前はもっとアクティブだったのに……!
「最近なんか外に出るのも面倒臭いんだよね」
繁華街にあるとある居酒屋でワイン片手に友人が呟いた。彼女は見た目もとても美しくて、社交性もあって、常に人に囲まれているような明るいタイプの人間だ。けれど、30歳を目前にした彼女にはどうやら変化があったらしい。
空き時間があれば、何かと外に出て新しい出会いを作り、一人になれば美容室やネイルサロンと自分磨きにも積極的に時間を費やしていた彼女が、最近は何をするにも面倒くさいと感じるようになってしまったというのだ。珍しく、伸びた爪にはネイルが施されていない。
すっかりとアクティブさを失い、落ち着いた彼女。どうしてそうした変化が起きたのか、理由を聞いても、何か特別なものがあったわけではないという。ただただ、外に出る気が起きないようなのだ。
年齢の変化? 体力が減ったから?
「やっぱり歳なのかなぁ」
年齢の変化は確かに大きいものだ。10代の頃は、自分が太るなんて想像もしていなかったし、お酒を飲み始めてからというもの、体重は増える一方。確かに肉がつく場所も変化があったように感じる。けれど、その社交性は彼女が先天的に持っている“性格”でもあったはずだ。
早めに結婚や出産を経験した友人とはなんとなく距離が空いたし、付き合いづらくなった。ライフステージや環境によって、人付き合いが変わる傾向にあるのは理解できる。けれど、そんなもともと持ち合わせていた性格や特徴も、年齢によって変わるものなのだろうか。
行動に制限をかけているのは一体なに?
彼女の性格や行動に制限をかけている原因は一体なんなのだろう。ただただ、体力が落ちたとかそういったわかりやすい理由だけではないように感じた。
忙しすぎて、他に興味を持つ理由がなくなった?
それとも女性ホルモンのせい?
その時飲んでいたワインのせいか、
いくら考えても、結局その日答えは出なかった。
心と体は繋がっている
そんな彼女から検査入院することになったという知らせがきたのはちょうど1ヶ月後くらいだった。胃が腸か、とにかく体調が悪い日が続いていたらしい。
そこで私はハッとした。
彼女が外に出歩くのを面倒くさいと感じるようになった理由が、もしかしたら「軽うつ」に近いものだったのではないかと。特に大きな変化はなかった、ストレスをめちゃくちゃ抱えているわけでもないと口にしていた彼女だったが、それは彼女が自分自身に対して言い聞かせていたのではないかと。もちろん、それが自覚あってのものか、無自覚に言っていたのかはわからないけど。
「今の自分はなんか好きじゃない」そう感じた時に見直したいこと
人と会うのが好きだった彼女は性格が変わったのではなく、他の何かに抑圧されていたんじゃないか。
現に、彼女は検査入院で数日間休養をとったら、また忙しなく出歩くようになった。なくなっていたというフットワークの軽さは、健在のものである。
基本的に明るい性格の持ち主からやる気を奪ったのは物理的、また精神的な負担だったのだと今だからこそ思う。なんとなく胸に抱えた気持ちが、彼女の行動を抑制していたのだ。
自分の行動が変わっていることを実感したら、今無意識に溜め込んでいることはないか? ということを改めて振り返って考えてみて欲しい。自覚がある場合もあれば、自覚がないままに溜め込んでしまっていることもある。
私たちはつい「年齢のせい」だとか「体力が…‥」などと言い訳がうまくなってしまっているけれど、そうして言い訳をしないで自分と向き合う時間と心のゆとりを常に持っておくべきなのだ。自分自身も、そして大切な人も。大きな変化があったと感じる場合には、ぜひ肉体的・精神的な両面での負担について見直してみて欲しい。