「条件」だけじゃいけない。転職活動の軸になる「希望条件の整理」の仕方

「条件」だけじゃいけない。転職活動の軸になる「希望条件の整理」の仕方

転職を決めた時、みなさん様々な「条件」で次に働くであろう企業を査定していると思います。けれど、転職活動は非常にシビアなもの。条件を掲げているだけではなかなか採用へ繋がりません。今回はキャリアアドバイザーが、転職活動の「軸」を決めるために必要な「価値」についてのお話をします。


転職の際に必要になる「職務経歴書」ができたあとは……

Cinq読者の皆様、こんにちは。
人材紹介業界16年目のキャリアアドバイザーAと申します。

今回は、転職活動の軸となる「希望条件の整理の仕方」についてお伝えしていこうと思います。
※このコラムをお読みいただいている皆様は、転職活動に必要な「職務経歴書」をご自身で一度は作成していらっしゃるかと思います。(何回かその重要性をお伝えしたので)

今回、「職務経歴書」を一旦仕上げてみた前提でお話を進めます。

「会社への希望・条件」だらけでの転職活動は危険

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大手の人材紹介会社で何社も求人票を貰い応募を繰り返してみたものの、なかなか採用に結び付いていないと悩んで相談に来られた、中堅の証券会社に営業職お勤めKさん。
私に告げた転職先の条件は、下記のようなものでした。

「営業職を5年経験してみて、サービスを作る側にまわりたいと思うようになりました。未経験で採用してくれるところを希望します」
「ある程度名の通った伝統のある企業が良いです。安定していると思うからです。東証一部上場企業限定でお願いします」
「女性が働きやすい職場が良いです」
「革新的なサービスを考えているところが良いです。これから伸びると思うから。」
「年収は下げたくないです。今500万円もらっているので、最低現状維持でお願いします」
「通勤時間は長くても良いです。転居も視野に入れます」

こう希望するKさんに、私は言いました。
「伝統ある東証一部上場企業で革新的サービスを展開しようとしている企業が、未経験のKさんを年収500万円で採用するメリットってなんですか?」

転職先の条件を考える時、私たちはつい希望条件をたくさん考えてしまいます。転職活動するリスクをとるのだから、「今より良い会社に転職しなくては」と。

「今より良い会社」って、何でしょう。
その「今より良い会社」があなたを採用することによって、企業にどんなメリットを提供できるのでしょうか?

この2つの視点をしっかり持って転職の「軸」を作らないと、様々なストレスのかかる転職活動時にどんどん条件がブレていく可能性があります。

Kさんの例の場合、条件は

【1】未経験で採用してくれる会社
【2】ネームバリューがある、東証一部上場企業
【3】安定性のある会社
【4】革新的サービスを提供する会社
【5】女性が働きやすい会社
【6】高年収な会社

のようです。通勤時間は妥協できるようでした。

一方、Kさんが企業に提供できる価値は何でしょうか?

営業職から未経験の職種に、20代後半でのキャリアチェンジを希望していますので、営業職として磨いたコミュニケーション力や調整力は、様々なシーンで活かせられるでしょう。
転居も考えられるということで、ガッツもありそうです。
金融業界で5年働いてきた、業界知識も生かせるかもしれません。

でも、採用企業サイドからみたらそれ以外はまったくの「未知数」です。

また、「サービスをつくる側にまわりたい」というと一瞬耳障りは良いですが、あまりにも具体性に欠けていて、どんなサービスを作りたいのか、誰がそのサービスを享受し、メリットを得るのかが曖昧です。
意地悪な見方をすれば、「キレイな転職理由にしようとしているけれど、金融業界の営業職の厳しいノルマから離れたいだけなのでは?」と思う人も出て来るでしょう。

金融業界は比較的給与水準の高い業界。
それ以外の業界への転職では、一時的に給与ダウンになることも多いと考えるべきです。

「極端な話、未経験なら新卒で300万円スタートで採用できます。差額200万円分のギャップをどうやって埋めていきますか? その会社にどんな価値提供ができますか?」
こう質問をすると、Kさんは考え込んでしまいました。

Kさんのお話、読者の皆様はどうお感じになったでしょうか。
これに近い状態で転職活動をスタートされる方はとても多いです。

多くの条件を望むなら、自分が提供できる「価値」を明確に

もちろん、多くの条件を企業に求めることは決して悪いことではないと思います。
ですが、多くの条件を望むなら、その条件に釣り合う自分が提供できる「価値」と「強み」を明確に提示しなくてはなりません。

それは、何故か。

転職活動は、【商取引の場】だからです。
「求める条件と、自分が提供できる価値の釣り合いがとれること」によって、はじめて商取引は成立します。

この視点を持たずに転職活動をしている方がとても多いと感じます。
逆に言えば、この視点をもって転職活動している方は、ライバルから一歩リードを奪うことができるということです。

採用企業が「採用したい!」と身を乗り出してくるようなこと
「●●が出来る」
「●●の実績がある」
「●●のために努力している」
「●●の経験がある」ということが、あなたの職務経歴書にどれだけ具体的に記載できているでしょうか?

売りになるスキル=手持ちの武器がきちんと整理されていて、そのスキルの価値が明確になっていれば、その価値と同等の対価=「今より良い条件の会社」と交渉の場に着くことができるはずです。

そうなっていない(書類選考で不採用になっている)ということは、売りになるスキルが整理されていないか、整理されていてもきちんとアピールができていないか、単純にスキル不足=採用企業にあなたを採用するメリットが感じられていない ということです。

書類選考での不採用が続いている方は、今一度職務経歴書と向き合ってみてください。
そして、もう一度希望条件を整理してみてください。
求める条件と、自分が提供できる価値とが釣り合っているでしょうか?

ちなみに、Kさんは希望条件を少し整理し、転職活動を継続中です。
「東証一部上場企業で年収の高いところは、新卒で未経験層の採用が充足するからはずします。革新的サービスを提供しようとしている、スタートアップ企業に目を向けてみます」ということでした。

それでは、またお目にかかれればと思います。


キャリアアドバイザーA

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