おはようございます。キャリアアドバイザーAです。
急に秋めいてきましたね。柿や梨などの秋の果物が美味しい季節です。Cinqの読者の皆様、旬の時期に旬の食べ物をきちんと味わっていますか?
旬を味わうということは、季節を味わうということ。心に余裕をもって、丁寧に毎日を過ごしていきたいですね。
やりがいさえあれば収入は二の次…それって本当?
さて、前回のコラムで「給与交渉」をテーマにお伝えしました。やりがいをもって日々働くためにも、10年後、20年後の自分自身の生活を想定するためにも、給与・賞与等の「収入」は働く人にとって大きな関心事だと思います。
「やりがいさえあれば、収入は二の次」「上司に評価されていると実感できれば、収入が変わらなくても問題ない」なんて、本気で考えている方はいないのではないでしょうか。
今回は、この「収入」を決定付ける「自分の市場価値を確認する方法」についてお伝えしていきたいと思います。
自分の市場価値を知るには
「自分のキャリアの市場価値は、果たして客観的に見て高いのか、低い方のか」。
転職活動の経験のない方は、一つの会社の人事制度しかご存知ないため、なかなか客観的に自分の市場価値を知ることは難しい。私も、社会人最初の冬休みに学生時代の友人とひょんなことから給与の話になり、金融業界に進んだ友人と、電機製造業に進んだ私との賞与額の差に唖然とした記憶があります。
自分のキャリアの市場価値を上げていくために、大きなリスクをともなってしまう考え方を1つ挙げるとすると、それは「1つの会社にとどまり、1つの専門スキルを磨く」ということかもしれません。
キャリアの客観視は、ひとつの会社の中にとどまっていてはなかなか難しい。そこで培った強みがあらゆる市場でどのように活かされるかを評価するのは困難で、だからこそ、不満を抱えつつもその会社で思いとどまっている人は少なくありません。
市場や企業の動向を予測することはますます難しくなってきている世の中です。「ビジネスパーソンが1社にとどまって出世を目指す」という直線的なキャリアモデルそのものが、時代に合わなくなってきているのです。1つの会社にとどまり1つの専門スキルを磨いていった結果、市場環境の変化でその会社が消滅したときに、自分が磨き上げたスキルに市場からのニーズがなかったとしたら…。
75歳まで現役で働くことが求められる時代に生きる私たちに、絶対的に必要なのは「自分のキャリアで転職は可能なのか?」という視点を、たとえ本当に転職しなくても持つようにすること。自分の強みと市場のニーズを「客観視」することがとても重要なのです。
自分が転職しようとした時にどのような評価をされるか、これは2つの事実を明確にする事で、おおよそ決まります。
ステップ1:【自分の強みを知る】
自分の業務経験は何か?
自分は何が強いのか?
自分自身のキャリアについて冷静に棚卸しましょう。
ここで重要なのは、【実績・事実】だけ。「●●資格を取得する予定」、「今後英語を勉強するつもり」「経験はないけれど、大変興味があり私にはできる能力と自信がある」。残念ながらこれは個人的な思い込みであり、転職市場で評価してもらうことはできません。
ステップ2:【転職市場のニーズを知る】
現在中途採用を積極的に行っている企業がどんなスキルをもつ人材を求めているか? その状況を知る事です。求人情報を見てみたり、人材紹介会社のキャリアコンサルタントに話を聞いてみるのもひとつの手段でしょう。
上記の2つの事実を認識できれば、転職市場が求める人材像と自分のマッチ度が高いほど、転職は容易ですし、低ければ残念ですが転職は難しくなります。一見当たり前のようですが、ここをきちんと認識されている方はあまり多くありません。
このようなひとの多くには「自分を他人と相対比較する機会が少ない」という特徴があるように思います。オススメは、実際に転職「活動」をしてみること。たとえば最初は興味のあるテーマの無料セミナーに参加してみたり、交流会に参加してみたりしてみましょう。
積極的に、普段交流することのない人と交流する機会を持ってみるということです。
自分とはバックグラウンドや年代、所属する企業の規模が異なる人と情報交換してみることによって、自分の強みを必要としている意外な市場のニーズに気がつくこともあるかもしれません。
ポータブルスキルを磨いておく
そして、Cinqの読者の皆様に一番心がけていただきたいと思うことは、「使われやすい人材になること」ということです。
いくら専門スキルの高い優秀な人材であっても、使いにくい人は転職市場で敬遠されてしまいます。「使いにくい人」とは、動かすのに手間がかかる人。事細かに説明し、完全に納得しないと動かないような人材のことです。
「使われやすい人になれって、上司の言いなりになれということですか?」と質問されることがありますが、当然そういう意味ではありません。「使われやすさ」を別の言葉に置き換えれば、「後工程はお客様」という意識のある人ともいえると思います。
普段からよく目配りして相手の意図を理解し、動けるかどうか。いくら優秀で高いスキルの持ち主であっても、そうした姿勢がなく、自分の都合や権利ばかり振りかざす人はなかなか長期的な評価を受けることは難しいです。
たとえば、コピーを取る用事を頼まれた時も、漠然と部数を揃えるだけの「雑用」にしてしまう人と、どんなシチュエーションで使うものなのか把握し気配りする人の「仕事」は仕上がりが違ってきます。両面コピーが使いやすいのか、カラー印刷が良いのか、ホチキスをどのようにとめれば見やすいか工夫する。この意識の違いの積み上げが1年後、3年後どのような差につながっていくか、Cinqの読者の皆様はもうおわかりのことと思います。
どんな会社に所属することになっても、持ち歩くことができる「ポータブルスキル」である「使われやすいひとであること」。ぜひ、覚えておいていただきたいと思います。
それでは、またお会いしましょう!
キャリアアドバイザーA