば、もう一つ欠かせないのは「香水」ですよね。実はファッションデザイナーが香水ブランドを立ち上げた最初の人が他でもないポール・ポワレです。仕立て屋は仕立て屋だけの仕事という概念を取っ払ったマルチクリエイターとしての働き方を確立し、多方面で自分の名前を残していくことで人々の記憶に残るデザイナーになったのです。シャネルはポワレのそうした、前例にないデザイナーの在り方を参考にし、彼女ならではのビジネス戦略を構築するヒントを得ていたのではないでしょうか。

♯人の記憶と感情に残ること

シャネルが世界的有名なブランドへと発展した理由はもちろん、これだけではありません。デザイナーとしての発想力や、それを実現させる技術力、恋人やスタッフのサポート、この他、さまざまな事象が重なったりとその細かな部分までを明確にすることはできません。しかし、大きな礎となったのはおそらく、シャネルも、シャネルの作る製品も、それだけ人々の記憶と感情に残るものであったということ。ぜひあなたも自信を持ってご自身の存在感をアプローチしてみてはいかがでしょうか?