フリーランスのリスクは⁈ 「フリーランスから会社員に戻った人たち」を考察



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Cinq読者の皆さま、おはようございます。キャリアアドバイザーAです。

皆様、今朝のご機嫌はいかがですか?
以前「冬になると体調不良が続きキレ気味になる」という上司に仕えたことがありました。ご自身でも自覚されていて、「この季節は、いつも調子が悪いんだよね」と仰っていましたが、体調を崩すだけでなく常にご機嫌斜め……。最初はどこに地雷があるのか戸惑いましたが、2~3年経つと慣れてくるもので、「あー、今年も“WinterBlue”の季節かぁ」と思うようになりました。
今だから白状しますが、彼が「体調不良でお休み」と聞くと(いけないことですが)ホッとしてしまう自分もいました。このコラムをお読みの方の中にも、「WinterBlue」の自覚症状のある方がいらっしゃるのではないでしょうか。
一説によると、冬は「日照時間が短くなり、脳内のセロトニンの代謝回転(ターンオーバー)速度が落ちる」ためにうつ傾向になる方が一定数いらっしゃるのだそうです。
意識的に太陽の光を浴び、食べ物に気を付ける(セロトニンのもとになる魚や肉・大豆製品等タンパク質を摂取する)ことで、症状が和らぐそうです。ぜひ参考にしてみてくださいね!

「フリーランスになる」その前に知っておきたいこと

さて、今まさに転職活動中の方も、これから転職活動をはじめようと考えている方にも有用な情報をお伝えしていこうと考え、お送りしているこのコラムですが、今回は「特定組織に所属せず、独立しフリーランスとして働く」ことについて考察していきたいと思います。

昔の人は言いました。「すまじきものは宮仕え」と。
宮中に出仕(会社に所属)すること、人に仕えるということは、自由を束縛されたりしきたりが多かったりと、何かと苦労が多いものだから、するべきではないという意味です。
面倒な転職活動なんかするよりも、自分で自由に好きなことをやって生活していきたい! もっと自分の思う働き方で、より自分らしく生きていきたい! 「フリーランスで生きていきたい」という考え。誰でも一度はお持ちになったことがあるのではないでしょうか。

人間の歴史と比べると、「会社員として働く」のは比較的新しい働き方である

「決まった時間に出社して、決まった時間まで働く」という働き方が一般化したのは、実はそう古くからのことではなく、明治維新以降の150年程度だといわれています。

「会社員として働く」という働き方は、人間の長い歴史からしてみたら、ごくごく直近だけの働き方なのです。
モノづくりで戦後復興・高度成長期を経験し、強烈な成功体験を積んできている日本は、「全員が決まったところに出社し、決まった時間に退社する」という文化から抜け出せてはいません。工場の生産ラインを支える人たちがバラバラに出社したり、各々好きなことだけをしているようでは効率が悪く、良い製品を安定的に生産することは難しいですからね。
IT化が進み、国がすすめる働き方改革によって、従来に比較すれば柔軟な働き方ができるようになってきたとはいえ、依然として「東証一部の●●社が副業を認めるようになった!」というようなことがニュースになるような現状です。今夏行われる東京オリンピック期間中、渋滞を考慮して早々に社員にリモートワークを指示する企業も出てきていますが、それもまだ一部に限られた動きです。

フリーランスになる前に注意しておきたいことは?

所属企業で一定の評価を得て、「●●社の▲▲さんだからではなく、▲▲さんとだからこそ仕事がしたい」というお褒めの言葉をうけたりする人の中には、「独立してもやっていけるんじゃないか」「フリーで働いたほうが自分らしいかも!」と、フリーランスとして活動していく選択をする方が出てきます。
「会社員生活が嫌」というような後ろ向きな理由だけでフリーランスとして独立する人より、きちんと実力があって「会社」という枠組みから飛び出していく人たちのほうが実際は多い印象です。

ですが、この時、注意しておいていただきたいことがあります。

それは、「フリーランスに転じた人のほとんどが、また会社員に戻ろうとする」ことと、「いざ会社員に戻ろうとしたときに、書類選考上かなりハードルが上がる」ということです。

「窮屈な会社員生活から、晴れてフリーランスになったのに、わざわざ会社員に戻ろうとするなんてこと、考える必要ある?」と思われる方も多いと思いますが、実際、フリーランス・自営業を経て何らかの行き詰まりを感じ、「会社員に戻りたい」と相談に来られる方は多いです。そしてそのほとんどの方が「面接にすら呼んで貰えない」という事実が厳然としてあります。

フリーランスを経験した人が「会社員」に戻ろうとする理由

なぜ、フリーランスから会社員に戻ろうとするのでしょうか。
面談でお聞きした中で、多かった理由を挙げてみます。

金銭面の不安

20代~30代前半の体力がある時期は、多少の体調不良であっても無理が効いていて問題なかったものの、加齢とともに体力が落ちてしまう。仕事を休めばアウトプット量が減り、それが即収入減に直結する。当然、有給休暇もありませんし、失業給付もありません。
そんな環境に不安を感じ、会社員に戻りたいと仰る方は多かったです。

「会社員である」ことの社会的信用の価値に気付く

男性に多くお聞きしたのが「結婚を考えているが、相手のご両親からフリーランスではなく正社員になってから。と言われてしまった」というものです。
「娘の受験のため、社員に戻りたい」というお父さんもいました。収入面の安定を図るということだけでなく、入学願書に会社名を記載したほうが、体裁が良いというものです。(直接的な合否にそれが直結するものなのか、私は経験がないのでわからないのですが…)
また、不動産購入等を考える時、キャッシュで購入可能な方は少ないでしょう。通常、金融機関への借り入れを検討しますが、フリーランスでは断られるケースが多い。結果として「やはり会社員に戻りたい」と相談に来られるというパターンもありました。

フリーランスの方が転職活動で面接に来た時の、企業の反応は?

一方、企業側がフリーランスからの転職者の採用に慎重になる傾向は顕著です。特に、いわゆる一般的に「良い会社」と認識されている企業ほど、フリーランス期間があったという理由だけで書類選考NGのところが多いです。代表的な理由を挙げてみましょう。

組織適性が低い(と考えられがち)

フリーランスとして働く最大の魅力は、「自分の得意なこと・好きなことで生計を立てていくことができること」です。自分の好きなこと・やりたいことを突き詰めていけることで生きていけるのは幸せなこと。一種の理想でしょう。
一方、会社員は、会社の目標達成のためには、時にやりたくない仕事もしなければならないことがある。と自覚しています。いろいろなしがらみを乗り越え、会社の期待に応えようと思考する人材と、自分の希望することだけを突き詰めたい人材。ここに大きなギャップが生じます。
フリーランス生活が長い人ほど、「会社・組織・周囲の期待に応える働き方」という視点が抜け落ちていく傾向が強くなります。選ぶ仕事も「自分が好きな仕事」「得意な仕事」だけになるため、【主張だけが強い】【妥協できない】人材になりがちです。

スキル不足(特にマネージメント経験の不足)

フリーランスの方はそもそも組織に所属していないので「部下をマネージメントする」という経験を積むことはほぼ不可能です。ですが、企業が求める30代以降のスキルのひとつに挙げられるのも「マネージメント経験」です。これは、単に後輩の面倒を見てきた、プロジェクトの進捗管理をしてきた、などというものではなく、指導・育成・評価・意思決定などをして、どんな成果を出していたのか具体的に語れるものだけが評価されます。

真顔で「フリーランスとして、出勤時間・退社時間の縛りがない中でも、きちんとセルフマネジメントをしてきた経験は評価してもらえないのでしょうか?」と仰った方がいましたが、会社員が「出勤時間・退社時間をきちんと守っていた」からと言ってそれが企業へのアピールになるでしょうか?それを考えていただきたいのです。
このように、若いうちと同じ感覚で30代以降を過ごしてしまうと、気付いた時にはマネージャーとしての実務経験を求められる年齢となっていて、いざ「正社員になりたいです」と応募しても、でもマネージャー経験がないよね、不採用。という判断になってしまいます。

一般常識の欠落(があると考えられがち)

フリーランスの期間が長かった(そして、残念ながら結果が出ていなかった)方が、下記のような社会人としての最低限のマナーが欠落している傾向が強かったのも残念ながら事実です。

例えば、
・面談に遅れてくる時に連絡しない
・無断でキャンセルする(しかも謝罪なし)
・名刺を座ったまま受け取る
・香水のつけすぎ
・コートを着たまま座っている
・最初からタメ口で話す
・よれよれのスーツに薄汚れたシャツ
・なぜか高圧的な態度を取り続ける、などです。

企業に所属していると、基本的なビジネスマナーやコミュニケーションの仕方を教えて貰えたり、研修が受けられたり、上下関係に揉まれて学習したりできますが、フリーランスの方は教育を受ける機会がほとんどないため、会社員としての振る舞いが学生時代のものからバージョンアップされていない方もいるのです。
「お会いしてみましたが、年齢の割にお若い印象でした」と不採用になった方がいらっしゃいました。この場合の「若い」は誉め言葉ではありません。幼稚で社員として採用する価値なしということです。

フリーランスで働く皆さんがすべてこのような方たちではないことは、もちろん採用側も認識しています。ですが、こういった傾向の強い転職者の出現率が高いことも事実。
採用不可な人材との面接=時間の無駄になるリスクをおかしてまで面接を組もうとする=書類選考を通過させる ということが少ないことはお分かりいただけたでしょうか。

次回は、「それでも、フリーランスという働き方を選択するために気を付けたいこと」です。

では、またお目にかかりましょう!
キャリアアドバイザーA