Q. 「休職が終わったら解雇すると言われてしまいました…」
設計会社に入社してもうすぐ1年なのですが、入社して半年で管理職になりました。これは決して私が優秀だから昇進したというわけではなく、人手が足りず枠を埋めるために急遽管理職になったという形です。仕事のスキルもマネジメントも全く身についていない状況なのに、一気に仕事量が増えました。残業もかなり多く、終電で帰るのが日常になっていますが、管理職なので残業代がつきません。さらに社長からは「お前は仕事が遅い。もっと早くやれ」や「管理職なんだから人一倍仕事をしなきゃだめだよ、これくらい普通だから」と管理職になったことを良いことにまともなアドバイスももらえず、色んな事を言われます。
そんな不満もありながら2ヵ月ほど経ちましたが、ついに体調を崩し入院、現在は休職中です。3ヵ月目に突入した所で会社から連絡があり、休職終了時点で解雇をすると連絡がきました。確かに、休職期間は3ヶ月なのでもうすぐ終了しますが、そもそも入院する原因となったのは会社側の労働環境によるものです。 この場合、解雇を引き延ばすことはできないのでしょうか?(麻紀/24歳/管理職)
A. 解雇の引き延ばしは可能。労災などを請求することも視野にいれて!
麻紀さんの場合、管理職という立場もあってか、立場が難しいのは事実でしょう。とくに設計の現場では、人手不足が叫ばれていることもあり、管理職の押し付けが横行しているケースをよく耳にします。仕事のスキルもマネジメントも、指導がされていない環境では、うまく処理ができなくてもしかたはありません。法的に残業代が請求できる可能性は高いですが、果たしていかなる根拠で残業代を出していないのかが問題です。
そして、そもそも終電帰りが続いている状況自体が不健全です。代表取締役による叱責は、パワハラが成立する余地もあるでしょう。この状況では、結論として、解雇を引き延ばすことは可能でしょう。解雇の有効性を主張し、有効な雇用契約が存続していることを主張して、未払い賃金などを請求すること、労災などを請求することも視野に入ります。
麻紀さんのケースの場合、会社に戻る戻らないの判断はべつでしなければいけないと思うのですが、法的には、解雇権濫用といって、解雇を無効とする余地があるのではないでしょうか。
回答者:弁護士 齋藤 健博
自身のLINEIDを公開しており、初回相談はLINEで無料で行うことが可能な弁護士。ハラスメント問題や浮気・不倫問題の解決に定評があり、過去には弁護士ドットコムのランキングトップに名を連ねた経験も。YouTubeではセクハラ時の対応に関する動画なども公開している。多くの被害者の悩みである「セクハラの線引き」や、「残すべき証拠」などを動画で分かりやすく伝えている。
YouTube動画URL:https://www.youtube.com/watch?v=gd8rwOXDKp0