これまで、脳内物質「セロトニン」でストレスを解消する方法(1)と、ストレスを振り払うストップ法(2)を紹介してきました。今回は、イギリスのサセックス大学のDavid Lewis博士の研究から、通勤~仕事開始前にできるストレス解消法ベスト5を紹介します。
サセックス大学の調査
サセックス大学の心理学者のDavid Lewis博士は、ストレス解消に効果があると考えられる「読書」「音楽を聞くこと」「コーヒーを飲むこと」「歩くこと」「ゲームをすること」についてどの程度、ストレスを軽減させるかという実験しました。被験者にストレスを与え、ストレスレベルを調べました。その結果、効果的だったのは、1位が読書、2位は音楽を聞くこと、3位はコーヒーを飲むこと、4位が歩くこと、5位はゲームをすることだったとしています。
参考文書https://www.telegraph.co.uk/news/health/news/5070874/Reading-can-help-reduce-stress.html
読書でストレスレベルを68%減
David Lewis博士は、読書は最も効果的で、ストレスレベルを68%減少させたと述べました。被験者は、ストレスによる心拍数の亢進や筋肉の緊張について、これを和らげるために6分間静かに読むだけで良いと述べています。
本のジャンルは何でもよいのですが、あまり興味のない本だと集中できませんので効果がなくなります。読書に集中するために興味のあるジャンルであることが重要です。
ストップ法で紹介した方法でも、意識をストレス源からそらすことで、ストレスを抑えるという提案でしたが、読書によるストレス解消も注意をストレス源からそらす効果を狙ったものです。
音楽を聞くことでストレスレベルを61%減
David Lewis博士は、音楽を聞くことで、ストレスレベルを61%減少させたと述べました。
ここでは、David Lewis博士以外の実験を紹介します。
実験では、被験者にストレス与えた後に、リラクゼーション音楽を聴くグループと無音グループに分けてコルチゾール(ストレスの指標となるホルモン)の量の変化を比較検討しました。その結果、ストレスを解放した後も無音グループでは、コルチゾールはさらに 15 分後まで増加し続けました。しかし、音楽を聴取したグループでは15分後にはコルチゾールが減少したのです。
また、医学臨床の場面の調査でリラクゼーション音楽や好みの音楽を聴取した群ではコルチゾールが減少したことが報告されています。手術の前や歯科治療などの医学臨床の場面に音楽が使われています。
1杯のコーヒーでストレスレベルを54%低下
David Lewis博士は、単にコーヒーを飲むだけで、ストレスを61%も減少させたと述べました。
コーヒーというと、カフェインが含まれていて興奮するので、ストレスを促進するように感じますが、ストレスを抑える効果あるというのです。コーヒーと言えば、その香りとカフェインが特徴的ですが、その両方にリラックス効果があるというのです。
まず、コーヒーの香りについてですが、杏林大学の古賀良彦教授の研究によれば、コーヒーの香りにはリラックス効果があることがわかりました。コーヒー、レモン、蒸留水を使って被験者が匂いを嗅いだ時の脳波について調べたところ、コーヒーの匂いを嗅いだ時にリラックスした時と同じα波が現れるとのことです。
参考文書http://coffee.ajca.or.jp/webmagazine/health/health_qanda/q-12
コーヒーより日本茶の方がストレス軽減効果は高いという研究もありますので、仕事前には日本茶を飲むのが良いでしょう。
歩くことでストレスレベルを42%低下
David Lewis博士の実験では、歩くことでストレスを42%低下したと述べています。「朝散歩」については、「ストレスの根本的解消に!脳内物質セロトニンを増やす方法」で述べたとおりですが、ストレスを抑えるホルモンのセロトニンを分泌させるためには、歩くことを継続すればするほど効果が期待できます。
ゲームをすることでストレスレベルを21%低下
ゲームに集中するので、ストレスから注意をそらすことができ、ストレスレベルを下げると考えられますが、読書から比べるとストレス軽減率が低くなっています。
その理由は、ゲームの種類によると思います。例えば、対戦ゲームですと、ドキドキしてきますので、コルチゾールが分泌されると考えられます。
移動中にストレスは軽減できる
以上のように、David Lewis博士が述べているストレス解消法は、通勤~仕事前にできることばかりでした。仕事のことを考えているより、意識をそらすことがストレス対策となるとのことでした。通勤の時にできることばかりですので、ぜひ試してみてください。