信頼関係を作る心理学「ラポールの形成」を取り入れた会話術



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切り離せない人間関係に必要な「信頼」

仕事でもプライベートでも、切り離せないのが人間関係です。親、友達、恋人、社内の人間関係、クライアント……私たちはこれまでさまざまな人間関係を形成して生きてきました。

とはいえ、人によって価値観はさまざまに違っています。
なぜか会ってすぐに仲良くなれる人もいれば、なんとなくウマが合わないな……と感じることもあるでしょう。誰とでも仲良くなれるスキルがあって、それを学べばだれしもが習得できる……なんて簡単なものであれば良いのですが、実際、人間関係の構築はそんなに簡単なものではありません。人間関係を構築するためには「信頼感」が欠かせないのです。

今回は、医療や福祉の場、カウンセリングでも用いられる「信頼関係(ラポール)の形成」について学んでいきたいと思います。

ラポール(信頼関係)の形成

“ラポール”というワードをはじめて知った人も多いのではないでしょうか?
ラポールとは、もともと心理学で用いられていた用語で、「信頼関係」を表すものです。カウンセラーであれば「なんでも悩みを話せる」というオープンな方もいるかもしれませんが、例え職業がカウンセラーであっても、医師であっても、看護師などの専門的な職業の人であっても、自分の内情や心情を人に明かすには「信頼関係」が欠かせないはずです。

ラポールの形成とは、まずその信頼関係を築くために用いられている心理テクニックでもあります。もちろん、相談者だけがそれに当てはまるのではなく、カウンセラーから相談者へも、同様に信頼が必要です。お互いに心から打ち解けあえる関係、これこそをラポールの形成と呼んでいます。

「ラポールの形成」がしっかりと構築できていると、説得力が増す

同じ話を仲の良い友人から聞いた場合と、はじめて会った人から聞いた場合。どちらの人から聞いた話の方が信憑性が高いと感じますか?

例えば、コスメをオススメされたとしましょう。
信頼関係が築けていない場合は「ただのセールスか」程度にしか感じません。けれど、仲の良い友人から聞いた話だと「本当に良いのかな?」と興味を持つかもしれませんよね。これこそ、信頼関係があることが理由です。信頼があることは説得力が増すのです。趣味に関してももちろんそうですが、信頼関係を築くことは仕事でも欠かせないことなのです。特に営業職などの、他社の方と会う機会が多い人ほど、身につけておいて損はないのです。

では実際に、カウンセリングなどで使われている、信頼関係(ラポール)の形成に用いられている会話テクニックをみていきましょう。

オーム返し

バックトラッキングとも言われています。
これは相手の言葉を「理解している」ことを表すのに有効です。相手が何かを話しているときに、反論をしたり、遮ったりしていませんか?
人は自分のことを否定せず、理解してくれようとする姿勢がある人に安心感を覚えます。言葉を汲んで返すことによって、理解している・肯定されているように感じる効果があるのです。

「こんなことがあって辛かった」
「そっか、こんなことがあったなら辛いよね」

というように相手の話を確認するように会話を進めていきましょう。

ペーシング

ペーシングとは、相手との会話のペースやテンポを合わせることです。
相手の話し方や呼吸、声の大きさ、音程などを合わせて会話をすることで、相手にとって心地良い会話ができるようになります。電話など、顔が見えないコミュニケーションでは特に、ペーシングが欠かせません。

人は、自分と共通している点がある人に対して心がオープンになり、親しみやすくなるという「類似性の法則」というものを持っています。仲の良い人が隣であくびをしていると、自分にうつったという経験がある方も多いのではないでしょうか。こういった現象も、類似性の法則のひとつ。信頼関係を築いている人とは似た動作が多くなるということがあるのです。

ミラーリング

先ほどのペーシングと同様に、類似性の法則を取り入れたミラーリングも効果的です。ミラーリングとは、相手の動作を鏡のように真似することにより親近感を持たせる効果があるといわれています。

相手が背筋を伸ばしたら、自分も伸ばす。相手が悲しい顔をしていたら、自分の悲しい表情をする。こういった動作がミラーリングに当てはまります。

言葉遣いや行動を無理に真似しているとわざとらしく見えたり、嫌味ったらしく見えてしまうことがあるので注意が必要ですが、あくまで自然に見えるもの、偶然性の高いものであればあるほど心理的な好感は高まります。

質問

そして会話中に意識をしたいものがもうひとつ。それは「質問をする」ということです。相手のことを理解したいと思っている気持ちが、質問をすることで伝わります。

友人というときに、自分のことを話していると「気持ち良い」という感覚を感じたことがありませんか? 自分の言葉に耳を傾けて、興味を持って聞いてくれている人がいると、人は嬉しくなります。この感覚こそが会話をする上で欠かせません。相手の本音や感情を引き出す「質問力」というものも立派なテクニックになるのです。相手に興味があります、ということを会話の中で示していきましょう。

否定ではなく、「共感」することが信頼(ラポール)をつくるカギ

ここまで読んで、ラポールの形成に必要なものはなにかわかりましたか?
相手をよく見て、受け入れること。これが信頼を作る上で大切です。否定せず興味をもつこと、そして共感を集めること。福祉や医療の現場では日常的に使用されていても、日常的にここまで人との「対話」に意識を向けることはないかもしれません。
友人、恋人、仕事の仲間など……どんな人にでも使える会話のテクニックです。ぜひ参考にしてみてくださいね。