リアル「プラダを着た悪魔」?アパレル業界の厳しい掟に学ぶ仕事力



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仕事にまい進する女性が勇気をもらえる映画として名高い「プラダを着た悪魔」。内容もさることながら、アンハサウェイのオシャレなキャリアコーデが散りばめられていて、本当に観ているだけで気持ちが高まりますよね。そのいっぽうで感じるのは「本当にファッション業界ってこんなに厳しいの?」という疑問。

そこで今回はスタイリスト出身のライターが、実際のアパレル業界の厳しい掟から学んだ大切なことをご紹介いたします。

「教えないから見て学べ」

皆さんは、新しい職場へ入社したとき、まずどのような流れで仕事が始まりましたか?おおよそは、関係者に挨拶をして、教育係がついて、仕事の内容を教えてもらう…という流れがほとんどですよね。私自身も一番最初にスタイリストアシスタントの派遣会社に向かった際はそうして教えてもらえるのかと思っていました。

しかし、そこでちゃんと教えてもらったのは「アイロンがけ」だけ。「学びは事務所にあるんじゃない、現場にあるんだよ!」と、言わんばかりの勢いで、全く何も教わりませんでした。しかも、現場に行って「置き撮りの仕込み(モデルさんの着用なしの洋服を自然にキレイに見せるためのスタイング方法)を教えてください。」と先輩スタイリストに言っても「自分で見て学んで」と職人ばりのガッツの入った返事しか貰えないというのが現実です。

放置されたことで、得られた学び

教えを請うても断られるという、初めての経験をした私は、とにかく悔しい気持ちでいっぱいでした。なんでそんな意地悪を言うのか、見て学べとか言うけど、見るだけじゃ分かんねえ!…叫びたい気持ち何とか抑えながら、見よう見まねでとにかく仕事をこなしていきました。

でも、あれですね。人は怒りという強いパワーで出来ないことはないと思い知らされるものです。誰にも教わらなかったくせに意外と仕込みの出来あがりが良かったようで「え、本当に一人でこれ出来ちゃったの?」と拍子抜けな評価をされました。当時、教えてもらえなかった先輩スタイリストには
ムカつく!という気持ちしかありませんでしたが、たった数時間でいっきに成長できたのもこの先輩スタイリストのおかげであることに間違いはありません。

“仕事をつくる”という意味を知る

その日から私は「初めてだから分かりません。」という言葉を封印しました。というよりも、そんなことを言わなくても何とかできる!という大きな自信がついたのです。

話は変わりますが、皆さんは撮影スタジオが一時間いくらで借りられるのかご存知でしょうか?一時間数万円単位がほとんどで、大きなスタジオを借りると場所代だけで数十万はいきます。加えてモデル、スタッフ代諸々…一日で広告撮影がどれだけのお金で動いているのか何となく想像つきますでしょうか?

だからこそ、撮影現場の人間が大切にすべきことは「時間」。相手を待たせないように、モデル・カメラマン・メイクの時間を削らせないように一分一秒を大事にしながら短い時間で最高のクォリティを作るのです。だからこそ一人一人が今、自分にできる仕事は何なのかを常に考えながら、先を読んだ行動をしなくてはならないのです。

アパレル業界で学んだこと

誰かに何かをしてもらうのを待つのではなく、探して動く。
「仕事をつくる」ということを、数々の撮影現場で学びました。これが出来ないと厳しく言われるのはアパレル業界、撮影現場ならではの暗黙のルールであり、ファッション業界が恐いと言われるゆえんなのでしょう。

お給料もほとんどなければ、体力的にも精神力的にも厳しい状況でしたが、そこで学んだ「先を読む力」や「仕事をつくる力」はお給料よりも高い財産だと思っています。それさえ、あればほとんどどんな仕事も、ちゃんとした結果を残すことができるはず。

映画の世界は、あながちウソではない

よくドラマや映画では現実にある職種が題材として取り上げられますが、その多くには“リアリティがない”という声が時おり飛び交います。プラダを着た悪魔はその点、非常にリアルな厳しさがあって、それが多くの人を魅了させているのかもしれません。

上司の理不尽な注文、使えないヤツは名前も呼ばれない、数センチの丈の違いについて皆で談義する…そして何より、あのピリピリとした刺すような空間、間合いは実際の撮影現場にも通ずるものがあります。しかし、ただ厳しい・恐いというだけじゃなく、それだけ真剣な証拠なのです。

仕事を真剣に取り組んだ先に得られるものは、仕事の成果だけでなく、アナタの人間力の成長をも得られる。ぜひ、今回ご紹介した仕事をつくる大切さについて皆さんも、考えてみてくださいね。