個人事業主の確定申告は難しい?手続きの大きな流れを知っておくために



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そもそもどうして確定申告が必要なの?

会社員であろうと個人事業主であろうと、利益が出たら(所得があれば)、その利益に対して、納税の義務が発生します。
会社員が働いて給与を得る(給与所得)、株式投資の売買で儲けた(譲渡所得)、住居としていた不動産を売却して利益が出た(譲渡所得)、退職金が入った(退職所得)、など所得は10種類あって、それぞれの計算方法によって算出した税金が課せられます。個人事業主が事業で稼いだ利益には(事業所得)、税金が掛かります。

会社員と個人事業主の確定申告手続きの違いはどんなこと?

働いて得た報酬がある方は全員、確定申告が必要ですが、会社員はこの手続きを会社が代行してくれます。社内で11月末くらいから始まる年末調整は、扶養している人の確認や加入している生命保険など個別の状況を確認して税を確定させるためのものです。会社が社員ひとりひとりの手続きを進めてくれるので、確定申告の必要のない会社員がほとんどです(例外として、住宅ローンを組んだ初年度、一年にかかった医療費が高額な場合などは年末調整の範囲外なので、自分で確定申告をしましょう。税金が安くなることがあります)。
一方個人事業主は、会社が手続きを代行してくれません。各年自分で確定申告をすることで、納付すべき税額が決まります。

個人事業主の確定申告の大まかな流れは4ステップ

個人事業主の確定申告は、1月1日から12月31日までの1年の収入や経費などを取りまとめて2月16日から3月15日までの期間に、申告し、納税します。

所得金額を求める

基本的に、売上などの収益から経費など費用を引いた額です。食器を仕入れて販売して利益を得た場合は売上から仕入れ金額を差し引いた額が所得になります。

所得金額=収入金額-必要経費

課税対象となる所得金額を求める

課税される所得金額は、1の所得金額から、さまざまな所得控除を差し引いて算出します。
生命保険などに加入していれば、限度額がありますが税金の対象になる額から差し引くことができます。配偶者や扶養家族がいれば控除できますし、特定の(認められている)団体への寄付金も控除できます。

課税される所得金額=所得金額-所得控除額

所得税の金額を求める

上記の課税される所得金額に、税率をかけて計算します。税率は所得金額によって税率が変わります。累進課税が適用されていて、所得が高いと税率が高くなります。

所得税額=課税対象の所得金額×所得税の税率

納付する金額を求める

所得税額を求めたら、そこから税額控除を差し引いて、復興特別所得税を加えて納付額を算出します。

納付金額=所得税額-税額控除+復興特別所得税

税額控除とは、算出した税額から差し引くというめずらしい控除の仕方ですが、政党等寄付金特別控除や認定NPO法人等寄付金特別控除などが該当します。また、東日本大震災からの復興のために、所得税額の2.1%は復興特別所得税が加算されます。

個人事業主の確定申告の方法は2種類ある

不動産所得、あるいは事業所得を得ている人に対して、青色申告特別控除というものがあります。状況に応じて65万円もしくは10万円、所得金額から差し引いて税額を出すことができます。
個人事業主は事業所得を得ているので、青色申告の特別控除を受けることができますが、必ずしも該当するわけではありません。青色申告のほかに白色申告という申告方法があります。
特別控除が受けられるのがメリットの青色申告は、税額帳簿が簡易なものを提出するならば、特別控除が10万円、複式簿記を提出すれば、特別控除が65万円です。
白色申告は、経理帳簿が簡易なのが良い点ですが、特別控除がありません。
青色申告の方が、税金を低くすることができますが、事前に青色申告の申請が必要です。申請していなければ、いくら書類を揃えても白色申告と見なされます。税務署に開業届を出すときに、合わせて青色申告を申請しておくと良いでしょう。

確定申告に必要な書類は?何を提出するの?

確定申告に必要な書類は以下の通りです。
・青色申告:確定申告書Bと青色申告決算書
・白色申告:確定申告書Bと収支内訳書

控除を受ける場合は専用の台紙に貼って提出します。おもな控除の種類を、ざっと挙げておきます。

・医療費控除:医療費の明細書、領収書
・社会保険控除:社会保険料控除証明書(国民年金保険料、iDeCoなど)
・生命保険料控除:控除証明書(保険会社から郵送される)
・地震保険料控除:控除証明書
・寄付金控除:寄付金の受領書(寄付金控除までワンストップ特例制度に乗ったふるさと納税は確定申告の必要なし)

まとめ

いかがでしたか。個人事業主は、売上管理も経理も納税もすべて自分で行います。働き方の違いも大きいのですが、会社員とは違い、確定申告のような煩雑な処理もこなさなければなりません。
会社員の方で、将来的には「個人で起業したい」「独立したい」と考えているならば、個人事業主の確定申告の流れを知っておくのは、良いことだと思います。心の準備となりますね。

高橋禎美